人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和5年(2023年)5月(第181号)
子どもの日の5月5日から始まる11日までの一週間は、「児童福祉週間」です!
そこで今月号のじんけん通信では、「子ども食堂」について特集します。米原市で「子ども食堂」を毎月実施されている「NPO法人Take-Liaison(ていく りえぞん)」のインタビュー(3月15日取材)内容を紹介します!
すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目指し、県ではさまざまな人権啓発を実施しています。この記事を、人権について考えるきっかけとしていただけると幸いです。
皆様も「子ども食堂」という言葉を耳にしたことはあるのではないでしょうか。でも、実際にどのような活動をされているのか、と言われるとまだまだご存知ない方も多いと思います。
今、滋賀県では、誰一人取り残さず、すべての子どもが生まれてきてよかったと思える社会づくりの取組のひとつとして、地域の中での子どもたちの居場所づくりを進めています。
県内に広がる子ども食堂は地域の中での子どもたちの居場所のひとつとなり、子どもだけでなく、子育て中の親や高齢者など多世代間交流の場となっています。
また、子どもが歩いて行ける範囲である小学校区に1つ以上、子ども食堂がある状態を目指し、子ども食堂開設300カ所に向け、滋賀県社会福祉協議会とともに公私協働で支援しています。
子ども食堂の普及啓発のために、子どもの笑顔はぐくみプロジェクトのスポンサーや子ども食堂の運営者などが一堂に会するフェスタを毎年開催していることをご存知ですか。
昨年は「子ども食堂フェスタ2022」を令和4年(2022年)10月22日に長寿社会福祉センターで開催しました。
また、滋賀県のホームページ「子ども食堂」で、子ども食堂マップと子ども食堂市町別一覧を公開していますので、ぜひご覧ください。
「NPO法人Take-Liaison」は、今回ご紹介する1.湖北子ども食堂「Liaison(リエゾン)」(第1水曜日に実施)のほか、2.トワイライトステイ事業の『子どもの夕刻サポート「トワイライトLiaison」』(第2・3・4水曜日に実施、夜の子どもの居場所づくり活動)、3.引きこもり支援事業・学習支援事業の『学校に行かない日の、子どもいきいき応援室「ほわっとLiaison」』(月・水・金の14時~17時に実施)、4.地域のつながり創造事業・心いきいき体験事業として『コミュニティカフェ「Liaison」』を土曜日の13時~17時に開設し、「ホッとお茶の間&健康マージャン」や月1回の「水彩画を楽しむ会」、「音楽の窓辺」(ミニコンサート)等を実施されています。
今月号では、1.湖北子ども食堂「Liaison」について特にお聞きしましたので、ご紹介します。
(上に写真を掲載している)農機具倉庫を建てた当時から、ゆくゆくは親子が絵本を読めるような、休憩ができるスペースにしたいとのイメージは持っていました。ご高齢者の方にも利用しやすいように、畳の部分に掘りがあったり、2階にいても一体感があるように吹き抜けがあったり工夫しています。
その後義理の両親が農業を引退し、近所の人たちがお茶を飲めるような場所をつくってほしいと言うので、ミニキッチンやトイレも設置しました。
ある日私がオーブンを使って友達にプレゼントするケーキを焼いていた時に、喫茶店と間違えて入ってこられた方がいました。近所のご夫婦と小学3年生になるお子さんでした。近所の方が来られたのがうれしくて「喫茶店じゃないです。」とは言えず、ちょうどケーキも焼いていたので、「いいですよ~」と言って入ってもらったところ、お子さんが「僕オレンジジュース」と注文され、ご夫婦はコーヒーを注文されました。ちょうどそのお子さんの友達が、この建物の裏の公園で遊んでいて、ケーキが焼きあがるころに全員が建物に入ってきて、一緒にケーキを囲むこととなったのです。
それ以来、私がここを開けるたびに、子どもたちが集まってくるようになりました。当時はおもちゃも何もない状態でしたが、そんなに喜んでくれるなら何かしようと考え、滋賀県は「子ども食堂」が始めやすい状況でしたので、まずは「子ども食堂」からやってみようと思いました。それが7年前になります。
子ども食堂の開設に当たり、案内チラシをもって近所を回ると、「『子ども食堂』ってご飯を食べさせてもらえない子どもが行くところではないんですか」と聞かれたこともありました。「そういう目的もあって生まれたものではありますが、地域の交流の場にもなればいいと思ってるんです」とお答えするとご理解くださり、子どもさんを参加させてくださるようになりました。
最初は5~6人くらいから始まり、次第に口コミで広がるようになり、更には隣の自治会からも参加され、今では、子どもが40人程度来てくれる状況となりました。
まず、参加しやすいように心がけています。予約不要にしているのは、親が申し込みをしていなかったから行けないという状況がないようにしたいからです。
また、開設後4年が経過したころから新型コロナウイルス感染症が拡大したこともあり、感染対策として、外でも食べられるようにテントを3張り建てるなど工夫して実施しましたが、継続していいのかなど色々と考えることがありました。
また、下の写真の『Liaison通信』を毎回手作りで発行し、近所約50軒のポストに入れて広報を行っています。それ以外にもFacebookなどSNS上に掲載するなどして、「子ども食堂」というものを地域の方にご理解いただくことは不可欠だと痛感しています。というのも、「子どもが道路に出て危ない」、「車の通行の邪魔となる」、「見通しが悪くなる」などと言われる方がいらっしゃいます。そんな投書が届いたこともありました。
「子どもは家族がみる、家庭で育てることが当たり前」という価値観がある中で、そういう方々にも「子ども食堂」の意義を知ってもらうような努力を怠ってはいけない、と思っております。投書をいただいたときは、『Liaison通信特別号』を発行し、なぜこの場所で存在し続けていきたいのか思いを伝えました。また、併せて、できれば子どもの見守りをお手伝いいただけませんか、とお願いしたところ、来てくださった方がいらっしゃっいました。また、「今はまだ仕事と子育てで手伝うことができないけど、ひと段落したら必ず手伝いたいからそれまでがんばって続けてね。」という声もいただいたことが非常にうれしかったです。
子ども食堂を運営することで、何か近隣の方も含めて迷惑をかけていないか、という配慮は忘れないようにしようと、改めて肝に銘じました。
ケガや食中毒のリスクとは常に隣り合わせですし、コロナ禍ではとくに綱渡り状態でしたが、コロナの状況下で何をしているのか、といった声もなく続けてこられたのはありがたかったです。
寒い時季は屋外での食事も難しいので、お弁当の配布にしました。その時はご家族分の注文をいただくこともあり、合計で120個くらいの注文となりました。そういう積み重ねが理解につながったのかもしれません。
お手伝いとしては、料理のお手伝いに7~8人、前の道路などの警備に3~4人程度来て下さっています。地域の方もいますし、お一人は大津から来ていただいています。その方は、母の元職場の関係者の方で、一度遊びに来ていただいた方ですが、それ以降毎月大津から来てくださっています。そういったお手伝いの皆さんは、ボランティアで来てくださっています。LINEでグループをつくり、「明日よろしくお願いします。お越しいただける時間だけで結構です。」と流すと、当日参加できる方がお手伝いしてくださっている状況です。
食材については、野菜は地域の皆様からいただくこともありますが、肉など生鮮食品は購入しています。地元の食品会社さんが時折、規格外の製品をくださることもあります。頂き物があるときはそれが活かせるようなメニューを考えて決めています。キッチンがミニキッチンで小さいので、カセットガスコンロも使いながら料理しています。
量としては、80食程度を想定しています。今回は「卒業お祝いday」と題して中3生と小6生は無料です。たくさん来てくれるとうれしいですが、足りるかどうかの不安もあります(結果的に、76名うち子どもは58名でした。)
今日で87回まできましたので、まずは100回を目指したいと考えています。
「子ども食堂」に来てくれた子どもが、大きくなって、また帰ってきてくれると嬉しいです。5周年の時だったと思いますが、記念に缶バッジを作成しました。その時にある子どもが「次は何周年目指すの?」と聞いてくれて、「10周年かなあ」と答えたところ、「その時僕は22歳かあ、どこで何してるんやろう」と言ってくれましたが、その会話が忘れられません。
地域を出て羽ばたいてくれるのも、地域に残って活躍してくれるのも、両方うれしいことです。
2~3年位前から、若い人たちが自ら命を絶っているという報道を多く目にするようになりました。子どもたちが社会に出て苦しい思いを抱えたときに、しがらみがない居場所がその人にあれば、追いつめられたときに最悪の選択をしなくて済むのではないか、と考えています。
「ただそこにいるだけでいい場所」、「自然に笑える場所」、というものに「子ども食堂」はなりえると思います。今すぐに成果が出なくても、今、目に見えていることだけではなく、10年後、20年後に意味を成すものではないかと思います。
県内でも「子ども食堂」が増えていますが、そんなに食べるのに困っている子どもが増えているのか、と疑問に思っている方もいると思いますが、今、現実困っていて「子ども食堂」で助かっている人もいると思いますし、また、10年経って必要とする人も出てくるかもしれません。そのためにも継続していくことが重要だと思います。
こういった活動をしている中で、子どもたちが何を求めているのかが伝わってきます。ある時6年生の男の子二人が肩を組みながらやってきて、「Liaisonは楽園やなあ」と言ってくれました。「なんでそう思うの?」と聞いてみると「スタッフの人がみんなやさしい」と答えてくれました。
おいしいものが食べられるとか、おもちゃがあるとかではありませんでした。スタッフの皆さんがやさしいものの言い方をしてくださることがありがたいですし、子どもたちは何より大人の笑顔を求めているんだなと感じました。子どもたちは、怪訝な顔を大人がしていると敏感に感じ取り、「何か悩みがあるの?」と聞いてきます。コロナになりマスクをするようになった今は、なるべく目で笑うように意識しています。
今日のメニューに使われていた自家製チャーシュー、理事長の北居丈範さんの手作りでした。五香粉という調味料を入れた香り豊かなチャーシューで、非常においしく仕上がっていました!
また、子どもたちみんなが、副理事長のことを「理恵さん」と気軽に呼んでいる姿を拝見し、いい関係性が築けていると実感しました。
●1日~7日 憲法週間、3日 憲法記念日
昭和22年5月3日、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を3つの基本原則とする日本国憲法が施行されました。毎年、この日を中心とした5月1日から7日は「憲法週間」です。この期間に合わせ、憲法の精神や司法の機能に対する理解を促すため、全国の裁判所及び法務省の機関で、様々な行事が開催される予定です。
●5日~11日 児童福祉週間
すべての子供が家庭や地域において、豊かな愛情に包まれながら、夢と希望をもって、未来の担い手として、個性豊かに、たくましく育っていけるような環境・社会を作っていくことが重要です。厚生労働省では、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を「児童福祉週間」と定めて、子供の健やかな成長、子供や家庭を取り巻く環境について、国民全体で考えることを目的に、児童福祉の理念の一層の周知と子供を取り巻く諸問題に対する社会的関心の喚起を図っています。
●8日、9日第2次世界大戦で命を失った人たちのための追悼と和解のための時間
平成16年(2004年)に国連総会はこの日を追悼と和解の日と指定すると宣言し、加盟国や国連諸機関、NGOなどに、ふさわしい形で祈念し、戦争でなくなった全ての人を追悼するよう要請しました。戦争を過去のものにしないために今一度振り返り平和について考えましょう。
●8日~14日看護週間、12日看護の日
これからの高齢化社会を支えて行くためには、国民一人一人が、ケアの心、看護の心を理解することが大切です。近代看護の基礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなんで、毎年5月12日は「看護の日」と定められています。この日を含む看護週間を中心に、各媒体での看護に関する広報や関係行事が各地で行われます。※今年は新型コロナウイルス感染症が発生していることも踏まえ、例年と異なるイベントの規模や実施方法等が考えられます。
●12日民生委員・児童委員の日
各地域で住民の相談や支援の担い手として活動する民生委員・児童委員は、全国で約23万人。この日から18日までの1週間を「活動強化週間」として積極的な活動を展開しています。