「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識、「かわりたい」だから「わかりたい」へチェンジしませんか?あなたの「わかりたい」を応援したい。人権施策推進課では、そんな思いで毎月1日に「じんけん通信」を発行しています。
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平成31年(2019年)5月(第133号)
インターネット人権啓発研修会は、県や市町、企業の人権担当や相談窓口の担当者の方などを対象として開催しています。
前回号(じんけん通信平成31年4月号)から引き続き、人権啓発研修会の講演内容をご紹介します。(右写真)
■インターネットの特性
「匿名性」「不特定多数性」「時間的・地理的無制限性」「場所の不要性」「無根拠性(無証跡性)」などのインターネットの特性から、犯罪に対し罪の意識が希薄となり、書き込んでもばれないと思うことや、これぐらいなら大丈夫と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、多くのプロバイダは、通信履歴としてのログなどを持っています。こうしたログをたどることによって、実際に書き込んだ人を特定することが可能です。
今後、悪質なものについては、警察の令状に基づいてプロバイダが情報を提供することにより、書き込んだ人が分かるケースも増えてくるのではないでしょうか。
インターネットの特性によって、今まで通用してきた社会理念・社会道徳が必ずしも守られるとは限らないところに問題があります。
■ネット社会における「表現の自由」と名誉毀損・プライバシー侵害の関係
表現の自由は憲法第21条で保障されています。
ネットを利用して、SNSに書き込む行為は、まさに表現の自由に当たります。
しかし、何を書き込んでも自由であるということではありません。公共の福祉という形で制約されるケースとしてプライバシー権や名誉権があります。その関係については次のとおりです。
何を書いてもよいという考え方では、プライバシーの侵害や名誉毀損といった犯罪を犯してしまう可能性があるのです。
インターネット上における人権侵害の多くは、プライバシーの侵害と名誉毀損ですが、その他にも、ネット上に情報が掲載されると、半永久的に消えないことから、「忘れられる権利」が奪われているということも近年問題になっており、こちらも国民の知る権利との線引きをどう決めるかが課題となっています。
■インターネット上の人権侵害への対応と取り組み
国では、差別の解消を目指し、いわゆる「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」の3つの法律を相次いで施行しています。
◎障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)平成28年4月1日施行
障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会をつくることをめざしています。
◎本邦外出身者に対する不当な差別的発言の解消に向けた取組の推進に関する法律
(ヘイトスピーチ解消法)平成28年6月3日施行
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに基本施策を定め、これを推進しようとするものです。
◎部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)平成28年12月16日施行
現在もなお部落差別が存在するとともに、インターネットの普及など情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、すべての国民に基本的人権を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現することを目的としています。
スマートフォンの普及によりインターネットがより身近なものとなり、誰もが簡単にSNSやネット掲示板に、自分のコメントを書き込むことができるようになりました。
しかし、その中には、特定の外国人や同和地区に対する差別や偏見、また、他者への差別を助長する内容も書き込まれている状況があります。このような状況を背景として、前記の部落差別解消推進法等は施行されたと思われます。
これらの法律では、地方公共団体が地域の実情に応じた対策を講ずるよう努めることとされており、相談体制の充実に努めることと、教育および啓発を行うよう努めることが明記されており、差別解消のための様々な取り組みが行われています。
時間、場所、職業、年齢など、あらゆる枠を超えて、人と人を瞬時に結ぶインターネットは大変便利なものですが、悪事をたくらむ者たちにとっても便利なツールであり、今日では犯罪の新たなインフラとして社会に根を張っています。
ネットの手軽さから罪の意識が希薄となり、書き込む内容も過激になる傾向があります。
また、被害者の顔がみえないことから罪悪感が薄れることや、匿名性が高いことから「ばれにくい」と思い込みやすく、だれもが犯罪を犯してしまう恐れがあると考えられます。
表現の自由や通信の秘密を踏まえた上で、「表現の自由」と「権利侵害」のバランスをとることが求められています。
ネット技術の進展や社会状況の変化に応じて、絶えず違法・有害情報の線引きも変化することから、日頃から自らのアンテナを広げて、違法・有害情報とその対策について学ぶことが大切です。
県では、インターネット上の人権侵害について、被害者にも加害者にもならないための啓発を行っています。
啓発リーフレット「『ジンケンダーと3つの約束(スマホとの付き合い方)』」は、子どもたちに注意してもらいたい「情報の取り扱い方」や「トラブル時の対応」等について、わかりやすくまとめています。
インターネットを楽しく安全に利用するためには、日常生活と同様、ルールやマナーを守ることが大切です。
SNSで書き込みや写真をアップする時、最後に「ポチッ」とする前に、もう一度書き込んだ内容などを確認してほしいのだー!!