人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
特集記事にあわせて、ジンケンダーラジオの放送予定と、「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」で実施される障害者スポーツについても掲載しています。
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令和6年(2024年)9月(第197号)
滋賀県では、毎年9月を「同和問題※啓発強調月間」と定め、同和問題についての理解と認識を深め、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消をはかるため、集中的に啓発に取り組んでいます。
今回のじんけん通信9月号では、今から約100年前に部落差別の解消を求めて創立された「全国水平社」と滋賀県の関わりや、部落差別(同和問題)の現状とその解消に向けた県の取組をご紹介します。
部落差別の一日も早い解消に向けて、皆さんが考えていただくきっかけとなれば幸いです。
※同和問題…同和地区・被差別部落などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活のうえで様々な差別を受けたりするという日本固有の人権問題。
今から102年前の大正11年(1922年)3月、部落差別に苦しんでいた人々が自らの力と団結による解放をめざして結集し、「全国水平社」が創立されました。
京都市の岡崎公会堂で行われた創立大会では、日本最初の人権宣言とも言われる「水平社宣言」が採択されましたが、その作成には現在の近江八幡市出身で、全国水平社初代執行委員長となった南梅吉も関わっていました。
水平社宣言の原文には、長い歴史の中で不当な差別を受けてきた人々の痛切な思いが綴られているだけでなく、すべての人があらゆる差別を受けることなく、人間らしく暮らしていける社会の実現を願う気持ちが込められています。
※上記の文章は読みやすいよう原文の一部の表記を現代仮名遣いに変更し、かつ、ふりがなを付しています。
全国水平社はその後、大正時代から昭和時代初期にかけて運動を展開しましたが、組織内部での対立や戦時中の政府の圧力などによって昭和17年(1942年)に団体としては消滅しました。
なお、全国水平社の消滅後、昭和21年(1946年)に「部落解放全国委員会」が結成されましたが、同委員会は昭和30年(1955年)に「部落解放同盟」に改称し、現在に至っています。
全国水平社の創立後、その運動は日本各地に広がり、滋賀県にも影響が及んでいます。
今からちょうど100年前の大正13年(1924年)4月、甲賀市内の寺院で「滋賀県水平社」の創立大会が開催されました。
当時の新聞報道によると、創立大会は当初、現在の近江八幡市で開催される予定でしたが、県当局や右翼団体の妨害で開催することができず、紆余曲折を経て現在の甲賀市で開催されることになったということです。また、創立大会には県内外から約380名が参加し、15歳の少年が「人間は生まれながらにして一切平等であらねばならぬ。人間よ自然の平等に帰れ」という演説を行うなど、大会は「無事平穏に閉会した」と報じられています。
滋賀県水平社はその後、県内で発生した差別事件に取り組み、いくつかの支部も設けられましたが、全国水平社と同様、次第に活動が衰え、消滅したと言われています
なお、前述の「部落解放全国委員会」の結成を受けて、滋賀県でも昭和21年(1946年)に「滋賀民主同盟」が結成され、その後、昭和30年(1955年)に「部落解放全国委員会」の改称にともない、組織の名称を「部落解放同盟滋賀県連合会」と改め、現在に至っています。
全国水平社や滋賀県水平社の創立から100年余りが経過した今、部落差別はなくなったのでしょうか。
令和3年度(2021年度)に実施した「人権に関する県民意識調査」では、「あなたは、現在でも部落差別があると思いますか」という質問に対して、74.5%の人が「部落差別はいまだにある」と回答しており、多くの人が差別が今も残っていると感じていることが伺えます。
また、法務省の人権擁護機関が「人権侵犯事件調査処理規程」(平成16年法務省訓令第2号)に基づいて処理している人権侵犯事件の統計においても、令和5年(2023年)の部落差別(同和問題)に関する新規救済手続開始件数は448件となっており、実際に多くの差別事件が発生していることが分かります。
では、具体的な差別としては、どのようなことが行われているのでしょうか。
結婚差別や就職差別、差別発言や差別落書きなど、従来から見られる差別もありますが、近年は特にSNSや電子掲示板での差別的な書き込みや、同和地区の様子を無断で撮影して動画投稿サイトに掲載する行為など、インターネット上での差別が特に深刻な状況となっています。
平成28年(2016年)12月には、インターネット上での差別等の問題を受けて、部落差別は許されないものであるとの認識のもと、部落差別のない社会を実現することを目的とした「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」が施行されました。
部落差別解消推進法は「部落差別」という言葉が使われた初めての法律であり、その第1条には「現在もなお部落差別が存在する」と明記されています。また、第3条では部落差別の解消は国および地方公共団体の責務であるとも明記されるとともに、第4条では部落差別に関する相談体制の充実、第5条では教育および啓発に努めることが定められています。さらに、第6条では部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、国が部落差別の実態に係る調査を行うことが定められています。
★部落差別解消推進法の全文はこちら(デジタル庁「e-gov法令検索」)
県では、県民一人ひとりが部落差別(同和問題)についての理解を深め、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて、主体的に行動していただけるよう、市町と連携・協力しながら、様々な啓発に取り組んでいます。
また、部落差別(同和問題)に関する相談については、(公財)滋賀県人権センターや法務省の人権擁護機関(法務局)と連携しながら対応するとともに、インターネット上の差別書き込み等に関しても、その防止や被害者の救済に向けた実効性のある対策を早急に講じるよう、国に要望しています。
★部落差別(同和問題)に関する相談窓口
電話:077-527-3885 FAX:077-527-3885(受付時間:月・火・水・金(祝日、年末年始等を除く)9:00~12:00、13:00~17:00)
・法務局(みんなの人権110番)※最寄りの法務局または支局につながります。
電話:0570-003-110(受付時間:月~金(祝日、年末年始を除く)8:30~17:15)
冒頭で述べたとおり、滋賀県では毎年9月を同和問題啓発強調月間と定め、ポスターの掲示や啓発物品(メモ帳)の配布、テレビ(びわ湖放送)でのCM放送、新聞広告やインターネット広告(Yahoo!JAPAN)の掲載など、様々な媒体による啓発を行っています。
今年は次のようなデザインを使用した啓発を行っていますので、皆さんもぜひ街中やテレビ、新聞などで探してみてください。そして、部落差別(同和問題)の解消に向けて、一人ひとりにできることが何かを考え、行動に移してもらえると嬉しく思います。
県では、子どもから大人まで、身近なところから人権について考え、行動することの大切さが感じられるよう、9月の同和問題啓発強調月間に合わせて「じんけんミニフェスタ」を開催しています。今年は以下のスケジュールで開催しますので、ぜひお越しください!
第1回
日時:令和6年(2024年)9月7日(土) 11時から16時まで
場所:ビバシティ彦根 1階センタープラザ(彦根市竹ヶ鼻町43-1)
第2回
日時:令和6年(2024年)9月28日(土) 11時から16時まで ※荒天中止
場所:ブランチ大津京 ブランチさんかく広場(大津市二本松1-1)
第3回
日時:令和6年(2024年)10月27日(日) 10時から15時まで ※雨天中止
場所:びわこ文化公園 わんぱく原っぱおよびその周辺(大津市瀬田南大萱町1740-1)
○開催内容
ステージイベント:手話シンガーソングライターyokkoさんとジンケンダーの手話歌ステージ、じんけん○×クイズ、ジンケンダー絵描き歌、キッズダンス等
人権啓発ブース:人権クイズラリー、ワークショップブース、パラスポーツ体験(ボッチャ、アキュラシ―)、フリーマーケット等
※内容は開催回ごとに異なります。詳細は県ホームページでご確認ください。
県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)で人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内
毎週火曜日10時15分~(5分間)
9月3日 ・・・・「同和問題1~同和問題とは~」
9月10日・・・・「同和問題2~身元調査とは~」
9月17日・・・・「同和問題3~差別発言・書き込み~」
9月24日・・・・「高齢者の人権」
番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。ちょっと難しい人権課題を、毎週わかりやすく解説しています。
放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くこともできます。
ぜひお聴きください!
8月28日から、パリパラリンピックが開幕しました。また、令和7年(2025年)には、滋賀県で「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」が開催されます。それに合わせて、「障スポ」で実施される障害者スポーツを紹介します。
今回は、正式競技の1つ、「アーチェリー」の概要について、ご紹介します。
◆アーチェリー
視覚障害を除く身体障害のある選手が出場する競技です。
弓の違いによって、「リカーブ部門」と「コンパウンド部門」があります。
それぞれの部門で50メートル・30メートルラウンドと、30メートルダブルラウンドを実施します。
詳細は、大会公式ホームページをご覧ください♪
●同和問題啓発強調月間
滋賀県および県内市町では、県民のみなさんが同和問題についての正しい理解と認識を深め、県民一人ひとりが部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて主体的に行動できるよう、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」として、さまざまな啓発事業を集中的に実施します。
●発達障害福祉月間
日本発達障害福祉連盟が主催する啓発月間であり、月間中は、発達障害への関心と正しい理解を深めることを目的とした啓発活動が行われます。
●障害者雇用支援月間
事業主のみならず、広く国民の皆様に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構をはじめとする関係機関が協力して、様々な啓発活動を行っています。
●8日 国際識字デー
昭和40年(1965年)9月8日からイランで開催された「世界教育相会議(テヘラン会議)」において、当時のパーレビー国王が各国の軍事費1日分を識字基金に拠出することを提案したのがきっかけで、アメリカのジョンソン大統領が米国議会に9月8日を「国際識字デー」に制定するように呼びかけ、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が制定しました。
●10日 世界自殺予防デー、10日~16日 自殺予防週間
10日はWHO(世界保健機関)が定めた「世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)」です。我が国では10日から16日までを自殺予防週間としています。悩みを抱えた人たちに広く支援の手を差し伸べていくことで、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指しましょう。
●15日 老人の日 、15日~21日 老人週間
だれもが健康で安心して生きがいをもった生活を送ることのできる長寿社会を築いていくことが求められています。このため、9月15日を「老人の日」、この日から21日までを「老人週間」とし、この期間を中心に、国民の間に広く高齢者の福祉について関心と理解を深めるとともに、高齢者に対して自らの生活の向上に努める意欲を促すための広報・啓発活動が国や関係団体により行われます。
●21日 国際平和デー
国連が「国際平和デー」を最初に宣言したのは昭和56年(1981年)です。従来、「国際平和デー」は毎年9月の国連総会開会日に制定され、開会式では各国代表がこの日を記念して1分間の黙祷を行うことが慣例となっていました。平成14年(2002年)からは、毎年9月21日を「国際平和デー」に定め、以後、世界の停戦と非暴力の日として、すべての国と人々に、この日一日は敵対行為を停止するよう働きかけています。
●21日 世界アルツハイマーデー
平成6年(1994年)「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定しています。アルツハイマー病等に関する認識を高め、世界の患者と家族に援助と希望をもたらす事を目的としています。
●23日 手話言語の国際デー
国連は、平成29年(2017年)12月19日の総会において、この日を「手話言語の国際デー(International Day of Sign Languages)」と宣言する決議を採択しました。決議文では、手話言語が音声言語と対等であることを認め、ろう者の人権が完全に保障されるよう、国連加盟国が社会全体で手話言語についての意識を高めるための手段を講じることを促進するとしています。