人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和8年7月号 (PDF:5 MB)
令和8年(2026年)7月(第219号)
7月は“社会を明るくする運動”強調月間です。罪を犯した人の更生についての理解を深め、犯罪や非行のない地域社会を築くために、全国で様々な取組が行われます。
そこで今回は、少年鑑別所法に基づき、対象者の「鑑別」や入所者の人権を尊重した適切な「観護処遇」、非行・犯罪の防止に関する「地域援助」を行うことを目的として全国に設置されている少年鑑別所の中から、本県にある「大津少年鑑別所」に取材をお願いしました。
非行や犯罪のあった少年が一時的に生活を送り、立ち直りへの第一歩を踏み出す場でもある専門機関の取組を紹介させていただきます。
🎤大津少年鑑別所で働く、法務技官(心理)※にインタビューさせていただきました。
※非行や犯罪などの問題行動の背景を分析する専門家
少年鑑別所は、法務省が所管する施設で、全国には支所を含めて52か所設置されています。
少年院と混同されがちですが、少年鑑別所は審判前の少年を専門的に鑑別する施設で、家庭裁判所が処遇を決めるための資料を作成しています。
少年鑑別所には次の3つの役割があります。
1.鑑別 2.観護処遇 3.地域援助
非行や犯罪のあった少年の審判にあたって、その少年の心理検査や面接が必要であると家庭裁判所が判断した場合、少年鑑別所に送られます。
鑑別とは、医学や心理学、教育学、社会学などの専門的知識や技術に基づき、鑑別対象者について、その非行等に影響を及ぼした資質上・環境上問題となる事情を明らかにした上、その事情の改善に寄与するため、適切な指針を示すことです。
鑑別の結果は家庭裁判所に通知し、審判に活用されます。
家庭裁判所で観護の措置が決められた少年は、落ち着いた気持ちで審判を受けることができるよう、少年鑑別所で規則正しい生活を送ります。
入所期間の約1か月の間、24時間体制で生活を見守っています。
少年鑑別所は、少年院や刑務所のような教育や指導などをする施設ではないため、非行や犯罪に対する指導はできませんが、言葉づかいやマナーなど、基本的な生活習慣に関する助言を行っています。
少年が過ごす部屋は、原則1人部屋です。読書や日記をつけることなどを通して、静かに自分と向き合います。定期的に職員が見回りをして、行動を観察しています。
少年はスマートフォンを使用できませんが、決められた時間にテレビを見ることができますし、本人の希望に応じて、鑑別所職員が勉強を教えることもあります。
ヨガで気持ちを整えたり、将来の人生設計を一緒に考えることもあります。
また、お花見などの季節の行事も行っています。
少年鑑別所は、平成27年から「法務少年支援センター」として一般の方からの相談を受け付けています。
大津少年鑑別所は、「法務少年支援センターおうみ(こころの相談室おうみ)」として、関係機関・団体と連携を図りながら、専門性を活かして地域における非行・犯罪の防止に関する活動や健全育成に関する活動などに取り組んでいます。
<心理相談>
非行や不良行為、友達関係、学校でのトラブル、家庭でのしつけや子育ての悩みなど、青少年が抱える問題についてご相談をお受けしています。
本人に対しては、助言やカウンセリングのほか、面接や心理検査等を実施して、問題行動の分析を行います。
保護者や支援者の方には、問題行動の分析を行った結果、今後の関わり方について一緒に考え、助言を行っています。
相談の内容としては、暴力や盗み、対人トラブルなど、子どもの問題行動に関する相談が多いです。相談件数は年々増えており、ニーズが高まっています。最近は、学校からの相談が増えています。
<講演・研修>
学校での授業や研修会での講演も行っています。
青少年の健全育成や非行・犯罪の防止に関する講演や研修に、職員を派遣しています。
さらに、大津少年鑑別所の独自の取組として、地元で開かれている子ども食堂にも関わっています。
環境と、本人の資質(知能や性格等)が複合したものが多いです。
環境は、例えば面前DV等の心理的虐待や身体的虐待、ネグレクト、いじめ、トラウマ体験(自殺を見た等)などがあります。中には、保護者が刑務所に入所しているケース等もあります。
また、本人の資質についても検査していますが、障害のグレーゾーン域(障害の特性がみられるが、診断基準は満たさない状態)にある少年が多いように思います。
少年は、辛い体験をしたり、たくさんの人に怒られたりして、自尊心が傷ついていることが多いです。
少年鑑別所に入所するとき、中には険しい表情をしている少年もいます。
しかし、入所して2~3日経つと表情が変わってきます。
少年と接していると、本当は優しかったり、負けず嫌いな一面があるなど、良いところがたくさん見えてきます。
私たちは、彼らが非行や犯罪で何を得ようとしたのか、彼らのニーズを何で満たせるかを考えています。本来の子どもらしさを取り戻せるよう、日常生活の中に様々なきっかけを散りばめています。
スマートフォンやSNSが普及したことによって、非行・犯罪へのアクセスがしやすくなっていると思います。
闇バイトの募集や薬物の売買など、SNS上には危険な情報があふれています。
また、非行や犯罪に至る背景は様々なので、少年鑑別所だけでは解決できない問題がたくさんあります。社会復帰を見据えて、児童相談所など外部の機関とのさらなる連携に、課題を感じているところです。
人によっては、非行や犯罪をした人に対して、「困った人」というイメージがあるのではないかと思います。
しかし、入所した少年と話をすると、彼ら自身も行き詰まっていたり、SOSを出せないなど、困りごとや生きづらさを抱えています。
非行や犯罪をした少年に対して、「助けが必要なのかも」という視点で見ていただけたらと思います。
また、少年鑑別所のことを多くの方に知っていただきたいです。
施設見学も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
大津少年鑑別所
〒520-0867 大津市大平一丁目1番2号 📞077-537-1011
【全国共通相談ダイヤル】📞0570-085-085 ※最寄りの法務少年支援センターにつながります
少年鑑別所では、非行や犯罪のあった少年を専門的な視点で分析し、立ち直りの鍵を探っていることがわかりました。
また、お話を伺う中で、再び前を向こうとする少年の素顔も見えてきました。
少年の立ち直りには、少年鑑別所の取組だけではなく、地域社会の理解や協力が欠かせません。非行や犯罪を防ぎ、誰もが暮らしやすい明るい地域社会を築くために、温かい心を持つとともに、子どものSOSに気が付いて、自分には何ができるかを考え、行動できるようになりたいですね。
*本稿では「少年」という表現を用いていますが、少年鑑別所では性別を問わず対応されています。
ジンケンダーのちょっと一言
\少年鑑別所のことをみんなに知ってほしいのだー!/
県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)で人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内
【今月の放送予定】毎週火曜日9時30分頃~(5分間)
7月 7日・・・・「刑を終えた人の人権」
7月14日・・・・「人身取引」
7月21日・・・・「ハンセン病」
7月28日・・・・「インターネット上の人権侵害1~加害者にならないために~」
番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。ちょっと難しい人権課題を、わかりやすく解説しています。
放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くこともできます。ぜひお聴きください!
●“社会を明るくする運動”強調月間~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~
“社会を明るくする運動”は、すべての国民が、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築こうとする、法務省が提唱する全国的な運動です。強調月間である7月を中心に、1年を通じてSNSを活用した広報活動等に力を入れて取り組まれています。
●再犯防止啓発月間
法務省では、7月を「再犯防止啓発月間」と定めています。県では、関係機関が一丸となって、生きづらさのある人に寄り添いながら、犯罪が選択肢とならないような社会環境をつくるとともに、それがひいては被害者を生み出さない社会となることを目指して、令和6年に第二次滋賀県再犯防止推進計画を策定しました。
◇「滋賀県における再犯防止の取組」滋賀県ホームページ
●青少年の非行・被害防止滋賀県強調月間
内閣府では、7月を「青少年の非行・被害防止全国強調月間」と定めています。本県においても、同月を「青少年の非行・被害防止滋賀県強調月間」とし、関係機関・団体、地域住民等が青少年の非行と犯罪被害に対する共通の理解と認識を深め、青少年はもとより、社会全体が規範意識を高め、社会環境の浄化を図るための諸施策・諸活動を集中的に実施し、青少年の非行や被害の防止と保護の徹底を図ります。
●なくそう就職差別 企業内公正採用・人権啓発推進月間
県および市町では、企業の経営者や従業員等が同和問題をはじめとする人権問題に対する正しい理解と認識を深め、差別のない明るい職場づくりを推進するため、企業における就職差別の撤廃と同和問題をはじめとする人権研修がより一層充実・強化されるよう、毎年7月を「なくそう就職差別 企業内公正採用・人権啓発推進月間」とし、各種啓発活動を行っています。
●30日人身取引反対世界デー
国連により、平成26年(2014年)に定められました。労働や性的サービスを強要する人身取引の問題を世界中の人に知ってもらうため、キャンペーンが展開されます。