人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
ブラウザの「お気に入り」に入れていただければ幸いです。
「じんけん通信」は、バックナンバーもご覧いただけます。
令和5年(2023年)9月(第185号)
毎年9月は同和問題啓発強調月間です。
同和問題※に関しては、結婚や就職時に身元調査が行われ、結婚に反対されたり、就職時に不利な取り扱いをされるという問題が今も起こっています。
こうした身元調査は、同和問題に限って行われるものではありません。私たちの大切な個人情報が記載された戸籍や住民票が、知らないうちに不正取得されている可能性があることをご存じでしょうか?
今回の特集では、こうした戸籍等の不正取得を防止するために市町で設けられている「本人通知制度」についてご紹介します。
※同和問題…同和地区・被差別部落などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活のうえで様々な差別を受けるという日本固有の人権問題。
戸籍や住民票には、住所や本籍地、家族構成、結婚や離婚の経歴など、その人の大切な個人情報が記載されています。
こうした情報が他人によって不正取得されると、結婚や就職時の身元調査、また詐欺やストーカー行為などの犯罪に悪用される可能性があります。
戸籍などを請求できるのは本人や限られた家族だけですが、特定の国家資格※を持った人には職務上の請求が認められており、これを悪用した有資格者による不正取得事件がこれまでに何度も発生しています。
※特定の国家資格…弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、社会保険労務士、海事代理士の8資格。
上記のような不正取得事件では、一部の調査会社からの依頼を受けて大量の戸籍等の不正取得を行うことにより、不正取得者が多額の報酬を受け取っていたことが判明しています。
また、不正取得の目的に関して、過去の事件では不正取得を依頼した調査会社の経営者が「8割は結婚相手の身元調査だった」と述べていたこともあり、結婚に際して相手の身元を調べるという動機が根強く存在しているものと考えられます。
誰も「生まれる場所」を自分で選ぶことはできません。また、「親の職業」や「家庭環境」なども選ぶことはできません。
それにもかかわらず、調査会社を使って出身地や家族の状況などを調べ、そのことを理由に結婚に反対したり、就職時に不利な取り扱いをしたりすることは許されないことです。
令和3年(2021年)に実施した「人権に関する県民意識調査」の結果では、同和問題の解決に向けた取組として「身元調査をしない、させない取組を進めることが必要」という考え方に対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」という回答が6割強あった一方、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」という否定的な回答が2割弱ありました。「身元調査をしない・させない」という意識を社会全体に広げていくことが必要です。
また、憲法第24条では「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定められていますが、同調査では「結婚の相手を決めるときに、家柄や血筋にこだわる考え方」について「おかしいと思うのでなくしていくべきだと思う」という回答が5割強ある一方、「そのとおりだと思う」「おかしいと思うが自分だけ反対しても仕方がないと思う」という回答も4割強ありました。
就職は、一人ひとりの生活の安定や生きがいに関わる極めて重要な意義をもっています。採用時や入社後に、家族の状況や出身地などで差別することは、就職の機会均等・職業選択の自由や生活権の保障と言った基本的人権を侵害する許されない行為です。
国や県では、応募者の基本的人権を尊重することや、本人の適性・能力のみを基準とした公正な採用選考システムを確立するよう、事業所などに対して指導・啓発を行っています。
相次ぐ不正取得事件の発生を受けて、全国の市町村で「本人通知制度」が導入されています。これは、第三者があらかじめ登録された人の戸籍などを取得した場合、本人に取得された事実が通知されるという制度です。
多くの人がこの制度に登録することで、不正取得の早期発見や事実関係の究明が可能となるだけでなく、結婚差別などの重大な人権侵害につながる身元調査を抑止する効果も期待されています。
「本人通知制度」は戸籍や住民票などが第三者の請求によって交付された場合、事前に必要な登録をしておくと、交付があった事実が市町から通知される制度です。
請求者の住所や氏名などの情報は通知されません。誰が請求を行ったかを知りたい場合は、市町に対して個人情報保護法に基づく「保有個人情報の開示請求」の手続きを行う必要があります。
「本人通知制度」に登録しておくと、市町からの通知で第三者に戸籍などが交付されたことを知ることができるため、不正な取得であった場合、その早期発見が期待できます。
また、この制度に多くの人が登録することで、身元調査などのために不正取得を使用とする者が発覚を警戒するようになり、その抑止につながる効果があります。
各市町の戸籍を担当する課に必要書類の提出や本人確認書類の提示を行うことにより、登録することができます。
詳しくは、お住まいの市町にお尋ねください。(一部の町では制度が導入されていませんので、ご注意ください。)
市町名 | 担当課 | 電話番号 | ホームページ(リンク) |
---|---|---|---|
大津市 | 戸籍住民課 | 077-528-2731 | 大津市ホームページ(外部サイト) |
彦根市 | ライフサービス課 | 0749-30-6111 | 彦根市ホームページ(外部サイト) |
長浜市 | 市民課 | 0749-65-6511 | 長浜市ホームページ(外部サイト) |
近江八幡市 | 市民課 | 0748-36-5500 | 近江八幡市ホームページ(外部サイト) |
草津市 | 市民課 | 077-561-2344 | 草津市ホームページ(外部サイト) |
守山市 | 市民課 | 077-582-1122 | 守山市ホームページ(外部サイト) |
栗東市 | 総合窓口課 | 077-551-0110 | 栗東市ホームページ(外部サイト) |
甲賀市 | 市民課 | 0748-69-2138・2137 | 甲賀市ホームページ(外部サイト) |
野洲市 | 市民課 | 077-587-6086 | 野洲市ホームページ(外部サイト) |
湖南市 | 市民課 | 0748-71-2323 | 湖南市ホームページ(外部サイト) |
高島市 | 市民課 | 0740-25-8018 | 高島市ホームページ(外部サイト) |
東近江市 | 市民課 | 0748-24-5630 | 東近江市ホームページ(外部サイト) |
米原市 | 市民保険課 | 0749-53-5113 | 米原市ホームページ(外部サイト) |
竜王町 | 住民課 | 0748-58-3702 | 竜王町ホームページ(外部サイト) |
愛荘町 | 住民課 | 0749-42-7692 | 愛荘町ホームページ(外部サイト) |
豊郷町 | 住民生活課 | 0749-35-8115 | 豊郷町ホームページ(外部サイト) |
甲良町 | 住民人権課 | 0749-38-5063 | 甲良町ホームページ(外部サイト) |
多賀町 | 税務住民課 | 0749-48-8114 | 多賀町ホームページ(外部サイト) |
● 同和問題啓発強調月間
滋賀県および県内市町では、県民のみなさんが同和問題についての正しい理解と認識を深め、県民一人ひとりが部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて主体的に行動できるよう、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」として、さまざまな啓発事業を集中的に実施します。
● 発達障害福祉月間
日本発達障害福祉連盟が主催する啓発月間であり、月間中は、発達障害への関心と正しい理解を深めることを目的とした啓発活動が行われます。
● 障害者雇用支援月間
事業主のみならず、広く国民の皆様に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構をはじめとする関係機関が協力して、様々な啓発活動を行っています。
● 8日 国際識字デー
昭和40年(1965年)9月8日からイランで開催された「世界教育相会議(テヘラン会議)」において、当時のパーレビー国王が各国の軍事費1日分を識字基金に拠出することを提案したのがきっかけで、アメリカのジョンソン大統領が米国議会に9月8日を「国際識字デー」に制定するように呼びかけ、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が制定しました。
● 10日 世界自殺予防デー、10日~16日 自殺予防週間
10日はWHO(世界保健機関)が定めた「世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)」です。我が国では10日から16日までを自殺予防週間としています。悩みを抱えた人たちに広く支援の手を差し伸べていくことで、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指しましょう。
● 15日 老人の日 、15日~21日 老人週間
だれもが健康で安心して生きがいをもった生活を送ることのできる長寿社会を築いていくことが求められています。このため、9月15日を「老人の日」、この日から21日までを「老人週間」とし、この期間を中心に、国民の間に広く高齢者の福祉について関心と理解を深めるとともに、高齢者に対して自らの生活の向上に努める意欲を促すための広報・啓発活動が国や関係団体により行われます。
● 21日 国際平和デー
国連が「国際平和デー」を最初に宣言したのは昭和56年(1981年)です。従来、「国際平和デー」は毎年9月の国連総会開会日に制定され、開会式では各国代表がこの日を記念して1分間の黙祷を行うことが慣例となっていました。平成14年(2002年)からは、毎年9月21日を「国際平和デー」に定め、以後、世界の停戦と非暴力の日として、すべての国と人々に、この日一日は敵対行為を停止するよう働きかけています。
● 21日 世界アルツハイマーデー
平成6年(1994年)「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定しています。アルツハイマー病等に関する認識を高め、世界の患者と家族に援助と希望をもたらす事を目的としています。
● 23日 手話言語の国際デー
国連は、平成29年(2017年)12月19日の総会において、この日を「手話言語の国際デー(International Day of Sign Languages)」と宣言する決議を採択しました。決議文では、手話言語が音声言語と対等であることを認め、ろう者の人権が完全に保障されるよう、国連加盟国が社会全体で手話言語についての意識を高めるための手段を講じることを促進するとしています。