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じんけん通信

 人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。

 特集記事にあわせて、ジンケンダーラジオの放送予定と、「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」で実施される障害者スポーツについても掲載しています。

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 「じんけん通信」は、バックナンバーもご覧いただけます。

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令和7年(2025年)6月(第206号)

 近年、共働き世帯や育児休業を取る男性が増えるなど、性別による役割分担の意識が変わってきています。

 県では、令和6年度に「男女共同参画社会づくりに向けた県民意識調査」(以下「県民意識調査」と言う。)を行いました。今回は、その結果を踏まえながら、男女共同参画社会について考えます。

県民意識調査から考える男女共同参画社会

◆男女共同参画社会とは

 男女共同参画社会とは、一人ひとりの人権が尊重され、性別にかかわらず個性と能力を発揮することができる社会をいいます。(パートナーしがプラン2025より引用)

 例えば、「男性は仕事をし、女性は家庭を守るべき」という考え方がいまだに残っているように、性別によって生き方や働き方、役割が決められてしまうことがあります。

 一人ひとりが豊かな人生を送るためには、誰もが希望する生き方、働き方を選択できることが大切です。

 ジェンダー※平等の実現は、持続可能な社会を実現するための国際指標(SDGs)の目標の一つとなっていて、世界的に重視されています。また、国内では、男女共同参画社会基本法において、男女共同参画社会の実現を21世紀の最重要課題と位置付け、取組を推進することの重要性が謳われています。

 ※ジェンダー…生まれつきの性別(生物学的性別)とは違い、「男性のあるべき姿」「女性のあるべき姿」のように社会や文化によって作られた性別のこと

日本のジェンダー・ギャップ指数は?

 毎年、世界経済フォーラムが、各国の経済、教育、健康、政治のデータを取って「ジェンダー・ギャップ指数」を算出しています。2024年の発表では、日本のスコアは0.663でした。順位は、146か国中、118位でした。ジェンダー・ギャップを解消するための取組が求められています。

出典:内閣府男女共同参画局

◆近年の変化

*「男性は仕事をし、女性は家庭を守るべき」という考え方は…

 県民意識調査において、「男性は仕事をし、女性は家庭を守るべき」という考え方についてどう思うか尋ねたところ、「同感しない」・「どちらかといえば同感しない方である」の割合は、74.1%でした。
過去の調査結果と比較すると、同感しない方の割合が年々増えてきています。

*働く女性が増えています

 女性の労働力率は、結婚・出産時期に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描くことが知られていますが、近年、M字カーブがゆるやかになっています。以下のグラフを見ると、特に20代後半~30代後半の労働力率の変化が顕著ですが、幅広い世代で労働力率が高くなってきることがわかります。

 要因としては、共働き世帯が増えていることや、もともと労働力率の高い、配偶者のいない女性の割合が増えていることがあげられます。

 「女性は家庭を守るべき」という考え方の変化や、職場における休業制度の充実、在宅勤務の導入などにより、結婚・出産後も働きやすい環境になっているのかもしれません。

*育休を取る男性が増えています

 令和4年に育児・介護休業法が改正され、産後パパ育休制度※が新たに創設されました。男性の育児休業取得率は、令和5年度に初めて3割を超えました。

 ※産後パパ育休制度…産後8週間以内に4週間(28日)まで、2回に分けて取得できる休業

 女性に比べると取得率はまだまだ低いですが、今年4月から従業員数300人超の企業には育児休業の取得状況を公表することが義務付けられており、男性の育児休業取得率は今後も上昇していきそうです。

◆男女は平等?

 働き方や育児に関する意識が変化し、男女共同参画の気運が高まっていますが、男女の平等感についてはどのような意識なのでしょうか。県民意識調査において尋ねたところ、結果は次のとおりでした。

【社会全体でみて】
「男女の地位は平等である」と答えた方の割合は、13.7%でした。
また、「男性が優遇されている」・「どちらかといえば男性が優遇されている」と答えた方の割合は、66.9%でした。

【分野別】
「男性が優遇されている」・「どちらかといえば男性が優遇されている」と答えた方の割合が特に高かったのは、「政治の場」、「社会通念・慣習・しきたりなど」でした。

*日常生活の中で男女の不平等を一番感じるところ

 県民意識調査において、日常生活のどんな場面で男女の不平等を感じるかを尋ねたところ、男女ともに「地域社会」が最も多い結果となりました。

 また、割合で男女差が最も大きかったのは、「家庭」でした。

◆現状については?

 ここからは、家庭・働き方・地域社会の3つの視点から、男女共同参画の現状と課題を見ていきます。

1.家庭

*男女で家事等の分担に偏りがある

 県民意識調査において、家庭生活での役割分担について尋ねたところ、掃除、洗濯、日常の買い物、食事のしたく・かたづけは、約8割の女性が「いつもする」と答えました。

 一方、男性側で「いつもする」の割合が女性を上回ったのは、ゴミ出しと自治会等の地域活動への参加のみでした。

 また、夫婦それぞれの1日に占める時間を見ると、家事・育児・介護などの時間は、妻側は無業の場合6時間45分、有業の場合4時間29分でした。

 それに対し、夫側は、妻が有業であるか無業であるかにかかわらず、約1時間でした。

2.働き方

*仕事を続けたい女性が増えている

 県民意識調査において、女性自身が考える理想の働き方を尋ねたところ、「仕事を続ける(育児休業を利用して仕事を続ける場合を含む。)」が最も多くなりました。

 過去の調査結果と比較すると、仕事を続けたい人の割合が増えてきています。

 また、「子育ての時期だけ仕事を一時やめ、その後はパートタイムで仕事を続ける」の割合は減ってきています。

*一方、実際の雇用形態は…

 滋賀県の女性の雇用形態を見ると、20代後半では正規雇用が多くを占めていますが、40代では正規雇用よりもパートタイム労働者のほうが多くなっています。

 結婚・出産の時期に仕事を辞め、子育てが落ち着いた後にパートタイムで働く人が多いようです。

 県民意識調査において、第一子の子育てをきっかけに仕事を辞めた方にその理由を尋ねると、
・仕事と家事、育児の両立をこなせる自信がなかった
・家事・育児に専念したかった
・家事、育児について、配偶者(パートナー)等家族の協力が得られなかった
・勤務先に育児との両立に対する理解や両立支援制度が不十分だった
・通勤時間や転勤の問題で仕事を続けることが難しかった

といった理由があげられました。

3.地域社会

*女性の参画状況は…

様々な分野で女性の参画は進んでいるものの、地域の政策や方針を決める議員や公務員の管理職、中学・高等学校の校長、自治会の役員に占める女性の割合は、いずれも3割未満となっています。

こうした役職に女性の割合が少ない理由としては、
・女性は家庭生活があるので両立が難しい
・女性は責任の重い役割につきにくいなどの事情や、
・これまでの慣習、慣例
・リーダーは男性であるべき
・男社会だから

といった固定的な考え方が、地域社会に残っていることが考えられます。
 

◆まとめ

 県民意識調査の結果を踏まえて、家庭、働き方、地域社会の3つの現状を調べると、地域社会で女性の参画がなかなか進んでいないことや、希望する働き方が出来ていない女性がいることが見えてきました。いずれも、「男性はこうあるべき」、「女性はこうあるべき」という意識が残っていることが、根底にあるのではないでしょうか。

 誰もが希望する生き方、働き方を選択できるようにするためには、配偶者(パートナー)や家族、職場など、社会全体で理解・協力することが不可欠です。夫婦や家族間でコミュニケーションをよくとったり、職場では育児休業を取りやすい雰囲気をつくるなど、私たちに出来ることからはじめてみませんか。

ジンケンダーのちょっと一言

◆お知らせ

「ジェンダー平等ミーティング」を実施しています!

 県立男女共同参画センター“G-NETしが”では、ジェンダー平等の実現に向けて、若い世代が思いを話し合う「ジェンダー平等ミーティング」を毎月開催しています!

 テーマに沿って同世代で話し合い、新しい考えを広げることにつながっています。

 詳しくはこちら

「プレコンセプションケア」をご存知ですか?

 「プレコンセプションケア」とは、妊娠できる健康な身体づくりをするための健康管理のことを言います。近年、ヘルスケアの一分野として注目されています。

 このケアは妊娠のためだけでなく、若い人々が将来のライフデザインを考えて日々の生活や健康と向き合うことが大切とされています。

 性別を問わず、性や妊娠に関する正しい知識を持ち、自身の健康について考えてみませんか。

ジンケンダーラジオ 放送中!!

 県では、日々の暮らしの中で人権について考え、行動につながるきっかけとなるよう、エフエム滋賀(e-radio FM77.0)で人権啓発ラジオ番組を放送しています。※「style!」の番組内

【今月の放送予定】
毎週火曜日9時30分~(5分間)

6月3日・・・「やさしい日本語」
6月10日・・・「ヘイトスピーチ」
6月17日・・・「産後パパ育休制度」
6月24日・・・「ビジネスと人権」

 番組には、エフエム滋賀のパーソナリティー林智美さんと、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」が出演しています。ちょっと難しい人権課題を、毎週わかりやすく解説しています。

 放送から1週間以内であれば、「radiko」(アプリ)で聴くこともできます。ぜひお聴きください!

わたSHIGA輝く 国スポ・障スポ ~障害者スポーツのご紹介13~

 じんけん通信では、本年開催の「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」に合わせて、「障スポ」で実施される障害者スポーツを、毎月紹介しています。

 今回は、正式競技の1つ、「バレーボール」の概要について、ご紹介します。

◆バレーボール
身体障害(聴覚)、知的障害、精神障害のある選手が出場する競技です。
身体障害(聴覚)の部および知的障害の部は、一般のバレーボールのルールを基本として、男女別で実施されます。精神障害の部はソフトバレーボールを使用し、男女混合で実施されます。

詳細は、大会公式ホームページをご覧ください♪
https://shiga-sports2025.jp/shospo

人権カレンダー6月

●1日 人権擁護委員の日
6月1日は「人権擁護委員の日」です。人権擁護委員は、あなたの街の相談パートナーとして、様々な人権侵害など、皆さんの問題解決のお手伝いをしています。女性・子ども・高齢者などをめぐる人権の問題やインターネット上の人権侵害などでお困りの方は、「みんなの人権110番(電話0570-003-110)」までご相談ください。

●12日 児童労働に反対する世界デー
平成14年(2002年)にILO(国際労働機関)が制定しました。児童労働の撤廃をめざして、世界各地で様々な活動が展開されます。

●20日 世界難民の日
難民の保護と支援に対する関心を高め、世界各地で行われている難民支援活動への理解を深めるために、平成12年(2000年)12月の国連総会で決議、制定されました。毎年、世界各地で様々な活動が展開されます。

●22日 らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日
平成21年度(2009年度)から、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律の施行日である6月22日が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」と定められています。ハンセン病に対する偏見・差別をなくすため、この機会にハンセン病への理解を深めましょう。

●23日 慰霊の日(沖縄県)
沖縄県が制定している記念日で、沖縄戦等の戦没者を追悼する日と定められています。毎年この日に、糸満市の沖縄平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が行われます。

●23日~29日 男女共同参画週間
6月23日から29日は「男女共同参画週間」です。国、地方公共団体などが、男女共同参画社会づくりに対する国民の理解と関心を高めるためさまざまな行事を行います。

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:[email protected]
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