人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和5年(2023年)2月(第178号)
ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」をご存知ですか?
ユニバーサルデザインとは、ユニバーサル(普遍的な)という言葉が示すとおり、すべての人に使いやすい商品や社会環境を作っていこうとする考え方のことで、1980年前後にアメリカで提唱され出したものです。
このユニバーサルデザインの考え方は福祉のまちづくりの実現にも不可欠であり、本県においては、それまでの「滋賀県住みよいまちづくり条例」にそのユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、平成16年(2004年)8月に「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」(以下「条例」と言います。)に改正されました。
今月のじんけん通信では、出来立てほやほやの「滋賀ダイハツアリーナ(新県立体育館)」のユニバーサルデザインの導入事例を取材してきましたので、その内容も含めてご紹介します!
滋賀県では、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目指しています。
令和4年(2022年)12月1日、『誰もが自分らしく輝ける新たな交流拠点。未来に向けて「変わる滋賀」のフラッグシップモデル』として新たな時代のスポーツ交流拠点である新県立体育館、愛称「滋賀ダイハツアリーナ」がオープンしました!
この「滋賀ダイハツアリーナ」には、最高水準のユニバーサルデザインが導入されていることをご存知ですか。今号ではその一端を取材してきましたので、ご紹介します。
「滋賀ダイハツアリーナ」の北側アプローチに設置したスロープは、条例整備基準の「こう配1/12以下、高さ750mm以内ごとの踊り場」よりも高い基準とし、「こう配1/20かつ高さ500mm以内ごとの踊り場」設置で、車いす使用者も快適で安全なスロープとなっています。
また、敷地内経路や施設内は段差のないフラットな設計としたことで、様々な人が快適に移動できるように工夫されています。
主要な導線には、20m前後離れた場所からも見やすい文字サイズのサインとし、あわせて利用者の視線の高さに対して見やすい大きさ、位置に配慮して設置しています。
また、手すりやエレベーターのボタン、トイレの点字表示は、視覚障害者が指で自然に触れる高さ・位置に配置しています。
しかもこのエレベーターは、26人乗り仕様となっており、幅1,500mm×奥行2,500mmの広いスペースを確保することで、車いす使用者2名が同時に利用する際にも自力転回が可能な大きさとなっています。
メインアリーナには3か所に車いす席を合計28席、3か所に設置し、なおかつ前列側へ1列分せり出してスペースを確保し、前の人が立ってもイベントの様子がよく見えるように工夫されています。
共用トイレブースの一部に利き手の状況に応じた左開き、右開きの扉の個室トイレや、左右どちらからでも使用できる手洗い場を設置することで、片麻痺利用者に配慮した仕様となっています。
また、各所の主なトイレは、1ブースを乳幼児連れで利用しやすいトイレとすることで、子ども連れ利用者の利便性も考慮されています。さらにこのトイレの開き戸は、力をあまり必要としない上に、開き戸の開き方に工夫が凝らされ、従来の半分以下のスペースで開閉できるようにとなっており、ベビーカーの持ち込みもしやすいなど、誰もが使いやすい仕様となっています。
さらに、多目的トイレへは、内部にカーテンを設置することにより、異性の同伴者が同行しても、気兼ねなく利用ができるように工夫されています。
身体障害者用の更衣室については、サインもわかりやすく、更衣室内においても、車いすでも十分転回できるスペースの確保、身体障害者用のトイレ、シャワーブースの設置など、様々な配慮がされています。
補助犬用トイレも設置し、補助犬を同伴する障害者の利便性の向上に努めています。また、補助犬用トイレは、館外に設置することで、衛生面にも配慮しています。
1階の小会議室を「パニックが生じた時に冷静になるためのスペースあるいはルーム」や、「静かなところに行きたくなったら過ごす場所で、パニックを予防することを目的とした場所」であるカームダウン室として開放し、自閉症や発達障害者が気持ちを落ち着かせる場所として提供しています。
ご紹介した以外にも、キッズルームや、標準の高さの受付カウンターと車いすや子どもに合わせた高さの2つの受付カウンターなど、幅広い方が利用しやすい工夫がちりばめられています。皆さんもスポーツ観戦などでこの施設を訪れた際には、ユニバーサルデザイン探検をしてみてはいかがでしょうか。
「滋賀ダイハツアリーナ」のユニバーサルデザイン、様々な観点からのアイデアや配慮がちりばめられていました。「すべての人にとって利用しやすい」という考え方を積極的に取り入れることで、まさに「より多くの方が訪れてみたい」と思うことができる施設になっていると感じました。
条例に基づく整備基準に適合した施設に交付される下図のマークの適合証についても、もちろん取得しています!この条例に基づく施設のユニバーサルデザイン化について、広く県民の皆さんに知っていただき、県内でもさらに進むよう、入口付近に適合証を掲示しています。訪問された際にはぜひご覧ください!
すべての人の人権を尊重した社会づくりは身近なところから始まっています!
● 2 月 1 日~3 月 18 日 サイバーセキュリティ月間
昨今、サイバー空間において国民の個人情報や財産をはじめ、実生活に悪影響を及ぼすサイバー攻撃による被害が深刻化しています。安全・安心な社会の実現のために、サイバー空間の利用者である国民一人ひとりが、意識・理解を醸成し、対策を進めていく必要があります。期間中、政府機関が各種啓発主体と連携し、サイバーセキュリティに関する普及啓発活動を集中的に実施します。
● 4 日~10 日 滋賀県がんと向き合う週間
2 月 4 日の世界がんデーに世界各国でがんに関する啓発行事が行われることから、滋賀県は、2 月4 日から 10 日を滋賀県がん対策の推進に関する条例で「滋賀県がんと向き合う週間」と定め、「県民および事業者の間に広くがんに関する理解と関心を深めるとともに、がんの予防、早期発見等に関する自主的な取組への意欲を高める」こととしています。期間中、がんに関心を持っていただけるよう広報等を行います。
● 20 日 世界社会正義の日
国際連合は平成 19 年(2007 年)の決議で、この「世界社会正義の日」を採択しました。平成 7 年(1995 年)の「世界社会開発サミット」で採択された宣言の内容である貧困の撲滅や、男女同権、労働者の権利について目標達成に向けた取組の促進を加盟国に働きかけるもので、啓発活動等が行われます。
● 21 日 国際母語デー
言語と文化の多様性、多言語の使用、そしてあらゆる母語の尊重の推進を目的とし、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が平成 11 年(1999 年)に「国際母語デー」を制定しました。