「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識、「かわりたい」だから「わかりたい」へチェンジしませんか?あなたの「わかりたい」を応援したい。人権施策推進課では、そんな思いで毎月1日に「じんけん通信」を発行しています。
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令和元年(2019年)6月(第134号)
グローバル化の進展に伴い、多くの人や物資・お金、そして情報が世界中を動き回る中、観光や仕事、留学などにより来日する外国人は年々増加しています。
また、今年4月には改正入管法(出入国及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律)が施行されました。この法律は「特定技能」という在留資格を新設し、人材不足が深刻な14業種に一定の技能と日本語能力のある外国人に日本で就労してもらう制度で、これにより、日本で働く外国人は今後も増加することが予測されています。
滋賀県でもこれまでから多くの外国人が暮らしておられますが、社会情勢の変化や法改正などを受け、今後も地域や学校・職場など、身近なところで外国の方と接することが増えてくるのではないでしょうか。
●滋賀県で暮らしている外国人の状況は?
滋賀県の外国人人口は、4年連続で増加しており、平成30年末には29,263人(対前年比10.3%増)となりました。これは、県民48人に一人が外国人ということになります。
また、外国人住民の比率は県全体で2.06%となっていて、湖南市(5.43%)や愛荘町(3.99%)、甲賀市(3.54%)、長浜市(2.84%)、東近江市(2.83%)、日野町(2.41%)、彦根市(2.33%)、豊郷町(2.31%)の8市町でも2%を超えています。
(各年12月末現在滋賀県商工観光労働部観光交流局国際室調べ)
国籍別に見ると、ブラジル(29.1%)が一番多く、中国・台湾(17.7%)、韓国・朝鮮(15.6%)と続きますが、今回、ベトナム(11.4%)が急増しており、フィリピン(8.3%)を抜いて4番目に多くなりました。
国籍数を見ると、昨年の93か国1地域から7か国増え、100か国1地域となり、多国籍化がますます進んでいます。
(各年12月末現在 滋賀県商工観光労働部観光交流局国際室調べ)
●多文化共生の地域づくり
このように多くの外国の方が暮らす滋賀県ではこれまでから、日本人住民と外国人住民が同じ地域で暮らす仲間として、言葉や文化、生活習慣などの違いをお互いに理解し合いながらともに生きていく「多文化共生の地域づくり」を進めています。
また、滋賀県では今年4月に新しい基本構想「変わる滋賀 続く幸せ」(2019年度~2030年度)をスタートさせました。「人口減少が進む中、一人ひとりの人権と多様性が尊重され、性別、年齢、病気・障害の有無、国籍などにかかわらず、誰もがそれぞれの力を出し合い、社会を支え合うことがますます重要になっている」現状を踏まえ、「社会制度や人々の意識の問題で、多様な人々の社会参加が進まない場合、地域の活力が減退するおそれがある」として、「多様な人々の違いを認め合い、誰もがその人らしく活躍することができる共生社会の実現」をめざす取組のひとつに、住民の交流による多文化共生の地域づくりをあげています。
●多文化共生の地域づくりに向けて
さて、県内には2%を超える外国人住民が暮らしておられますが、言葉や文化、生活習慣などが異なる社会で生活していく中にはさまざまな困難があります。日本人でも転勤などで全く知らない地域で暮らすことになった場合、方言や生活習慣・ルールなどに戸惑うことがあります。そのような時、ご近所の方から教えてもらうことで安心してその地域の暮らしに慣れていけるのではないでしょうか。
平成28年度に県が実施した「人権に関する県民意識調査」において、外国人の人権についての問題点を聞いたところ、「外国人の生活習慣や文化への理解や認識が十分でないこと」、「地域社会において交流する機会が少ないこと」、「情報を外国人にわかりやすく伝えるための配慮が足りないこと」と答えた方が多くいらっしゃいました。
一方で、平成28年度に法務省が国内の37地区に住む18歳以上の外国人を対象に実施した「外国人住民調査結果報告書」では、「日本語での会話はほとんどできない」と答えた人は10.4%であり、読み書きは難しくても会話はできると答えた方が多い結果となっています。
滋賀県にお住まいの外国人住民にも簡単な会話なら通じる方もたくさんおられます。研修会やイベントなどで出会う方からは「日本の方からあいさつしてもらえるとうれしい」ということをお聞きします。言葉が十分に理解できないと自分から話しかけるのはなかなか難しいのでしょう。
もしあなたから「こんにちは!」というあいさつをしていただいたら、それをきっかけに顔なじみになり、簡単な会話ができるようになるかもしれません。そうすることで「よくわからない」と思っていた外国の文化や生活習慣のことを教えてもらえますし、逆に日本の文化や地域の習慣・ルールを伝えることができます。
まずは、ひとこと、気軽にあいさつからはじめませんか!
●やさしい日本語で話してみよう!
さて、簡単な日本語ならわかるという方に話しかける時にどんなことに気を付けたらよいでしょうか。県広報誌「滋賀プラスワン」に掲載している「ふれあいプラスワン」(平成29年3-4月号)では、外国の方にも理解しやすい「やさしい日本語」について紹介しています。
「やさしい日本語」は、阪神・淡路大震災をきっかけに、外国人に早く・正しく・わかりやすく情報を伝えるために考えられたわかりやすい日本語のことです。
「やさしい日本語」では、まず、伝えたいことを一番先にして、1つの文を短く、簡単な日本語に言い換えてみます。それで伝わらなければ別の言葉や表現に。また、ひょっとしたら伝えようとしていること自体が相手の文化や生活習慣にないということもあるので、丁寧に説明することも必要かもしれません。
<例>
「今朝」⇒「今日(きょう)の 朝(あさ)」
「弁当を持参してください」⇒「お昼(ひる)ご飯(はん)を 持(も)って来(き)て ください」
「土足厳禁」⇒「くつを ぬいで ください」
「通行止め」⇒「ここは 通(とお)ることが できません」
同じ地域に暮らす者同士、顔の見える関係がつくれて、コミュニケーションが取れるとお互いに安心して暮らせますよね。
やさしい日本語の視点は外国人だけでなく子どもや高齢者、障害のある人など、いろいろな人に配慮した情報の伝え方でもあります。ふだんの生活の中でもちょっとした工夫と相手を思いやる「優しい心」を大切にすれば、コミュニケーションが取りやすくなるのではないでしょうか。
●交流イベントに出かけてみよう!
市町の国際協会では、外国の料理や音楽・踊りなどを楽しめる交流イベントが開催されています。滋賀県にいながら世界につながるチャンスです。ぜひ、一度、気軽に国際交流イベントに出かけてみてはいかがでしょうか。
◆滋賀県国際協会ホームページ facebookもご覧ください。
「こんにちは!」と声をかける時にひとこと、その方の国の「こんにちは!」をプラスしてみれば、よりお近づきになれるかもしれませんね。
●啓発資料等のご案内
「ふれあいプラスワン」や「じんけん通信」では、これまでにも「多文化共生」や「国際交流」に関する記事を掲載しています。まだお読みでない方はぜひ、チェックしてみてください。
○ふれあいプラスワン
◆「やさしい日本語ってなに!?~みんなに優しいみんなに易しい言葉で伝えよう~」
甲賀市国際交流協会(H30年3-4月号)
◆「お互いの文化を認め合い、交流を深め共に生きる」
ブラジル学校「日本ラチーノ学院」(H28年3-4月号)
多文化共生支援センター(H24年9-10月号)
○じんけん通信
ボランティアグループ「カリーニョ」(H29年1月号)
ブラジル人向けスーパー「パトリアミンニャ(Pátria Minha)」(H28年6月号)
草津市機能別消防団員の皆さん(H28年1月号)
また、啓発広告や学習教材も作成していますので、学校や職場、地域の研修会などでぜひ、ご活用ください。
◆「多文化共生(やさしい日本語)」編(H30年12月)
◆「多文化共(H29年11月号)生(夏祭り)」編(H29年9月)
◆「多文化交流・平和と人権」編(H23年9月)
○啓発テレビ番組「教えてジンケンダー」
◆「外国人の人権」編(H25年度)
○学習教材
◆「こころやわらかく」(H28年度)
◆「ジンケンダーと考える一人ひとりの人権」(H26年度)
あなたの「こんにちは!」から、交流がはじまるのだー!
顔の見える関係をつくって地域でみんなの交流を深め、日本人も外国人も、誰にとっても居心地のよい地域にしていけたらいいですね。