人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和2年(2020年)5月(第145号)
新型コロナウイルス感染症が拡大している中、感染者や医療従事者、その家族、海外からの帰国者、外国人に対する誹謗中傷や、新型コロナウイルス感染症に起因するハラスメント行為などの問題がメディアで報道されています。
また、インターネット上でも様々な情報が見られます。不確かな情報を拡散させたり、その情報に惑わされたりして、誰かを傷つけていませんか?
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い発生している様々な問題について、人権尊重の視点から考えてみましょう。
新型コロナウイルス感染症が拡大している中、インターネット上には以下のような書き込みが見られます。
「●●人日本に来るな コロナが移る」
「芸能人の××さんが亡くなったのは○○人のせい」
「日本に来た△△人は全員死刑」
関東大震災(大正12年)の際に「◇◇人が井戸に毒を投げ込んだ」、東日本大震災(平成23年)の際に「遺体から貴金属を盗む外国人がいる」といったように、災害の発生時など、社会的な混乱の中で外国人に対する差別的な噂が出回るということは、過去から繰り返されてきました。
現在も、新型コロナウイルス感染症に関連して、悪質なヘイトスピーチが発生しています。
こうした状況の中、森雅子法務大臣は「新型コロナウイルスに関連して不当な差別や偏見があってはならないのは言うまでもない(令和2年3月31日衆議院法務委員会答弁)」との見解を示し、暴力につながりかねない危険なヘイトスピーチを非難しています。
また、新型コロナウイルス感染症に起因する心ない書き込みは外国人に対するものだけではありません。
(感染した看護師に対して)「何やってんだよ看護師のくせに プロの自覚がないんとちゃうか」
「コロナを持ってきた○○大生は実名報道して罰すべき」
などといった、地域医療を守るために懸命に努力している医療従事者を中傷するような書き込みや、患者の個人情報の特定を煽るような書き込みもあります。さらには、実名を明らかにして晒し者にする、無関係の人の名前を書き込み、感染者として非難するなどの例もあります。
このような書き込みは、新型コロナウイルス感染症への不安からくる行為かもしれませんが、インターネット上の書き込みは、ずっと残り続けます。
また、勢いに任せた書き込みが、最悪の場合プライバシーの侵害や名誉毀損といった不法行為となる可能性もあるということを、忘れてはなりません。
このことは、悪質な情報を書き込む行為だけでなく、すでに書き込まれた情報を拡散する行為についても同様です。
自分の書き込みは誰かを傷つける内容ではないか、誤った情報を拡散することにならないか、インターネット上で発信する前に、もう一度よく考えてみましょう。
新型コロナウイルス感染症に起因したハラスメント(嫌がらせ)行為、「コロナ・ハラスメント」が発生しているとのメディア報道があります。
あなたの身近でも、次のような事例を見聞きしたことがありませんか。
・病院に勤務しているというだけで、タクシーの乗車拒否に遭った
・医療関係者の家族というだけで、職場や学校でばい菌扱いされた
・長距離トラック運転手の子どもであるというだけで、体調に問題はないのに登校の自粛を求められた
・医療従事者の子どもが保育所への通園を断られた
こうした行為は人権侵害となりうるだけでなく、体調不良の場合の休暇取得や、学校の欠席といった感染拡大防止のための行動をためらわせたり、思い当たる感染経路を隠したりする要因となり、かえって感染を拡大させる結果を招きかねません。
さらに、感染拡大防止のため経済活動にも影響が見られます。賃金未払いや雇い止め、内定取り消し、入社時期の後ろ倒しなどといった労働問題も発生しています。しかし、新型コロナウイルス感染症を理由に何をしてもいいというわけではありません。雇用主・労働者ともに、何が違法・不当な行為にあたるのかしっかりと認識し、適切な対応をされることが求められています。
誤解や偏見に基づく悪質な書き込みや「コロナ・ハラスメント」などは問題であり、許されません。
一方で、感染拡大の防止には、最優先で取り組まなければなりません。
感染拡大を防ぐために、私たちにできることは何でしょうか。
それは、他者を攻撃するのではなく、各々が周囲の人への配慮を忘れずに、かつ自分の身を守る行動に努めることです。
例・咳やくしゃみが出そうなときは、ハンカチなどで口や鼻をおさえる。
・体調が優れない場合は無理せず休息を取り、外出を控える。
・周囲に体調の悪そうな人がいたら適宜声をかけ、必要に応じて休暇を取ってもらう。等
体調が悪そうな人に冷たい目を向けないことも大切ですが、周囲の人を不安・不快にさせないよう、自らの体調管理や咳エチケットにも気を配りたいですね。
新型コロナウイルス感染症は、誰もが感染者、濃厚接触者になり得る状況であるとされています。自分や家族がその立場に置かれたとして、嫌なこと、傷つくこと、逆に助かることを想像してみてください。
お互いの人権を尊重し、冷静な行動により感染拡大防止に努めましょう。
移動や行動の自由の制限をはじめとした感染拡大防止のための対策と、人権の尊重の両立には困難が伴いますが、心を一つに合わせてこの難局を乗り越えましょう。
●法務省の人権擁護機関では,新型コロナウイルス感染症に関連する不当な偏見,差別,いじめなどの被害に遭った方からの人権相談を受け付けています。
・法務省:新型コロナウイルス感染症に関して(URL)
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken02_00022.html
・みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)
0570-003-110(平日午前8時30分から午後5時15分まで )
・子どもの人権110番
0120-007-110(平日午前8時30分から午後5時15分まで)
・外国語人権相談ダイヤル
0570-090911(平日午前9時00分から午後5時00分まで)
対応言語:英語、中国語、韓国語、フィリピノ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語
●新型コロナウイルスに関する滋賀県内の最新状況、各種相談窓口などは、以下をご覧ください。
・新型コロナウイルス感染症に関する滋賀県の状況について(URL)
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kenkouiryouhukushi/yakuzi/309252.html
・1 日~7 日 憲法週間 、3 日 憲法記念日
昭和22年5月3日、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を3つの基本原則とする日本国憲法が施行されました。毎年、この日を中心とした5月1日から7日は「憲法週間」です。この期間に合わせ、憲法の精神や司法の機能に対する理解を促すため、全国の裁判所及び法務省の機関で、様々な行事が開催される予定です。
・5 日~11 日 児童福祉週間
すべての子供が家庭や地域において、豊かな愛情に包まれながら、夢と希望をもって、未来の担い手として、個性豊かに、たくましく育っていけるような環境・社会を作っていくことが重要です。厚生労働省では、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を「児童福祉週間」と定めて、子供の健やかな成長、子供や家庭を取り巻く環境について、国民全体で考えることを目的に、児童福祉の理念の一層の周知と子供を取り巻く諸問題に対する社会的関心の喚起を図っています。
・8 日、9 日 第2次世界大戦で命を失った人たちのための追憶と和解のための時間
平成16年(2004年)に国連総会はこの日を追悼と和解の日と指定すると宣言し、加盟国や国連諸機関、NGOなどに、ふさわしい形で祈念し、戦争でなくなった全ての人を追悼するよう要請しました。戦争を過去のものにしないために今一度振り返り平和について考えましょう。
・12 日~18 日 看護週間、12 日 看護の日
これからの高齢化社会を支えて行くためには、国民一人一人が、ケアの心、看護の心を理解することが大切です。近代看護の基礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなんで、毎年5月12日は「看護の日」と定められています。この日を含む看護週間を中心に、各媒体での看護に関する広報や関係行事が各地で行われます。※今年は新型コロナウイルス感染症が発生していることも踏まえ、例年と異なるイベントの規模や実施方法などが考えられます。
・12 日 民生委員・児童委員の日
各地域で住民の相談や支援の担い手として活動する民生委員・児童委員は、全国で約23万人。この日から18日までの1週間を「活動強化週間」として積極的な活動を展開しています。
みんなが大変な時こそ、
一人ひとりがお互いの気持ちを考えて
行動することが大事なのだー!