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「ビワイチ」 サイクルツーリズムの推進について

みなさん、おはようございます。本日から6月です。

「葉に隠れ 梅の実育つ 近江かな」

昨日、公館の庭にて梅の実の収穫を行いました。この木は昨夏の豪雨で倒れてしまったのですが、今年、見事に実をつけてくれました。喜びもひとしおです。

さて、本日は「ビワイチ」、サイクルツーリズムの推進について話したいと思います。

先月20日、世界的な自転車製造会社であるGIANT社の劉会長様が本県を来訪され、一緒に琵琶湖岸をサイクリングさせていただきました。

劉会長は1972年に台湾で創業され、現在では年間700万台も製造する世界最大の自転車製造会社を築かれました。

自転車をこよなく愛され、82歳となられた現在でも自転車の普及と愛好者の拡大に尽力されています。なんと73歳で台湾一周約900kmを走破、その後も世界各地のサイクリングコースを走破されています。その影響力の大きさから、劉会長が走ったところがサイクリングの聖地になるといわれるほどです。

今回のご来訪も、守山市のラフォーレ琵琶湖内にGIANT社がお店を開設されたことを機に、劉会長自身がビワイチの素晴らしさを世界に発信したいとの強い思いを持っていただいたことで実現をいたしました。

この日は私も、劉会長や羅(ら)祥(しょう)安(あん)社長、宮本守山市長らとともに自転車にまたがり、守山市から近江八幡市の長命寺港まで行き、社会実験中の漁船タクシーにて戻ってくるというコースで、ともに汗を流しました。

私はこれまで、ビワイチは世界に誇れる高い価値、魅力を持っていると申し上げてきましたが、今回、世界で活躍する企業の皆さんとサイクリングをすることで、改めてその思いを強くいたしました。

京阪神に近く、関西国際空港からも飛行機の乗り継ぎなしで来県できることから、国外の愛好者にとっても立ち寄りやすい場所に位置しています。

サイクリングの環境としても、歴史ある雄大な琵琶湖を一周するという高揚感、満足感とともに、地域により様々な風景や趣を感じることができ、来訪者を決して飽きさせることがありません。サイクリングロードから少し寄り道をすれば、名勝や観光名所に立ち寄れるという特徴も有しており、滞在型・回遊型のサイクリングコースにも成りえるでしょう。

近年は、湖周道路にコンビニエンスストアをはじめとする案内、休憩のできるところも増えてきており、ビワイチはさらに魅力的で快適なサイクリングコースになろうとしています。

サイクリング後、劉会長からも、「ビワイチは世界的なサイクリングコースとなる条件は備えている。」との嬉しいご評価をいただくことができました。

もちろん、安全な走行のための道路整備、自転車道の整備、利用環境向上のための案内標識の整備など、市町や関係団体、住民の皆さんと連携し改善していかなければならない課題もあります。

可能性の面としては、滋賀、琵琶湖の思い出を心に刻むために、例えば、「高校を卒業するまでにビワイチ」、「成人式にはビワイチ」といった催しも開催できるのではないでしょうか。

ビワイチを達成した人に記念賞を発行することで、やる気ややりがいもより向上するかもしれません。

劉会長は「自転車新文化」という自転車の新しい利用の考え方を長年提唱されています。これは、自転車は単なる移動手段ではなく、風を切って進むサイクリングによって健康や友情、生きがいを与えてくれ、観光振興や環境保全にも繋がるものであり、日常生活の中でもっと自転車を楽しもうというものです。

私はこの言葉をもじって、「環湖新文化(ファンフーシンウェンファ)」(湖を巡る新文化)という言葉でお応えをしました。

ビワイチにおいても、私たちは、単にサイクリングを普及させることを目的とするのではなく、人と自然との共生、観光振興、健康増進等を意識し、新しい文化として定着させることが重要です。そして、そのことが基本構想に掲げる「新しい豊かさ」の具現化につながると、私は考えています。

このように様々な可能性を秘めたビワイチ。課題を一つずつ克服しながら皆さんと一緒に育てていき、全国へ、そして世界へ発信していきたいと思います。

今月も元気に頑張りましょう。

以上で、今月の知事談話を終わります。