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さきがけや キラリ琵琶湖の 天高し

みなさん、こんにちは。朝夕は涼しく、夜は虫の声とともに。

湖国の風景は、山の色、木々の色も少しずつ変わり始め日に日に秋らしくなってきました。

滋賀県知事の三日月大造です。「10月の知事談話」をお届けいたします。

 

今月に入り、悲しい知らせをみなさんと共有することになりました。

武村正義元知事が先月28日、88歳でご逝去されました。

昭和49年(1974年)、八日市市長から転身。知事選挙に出馬され、当時40歳で全国最年少知事として就任されました。

3期11年半にわたり滋賀県知事として県政の舵取りを担われる間、滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例、いわゆる琵琶湖条例の制定、中国・湖南省との友好提携協定の締結、今も続く、環境学習船「うみのこ」造船と就航、第1回世界湖沼会議の開催など、先見性と文化的な感性に根付いた県政の推進、琵琶湖をはじめとする自然環境への深い愛情と実践、県民との対話、草の根自治の推進など、全国や世界に誇る滋賀県政を築かれました。

武村知事から県庁入庁の辞令をもらった、という世代の職員もいらっしゃることでしょう。

その後、国政に転じられ、新党さきがけの立ち上げや官房長官や大蔵大臣としてのご活躍など、私たち滋賀県民の誇りでありました。

晩年はお住まいの滋賀県大津市の県庁近くの自治会の自治会長を担われたり、琵琶湖岸を散歩されたり、大好きなカラオケに行かれたり。最近は滋賀県政150周年を記念する県史編纂事業にも率先してご指導やご協力を賜るなど、私たち後進や次世代に対して滋賀の誇りを伝承しようとの情熱を表しておられました。

私は「偉大な父」を失ったような喪失感を感じています。

 

さきがけやキラリ琵琶湖の天高し

 

改めて、謹んでご冥福をお祈りいたします。

ここで、皆さんとともに30秒の黙祷を捧げたいと存じます。

(黙祷30秒間)

お直りください。ありがとうございました。

 

先月、「県政150周年」という大きな節目を迎えた滋賀県政です。

嬉しかったことをいくつかご紹介します。

 

まず1つめ。

「県政150周年」につきましては、パートナー企業・団体の皆様にもご協力いただき、おかげさまで、「ずっと滋賀、もっと滋賀」というキャッチフレーズやロゴマークも目にすることが増えました。

日本郵便株式会社様には滋賀県政150周年記念オリジナルフレーム切手も作っていただき、現在、好評販売中です。

この機会に明治・大正・昭和・平成、そして令和と歩んできた滋賀県の歴史を振り返り、未来へ新たな歩みを進めていきましょう!

岩手県や長崎県なども、鉄道も、東京国立博物館も、たねやさんや資生堂さんも、そして毎日新聞さんも150周年だそうです。連携した取組ができると面白いかもしれませんね。

 

2つめ。

この夏、実施した「第55回県政世論調査」では、有効回収率が67.8%でした。前回が50.6%、前々回が56.1%でしたから、大幅にアップしたことになります。広報課の担当職員の皆さんが、より多くの回答をしていただこうと、行動経済学などを専門とする大学の先生から「ナッジ理論」に基づくアドバイスをいただき、封筒のデザインを改善するなどの工夫をしてくれたことが今回の結果につながったとのこと。ナッジ理論とは、相手に選択の自由を与えてより良い選択を気分よく選べるようにすることであり、私たちの県庁の仕事の全てに活かせることだと思いました。

交通ビジョンを作る際のアンケートも予定しています。この取組に活かそうではありませんか。

 

3つめ。

「日本酒の日」の10月1日には、恒例の『近江地酒10,000人乾杯プロジェクト』が3年ぶりに観客入りの会場でオンライン配信とのハイブリッドで盛大に開催されました。嬉しかったですし、32の酒蔵のお酒で作られた今年のブレンド酒も格別の美味しさでした。

今年の4月には近江の地酒「滋賀酒」が地理的表示GIに指定されました。酒米の生産振興や海外への販売促進にも取り組むチャンスです。ポストコロナへ、いよいよ観光キャンペーンも再開されます。『シガリズム』をつくり大いに盛り上げていきましょう。

 

最後に4つめ。

先週末、高島市において、「全国棚田(千枚田)サミット」が開催されました。

全国各地から棚田を守る、農山村振興に取り組む皆さんが集まり、知恵と努力、取組事例の発表や共有が行われました。

世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」。棚田も重要な構成要素だと感じました。山から里、川を流れて琵琶湖につながる自然の中でいただく恵み。四季折々の風景は安らぎを与え、私たち人間だけでなくたくさんの生きものを育む大切な自然資源と、その中で関わる人間の営み。大切にするとともに、その中で大事につくられた産物の価値を自信を持って発信していこうではありませんか。

 

新型コロナウィルス感染症の状況はここにきておかげさまで減少傾向となり、届出の方法等も変更され、以前とは異なる向き合い方となってきました。基本的な対策はとりつつ、ワクチン接種も進めつつ、厳しい生活への寄り添いや事業の下支えをしっかり行いつつ、地元での消費や観光需要の喚起をしながら滋賀県経済の活性化につなげていきたいと思います。

 

今年は残り3ヶ月。今年度は下半期に入りました。

それぞれ心身の健康に気を配りながら、協力し助け合って滋賀県民の負託に応える公務に勤しんでまいりましょう。