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「絆」をつくり、感じる9月にしよう!

県庁に御来庁の皆さん、こんにちは!職員の皆さん、コロナ対応含めて、連日お疲れ様です。本日は、家庭で余った食材を集める「フードドライブ」を県庁で行っていただいています。ご協力いただいた皆さん、ありがとうございます。

 

 【 波の間に 滋賀に絆の 9月かな 】

 

9月になりました。稲の実りや虫の鳴き声に「秋」を感じます。「差別や分断ではなく、絆をつくり感じる9月にしたい!」という思いを込めて詠みました。

 

今日は「防災の日」です。台風も発生し、近づいて来ています。コロナ禍においては、人との距離を保ちながらの避難も必要となります。今、居る場所、働く場所や通るところなどの「地先の安全度」や土砂災害警戒情報などの「リスク」を知ること、気象情報を含め早めの情報収集に努めること、県庁組織としては、連絡体制などより一層、緊張感を持って臨んでまいりましょう。

 

本日の談話では、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の滋賀県づくりについて、皆さんに投げかけたいと思います。

主題は、「卒近代〜本当の意味での「健康しが」を目指して」です。少し、長くなりますが、聞いていただければ幸いです。

 

まず、私たちの生きている社会や地球の環境を見てみると、私たちは、現在、とてつもなく大きな、未知・未経験の「変化の波や渦」の中にいることを改めて実感しています。

 

日本も、滋賀県も人口減少の流れの中にいます。歴史上、初めてのことです。世界の人口はまだまだ増えること、県内においても増える地域と減る地域があることも、気に留めておく必要があるでしょう。

「人生100年」長生きできるようになりました。家族構成も変わってきています。私たちの父や母、祖父母の頃の人生設計とは異なる生き方や働き方が必要です。

一方、生まれてくる子どもの数が減少傾向にあります。昨年、90万人を大きく下回り、86万人になりました。滋賀県においては、2015年に13,000人近く生まれていた子どもの数は、昨年11,000人となりました。

加えて、2年連続で全層循環が確認できていない琵琶湖の状況や、昨今の酷暑や豪雨災害頻発の状況からも感じられるように、気候変動の影響が私たちの生命や生活を脅かし始めています。

これに、新型コロナウィルス感染症が加わり、世界や社会が大きく揺さぶられています。地球温暖化やグローバル化の進展は、感染症リスクをさらに高め、拡げることになるでしょう。

 

今年の仕事始めの挨拶で、私は、【 乱気流風に心を凧の糸 】と詠み、激動と激変の年になるのでは?との胸騒ぎを表現し、その中での果敢な「挑戦(challenge)」を呼びかけました。ここまでの変化に直面するとは想像だにしていませんでしたが。

この半年あまり、皆さんと一緒に、このコロナウィルスと闘いながら、同時に、私たちの生活や社会のこれからの有り様について、反省しながら観察する、思索する機会をもち、有識者の方々ともウェブで語り合い、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の滋賀県づくりについて考えを深めてきました。

 

まず、感じていることは、私たちに人間、そして私たちの大切な社会は、感染症というものに対して、これほどまで弱くて脆いものなのかということ。

つながりやふれあいを支えに生きている人間は、人と人との距離を強制され、心のよりどころを失い、戸惑っています。

また、子どもや高齢者、障害のある人など、弱い立場の人がより辛く、弱い状況に追い込まれてしまうという不条理を突きつけています。

そして、高度な文明を自認する我が国・日本においても、マスク一枚を調達することに四苦八苦する現実がありました。学校で一堂に会して教え、学ぶことに慣れていた私たちは、集えない中、その機会を損ない失って悩みました。このツケやシワ寄せを次世代に回したくないと強く思います。

中央に集権された行政・政治システムに頼っても、現実は目の前にあります。永田町も霞ヶ関も有効な解答を導き出せていません。そもそも密に集中させ、利益や効率を追求するビジネスモデルが壁にぶち当たっているのではないでしょうか。

一つの深く大きな反省は、明治維新以降、まさに近代の日本が築き貫いてきたグローバル化や市場効率主義、大量生産・大量消費、過度な東京一極集中を招いた中央集権体制に向けられなければならないのではないか?全否定は避けますが、近代の偉業の上に、今日的な新しいもう一つのシナリオ(=プランB)をつくる責任や能力を滋賀にいる私たちは有しているのではないか?と考え、「卒近代」という表現を提示させていただいています。

対話した有識者が一様に述べられるのは、地の利あり、歴史あり、先進性と文化性を兼ね備えた「滋賀ならやれる!」「滋賀から構築し発信すべき!」ということでした。

 

そこで、私は、県民の皆さんに求めたい大切なこころとして「利他のこころ~自省を伴う利他のこころ」を呼びかけ、大切にしたい視点と姿勢を示しました。

その上に、県民の皆さんと約束する大切にしたい政策の柱として5つを掲げています。

 

まず1番目は、「いのちと健康、人権の保障」を改めて県政の基軸に据えることです。

医療や保健の体制を整え直していく作業に着手します。差別や偏見を排して、共感と支援の輪を拡げる行政を徹底する。真の多文化共生を志向し、救貧(貧しい人や貧しくなることを救う)の政策を強化します。

 

2番目には、「子ども・次世代の権利の保障」を追求することを掲げています。

有効な少子化対策を構築し、ICT化を含め教育体制の充実を目指します。この項目には「公共交通」の維持活性化を含み、取り組みを強化してまいります。

 

そして、3番目は、幸い密ではなく適度に疎である「滋賀の自然資本、文化芸術の価値の再評価と発信」です。

「しがCO2ネットゼロ」を掲げています。具体的な取組を推進することで気候変動対策にも環境先進県としてしっかりと参画していくとともに、琵琶湖と周囲のやま、その間に存在する里山や棚田の保全施策を展開してまいりたいと思います。

 

4番目として、「自然が許す限りのつくる力の再強化」に挑まねばならないと考えています。“自然が許す限りの”というのがキーワードです。食べるものや医療・衛生のための資機材など、いのちを守るために必要なものをつくる力を、その人材と共にしっかりと確保してまいります。

 

最後の5番目として、これら4つの施策をつくり進める過程で、「より良い自治を追求」したいと思います。一方的や独善的なやり方ではなく、常に応答性を備えた自治行政をつくる。例えば、現在無我夢中で行っている感染症対策ですが、検証しながら改善する。私たちが「続く幸せ」と謳う「幸せ」を指標化し、可視化することにも取り組めないか?また、負担を分かち合うこと、すなわち「税」についても、これからの滋賀にふさわしい「税」を、税制審議会などで本格的に検討してまいたいと考えています。

 

現在、来年度の施策でこれらの柱をどのように具現化するかの検討作業が始まっています。若手職員の皆さんによるペルソナ分析も行っていただいており、発表を楽しみにしています。

財政状況がさらに厳しくなることが予想される中、すぐに全てを成し遂げることは困難でしょう。優先順位を整理し直したり、表現の方法を変えたり、一定期間をかけて目指す姿に近づけたりなど知恵と工夫が試されます。これまでと何ら変わらない延長線上に未来はありません。大切なことは「変わること」「変えること」、「変わろうと努力すること」です。

もうすぐ県議会「9月定例会議」も始まります。県民を代表する県議会議員の皆さんとの議論、各部局の皆さんとの政策協議も楽しみにしています。

 

まだまだ暑い日が続きます。夏の疲れも出てくる頃でしょう。

栄養と休養、水分を十分にとりながら、今月も共に頑張りましょう!