人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和6年(2024年)5月(第193号)
スマートフォンの普及により、インターネットやSNSの利用が幅広い世代に広がっています。ニュースのチェックや動画の視聴だけでなく、キャッシュレス決済や、自分の情報を発信したり誰かと連絡を取ったりするなど、日常生活に欠かせないツールになっています。
しかし、インターネット上では様々なトラブルが発生しています。
今回のじんけん通信では、インターネット上の様々なトラブルについて解説します。自分自身が加害者にも被害者にもならないために、どのようなことに気を付けるべきか考えてみましょう。
総務省によると、令和4年(2022年)のインターネット利用率は約85%となっています。(滋賀県のインターネット利用率は88%で、全国平均を上回っています。)
年齢層別のインターネット利用率をみてみると、13歳から59歳までの各階層で9割を超えています。
端末の種類別のインターネット利用率は、スマートフォンが71.2%で、パソコンよりも多くなっています。
インターネットの利用が進む一方で、利用している人の約70%が、利用時に何らかの不安を感じていることがわかっています。
具体的な不安の内容としては、「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」が最も割合が高く、次いで「コンピューターウイルスへの感染」、「架空請求やインターネットを利用した詐欺」、「迷惑メール」、「セキュリティ対策」となっています。
個人情報の漏えいが、大きな社会問題となっています。
企業などがサイバー攻撃を受けて個人情報が漏えいすることもありますが、インターネットの利用者自身が詐欺に遭って、個人情報が漏えいすることもあります。
例えば、以下のようなメールやメッセージから偽サイトにアクセスしてしまい、個人情報が抜き取られるケースが多発しています。
【メール・メッセージの例】
このように、金融機関や宅配業者、携帯会社などをかたって、セキュリティ問題や不在通知、料金の未払いを知らせるメールやメッセージが送られてきます。本文には、偽サイトに誘導するためのURLが記載されています。
偽サイトは本物のサイトそっくりに作られていて、クレジットカード番号やID、パスワードなどを入力した結果、不正利用されて身に覚えのない請求を受けることがあります。
また、個人情報が悪用されて、人権侵害につながるおそれがあります。
詐欺の手口は、どんどん巧妙になってきています。最近では、メールの差出人が詐称されていたり、もっともらしい文章になっていたりするなど、ひと目では嘘と見抜きにくくなってきています。さらに、フェイクニュースや有名人をかたった偽広告なども出回っています。
被害に遭わないためには、届いたメールやメッセージを鵜呑みにしないことが大切です。「重要」や「緊急」といった言葉が使われていても、慌てて本文に記載されているURLにアクセスしないでください。直接、公式のWEBページや公式アプリから情報を確認するようにしましょう。
また、ID、パスワードなどの個人情報は、安易に入力しないようにしましょう。
インターネット上では、自分の思いや考えを自由に投稿することができますが、その一方で誹謗中傷などの人権侵害が深刻な問題となっています。
令和2年(2020年)には、女子プロレスラーが、テレビ番組中の言動を理由にSNS上で激しい誹謗中傷を受けて亡くなるという痛ましい事件がありました。
インターネットでは匿名で容易に発信できますが、たとえ匿名の投稿であっても、投稿者を特定できる場合が多く、他人を傷つけるような投稿をすると、相手から名誉棄損罪や侮辱罪などに問われ、慰謝料などを請求されることがあります。
匿名性のある空間では、人は攻撃的になりやすいと言われていますが、インターネット上でも他人を傷つけてはいけません。顔が見えないからこそ、より一層、相手を思いやる気持ちが大切です。怒りの感情や正義感を理由に、相手を攻撃しないように注意しましょう。
また、自らの投稿でなくても、同調してその情報を転載・拡散した場合、二次発信者として加害者になることがあります。他人の投稿を安易に転載・拡散せず、内容をよく見極めましょう。
SNSやブログなどでは、自分の写真や情報を簡単に発信することができます。しかし、匿名であっても、投稿内容から名前や住所、生活範囲などが特定されることがあります。
上記は、投稿した写真から個人が特定されるリスクを描いた4コマ漫画です。制服は、デザインや色などの特徴から学校を絞り込むことができます。さらに、名札が付いていれば名前が特定されます。スマートフォンのカメラの性能が高まったことにより、瞳に映った景色から住所が特定されたケースもあります。
たとえ人が写っていなくても、写り込んだ建物や看板、マンホールなどの特徴から生活範囲が特定されることがあります。
また、写真や動画に限らず、「大雨が降ってきた」、「電車が事故で止まった」、「近所で火事があった」といった投稿でも、居場所が特定されるおそれがあります。
個人が特定されると、悪用されたり、ストーカー被害に遭ったりするおそれがあります。
情報を発信する際は、個人が特定される要素が含まれていないかよく確認しましょう。
また、他人の顔が写っている写真は無断で投稿せず、投稿しても良いか相手に確認を取りましょう。
写真を投稿する際には、「ぼかし」機能を使って個人の特定につながる要素を見えなくするなどの工夫も大切です。
インターネット上では、特定の投稿に対して批判やバッシングが殺到する「炎上」が度々発生しています。
友達に見せるつもりで悪ふざけの動画を投稿したら、取り返しのつかない事態になった、ということが後を絶ちません。中には、アルバイト先での不適切な行為や飲食店での不衛生な行為の投稿により、店舗が休業や閉店に追い込まれたり、店舗側から損害賠償を請求されたケースもあります。
炎上すると、瞬く間に拡散されます。投稿を削除したとしても、誰かがスクリーンショットや画面キャプチャー機能により投稿を保存していれば、炎上が続き、過去の投稿内容などから、投稿者の名前や住所、学校、勤務先が特定されることがあります。
ネットに刻まれた情報は、「デジタルタトゥー」と称されるほど残り続け、将来の自分を苦しめることになります。
インターネットで情報を発信する際は、全世界に向けて発信することを認識し、投稿内容をよく確認しましょう。
インターネットには、嘘やデマなどの間違った情報が投稿・拡散されることがあります。
新型コロナウイルス感染症が流行し始めた頃、「トイレットペーパーが不足する」というデマがインターネット上で拡散し、全国的に品薄になりました。
また、今年1月に発生した能登半島地震では、存在しない住所への救助を呼びかける投稿や不審者・不審車両への注意を促す不確実な投稿が拡散され、被災地を混乱させました。
インターネット上の情報の全てが、正しいとは限りません。
中には、人々を混乱させるためにわざと嘘やデマが流されることもあります。それらを鵜呑みにして拡散すると、他人に迷惑をかけたり、社会を混乱させたりすることがあります。
不確かな情報は安易に信用せず、拡散しないようにしましょう。良かれと思って拡散した情報が嘘やデマであった場合、他人の人権を侵害することがあります。また、情報の発信元を確かめることも大切です。
インターネット上で誰かと連絡を取るとき、お互いの表情や声の調子は伝わりません。時には、自分が伝えたいこととは違う意味で受け取られたり、誤解されたりすることがあります。それがきっかけで、いじめや喧嘩、仲間外れにつながることもあります。
【グループトークの一例】
メッセージを送る際には、誤解されにくい言葉を選んだり、絵文字や顔文字、スタンプを使ったりするなど、自分の気持ちが正しく伝わるように工夫しましょう。SNSはメールと比べて会話のテンポが速くなりがちですが、送信する前に内容をよく見直しましょう。
たった1通のメールがきっかけで詐欺被害に遭ったり、何気ない投稿が大きな問題になったり、一言のメッセージが人間関係のトラブルに発展するおそれがあります。
インターネットやSNSは大変便利なものですが、様々なリスクがあることを認識し、誰の人権も侵害しないように、また、自分の人権が侵害されないように、慎重に利用することが大切です。
県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)にて人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内
番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。ちょっと難しい人権課題を、毎週わかりやすく解説しています。
放送日時は、毎週火曜日10時15分~約5分間です。
放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くことができます。
ぜひお聴きください!
5月7日(火)・・・・「デートDV」
5月14日(火)・・・「パワーハラスメント」
5月21日(火)・・・「難病」
5月28日(火)・・・「ジェンダー平等」
●1日~7日 憲法週間、3日 憲法記念日
昭和22年5月3日、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を3つの基本原則とする日本国憲法が施行されました。毎年、この日を中心とした5月1日から7日は「憲法週間」です。この期間に合わせ、憲法の精神や司法の機能に対する理解を促すため、全国の裁判所及び法務省の機関で、様々な行事が開催される予定です。
●5日~11日 こどもまんなか児童福祉週間
すべての子供が家庭や地域において、豊かな愛情に包まれながら、夢と希望をもって、未来の担い手として、個性豊かに、たくましく育っていけるような環境・社会を作っていくことが重要です。厚生労働省では、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を「児童福祉週間」と定めて、子供の健やかな成長、子供や家庭を取り巻く環境について、国民全体で考えることを目的に、児童福祉の理念の一層の周知と子供を取り巻く諸問題に対する社会的関心の喚起を図っています。
●8日、9日第2次世界大戦で命を失った人たちのための追悼と和解のための時間
平成16年(2004年)に国連総会はこの日を追悼と和解の日と指定すると宣言し、加盟国や国連諸機関、NGOなどに、ふさわしい形で祈念し、戦争でなくなった全ての人を追悼するよう要請しました。戦争を過去のものにしないために今一度振り返り平和について考えましょう。
●12日~18日看護週間、12日看護の日
これからの高齢化社会を支えて行くためには、国民一人一人が、ケアの心、看護の心を理解することが大切です。近代看護の基礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなんで、毎年5月12日は「看護の日」と定められています。この日を含む看護週間を中心に、各媒体での看護に関する広報や関係行事が各地で行われます。
●12日民生委員・児童委員の日
各地域で住民の相談や支援の担い手として活動する民生委員・児童委員は、全国で約23万人。この日から18日までの1週間を「活動強化週間」として積極的な活動を展開しています。