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令和4年 新年の知事あいさつ

令和4年、2022年、新年あけましておめでとうございます。

皆様とともに生きて年を越し、本日ここに、こうして仕事始めを迎えられますこと、とても嬉しく光栄に存じます。

年末から寒波が襲来いたしました。その雪寒対応をはじめ、コロナ再拡大の傾向を受けました医療や検査、病院、介護や福祉、県民のいのちと暮らしを守る警察や物流・郵便・交通、また、ボート事業や宿直など、年末年始も県民の皆様のために仕事をして下さった方々に、心を寄せたいと思います。予算や財政、組織や人事を含めて1月、2月、大切な時期を迎えます。みんなで力を合わせて進んでまいりたいと存じます。
 

≪元日や世のまがり角虎視眈々≫
 

1月1日、雪化粧した大津でうかんだ句です。今年は寅年、十干十二支では「壬虎(みずのえとら)」です。厳しい時を乗り越えて、生まれるものやことが芽吹き、伸びて、新しい成長の“礎”となることを意味すると言われます。まがり角がキーワードです。2年に及ぶコロナ禍を経験しながら、私たちは、どんなまがり角にいるのでしょうか?コロナ禍で何を学んでいるのでしょうか?学んだことを糧として、より良く変われているでしょうか?虎視眈々とまでいかずとも、恬淡(てんたん)として、貪欲に、まがり角をつかみにいっているでしょうか?そもそも気づいているのでしょうか?変わろうと行動を起こせているでしょうか?

私は一昨年から、ポストコロナへ、<卒近代>というまがり角を強く意識しています。誰も犠牲にならない社会、お金やモノだけでなく、価値や意味に重きを置く社会、生き方、「より良き自治」を求め、良き祖先になろうとする社会を目指していきたいと考えます。

 

今年、大切にしたい姿勢として、自らに言い聞かせながら、<問う、許す、始める>ことを呼びかけたいと思います。変わる滋賀続く幸せ。今だけ、モノだけ、自分だけ、お金だけではない新しい豊かさを実現するため、まず「問うこと」を心がけてみませんか?

常に問う、自らに問う、上司や部下、仲間に問う、世に問う、これまでの常識を問う、私自身、幸せとは何か?豊かさとは何か?社会とは何か?生きるとは?死ぬとは?どういうことなのか、自らに、また、社会に問いかけていきたいと思っています。

次に、「許すこと」を大事にしたい。理解と納得、共生の原点は、許すことにあるのではないか?と、最近、感じています。

そして、「始めること」を呼びかけたい。1月1日に発刊されました、県の広報誌「しがプラスワン」の新春対談で、東京オリパラで活躍された三人の選手からもらったメッセージでもあります。何でもいい、始めよう、小さなことでいい、今からなら遅くない、年齢に関係ない、再び始める事もいいですね。

<問う、許す、始める>をモットーに、今年一年、歩んでいきたいと思います。

 

今年は、明治5年1872年9月29日に滋賀県が犬上県と合併し、現在の県域の滋賀県となってから、150年の節目に当たる年です。この節目の年に、これまでの滋賀の歴史を学び、先人の努力をふり返り、未来を考える一年にしたいと思います。そこで、全庁を挙げて、県政150周年記念事業に取り組むことといたします。

その中核事業として令和4年度から、新たな県史編纂に取り組みたいと考えています。滋賀県史の初版は、明治元年から50年経った大正7年1918年に作られ、その続編は、県政100周年となる昭和47年1972年に編纂されました。以来、50年の歩みも改めて確認する機会として、県史をつむいでまいりたいと存じます。県史編纂は10年から20年を要する大事業となりますが、「よき祖先」となるべく、この機を大切に着手していきたいと考えています。加えて、企画展示や記念冠事業など、県政150周年を記念した様々な取組を幅広く検討し、実施していくことといたします。県民の皆さん、ゆかりの方々とともに取組を広げていくため、県政150周年記念事業のロゴマークとキャッチフレーズを本日から募集することといたします。みんなで盛り上げていきましょう。

 

それでは、今年の県政を進めるにあたり、重点的に取り組む「3つのこと」について申し上げます。その前提として、引き続き、コロナ対策に万全を期してまいります。これまでの経験を活かしながら、より賢明に対応していきたいと思います。再び感染拡大局面に入ってきました。基本的な感染対策を徹底することにより、感染拡大を抑えながら、医療・検査体制の拡充、ワクチン接種の推進、生活支援や経済・雇用対策をしっかり行ってまいります。その上で、3つのことを「健康しが」の柱に沿って申し上げます。

<ひとの健康>では、子ども、子ども、子ども。子どものことに力を入れます。「この子らを世の光に」の思想を持って、子どものために子どもとともに進む県政、滋賀県政をつくりたいと思います。母子保健事業を強化し、産む前生まれる前から、ヤングケアラーや児童養護を含めて、切れ目なく、支えあう、子育て支援をつくってまいります。

また、教育もともに学ぶことを大切に、学ぶ力、読み解く力を高めていきます。一人一台端末を活用して、平均ではなく、一人ひとりの学力を高める取り組みを強化するとともに、学校教育に関わる人を増やし、その人たちを笑顔にするプロジェクトをつくり、活かしてまいりたいと思います。複数年継続して重点的にこうした取組を行えるよう、予算面でも、検討工夫することといたします。

このテーマでは、「ひとづくり」のための取組も重要です。県内の高校教育の充実に努めるとともに、県内大学との連携を、学学連携を含めてさらに強化させ、防災人材、医療・福祉人材、農業や建設なども含めた産業人材の育成をさらに進めてまいります。その一つとして、手がけはじめた高等専門学校設立に向けて検討を加速させます。立地場所等の検討を進め、令和9年開校への歩みを着実に進めたいと存じます。

 

2つめ、<社会・経済の健康>では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に力を入れます。産業DX、教育DX、くらし・防災DX、健康DX、交流・交通DXなど、DXで生活を便利にして、豊かさと幸せを増やせるよう、あらゆる面での取組を進化させます。具体的には、防災DXでは、AIチャットボットを活用した災害時の情報収集と発信の実施、交通DXでは、バスダイヤ等のオープンデータ化の推進を行うとともに、交流DXでは、関係人口をつくり、増やすため、新たに、県版の「デジタルコミュニティ通貨」の導入に挑戦してみようと思います。デジタル通貨を活用して、流通させることで、人と人のつながりや地域の活性化、自然資本の保全循環などへの貢献意思など、お金では測れない価値や評価、動きなどを見える化していきたいと思います。このことは、私たちが目指す、続く幸せや、お金やモノだけではない新しい豊かさを測る一つの指標になるのではないでしょうか。

 

3つめ、<自然の健康>では、まず、みんなでつくり世に問いかけ始めたMLGsを本格的に実践・発信していく年にしていきたいと思います。CO2ネットゼロについては、これまでムーブメントへの賛同者を増やすこと、表彰制度の導入、びわ湖カーボンクレジットを活用したオフセットなどに取り組んできましたが、今年は条例の改正、推進計画づくりをしっかりと行い、各分野・各地域での具体的な実践をつくり、動かし、見せて、拡げていく年にしましょう。例えば、まず、初期費用ゼロで太陽光発電施設を導入する仕組みづくりでありますとか、「グリーン投資」を促す仕組みづくりなどを行っていきたいと思います。

また、「やまの健康」は、今年6月に全国植樹祭を開催させていただく今年、さらにバージョンアップさせて、なりわい、暮らし、あそび、学びなど、やまと木に関わる文化を再興させていきたいと思います。

これから重点的に取り組む3つのことは、近く議会、滋賀県民の皆様に提案する予算案や組織案の中にも最大限、盛り込んでいけるよう努めることといたします。

 

私は、二年に及ぶこのコロナ禍で見出した光があります。それは滋賀の誇るべき歴史であり、琵琶湖とやま・かわなど豊かな自然であり、こうした歴史や自然を大切にしようとする実践であり、生まれ育つ子どもであり、人とひと、人とあらゆる生きもののつながり、支え合いであります。これらは、これから歩む先を照らす光であるとともに、利他のこころ、三方よし、おかげさま、お互いさま、誠信の交わりなど、先人の教えが息づいている証であると感じています。私は最近、この光を感じながら楽しみながら生きることを、観光キャンペーンとも重ねながら、「シガリズム」と表現しはじめています。

びわ湖を真ん中に、自然の四季を大切に味わい、みんな仲良く、支え合って生きるシガリズム、人間だけでなくすべての生き物のことを慈しむシガリズム、今を生きる世代だけでなく、未来の世代、孫子の世代のことも考えるシガリズム、コロナに負けず、あなたもわたしもシガリズム、みんなでつくろう「健康しが」。今年一年も、健やかに過ごしていこうではありませんか!

 

以上を申し上げ、年頭にあたっての私の言葉といたします。今年も健やかに頑張ってまいりましょう!