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平成30年(2018年)9月(第125号)
児童虐待は、子どもの人権を著しく侵害し、将来にまで影響を及ぼす大きな問題です。
近年、全国的に児童虐待相談の対応件数は増加しており、虐待による痛ましい事件をテレビや新聞でよく目にするようになりました。
滋賀県でも虐待相談件数が年々増加している状況を踏まえ、子どもが安全で安心して育つことができる社会を目指して策定された「滋賀県児童虐待防止計画」に基づき、オレンジリボンを活用した啓発活動や子や親への支援体制の充実に取り組んでいます。
今回は、県から「オレンジリボンS’特派員」に任命され、児童虐待について理解を深める取組を行っている、八幡高等学校 社会福祉部の部員の皆さんに児童虐待防止に対する思いなどを伺いました。
~子どもの人権を守るために活動する子どもたち~
◆八幡高等学校 社会福祉部について
児童虐待防止に関する活動など、さまざまな活動を行われています。
八幡高等学校 社会福祉部は、昭和46年(1971年)から現在まで続く歴史ある部で、県内の公立高校では珍しい福祉ボランティアの部活動です。現在は約100名の部員が在籍されています。卒業生の多くは、福祉の現場で活躍されているそうです。
※1児童虐待防止のシンボルマークオレンジリボン児童虐待の現状を広く知らせ、子どもを虐待から守るために考え、行動しようというメッセージが込められています。 |
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部では、次のような活動を行われています。
・CFR※1に協力、学校や駅前でオレンジリボン※2を配布
※1 CFRとは:Children First Runの略。オレンジリボンを啓発する団体
・JRC※3に加盟、県内や全国・アジアの高校生と交流
※3 JRCとは:Junior Red Crossの略。青少年赤十字のこと
・介護老人福祉施設を訪問し、高齢者の方と交流
・保育園を訪問し、子どもたちと交流・地域や障害者支援施設のイベントの手伝い
・障害のある子どもたちが通う余暇クラブで子どもたちをサポート
・歌に手話を付けて練習し、地域で手話パフォーマンスを発表
なぜ社会福祉部に入部したのですか?◯ 保育園や老人ホームなどの施設訪問、そして、いじめや虐待についての福祉的な活動も全て含めて、この社会福祉部でしか体感することのできない人との関わりや、やりがいが、自分の将来に役立つのではないかと考えたからです。◯ 八幡高校の社会福祉部が色々なボランティアを行なっていることを知り、小学生の頃からボランティア活動に参加することが好きだった自分も同じようにその活動に参加したいと考えたからです。 |
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◆オレンジリボンS’特派員とは
高校生が虐待について理解を深め、その活動を世の中に発信する取組です。
県では、将来大人になる高校生世代が児童虐待について自発的に考え、行動できる力を身に付けてもらうことを目的に平成29年度から「子どもを虐待から守る次世代育成プロジェクト」(通称:オレンジリボンS’プロジェクト)に取り組んでいます。その中の事業の一つとして今年度から始まったのが「オレンジリボンS’特派員」です。
県の募集に応募した八幡高等学校 社会福祉部の全部員が特派員に任命されました。
特派員は4月から1年間、児童福祉の現場等に実際に訪問し、その体験レポートをポータルサイトに掲載する活動を行います。また、その体験を漫画化したものも配信しています。
☆漫画「オレンジリボンがゆれている」(外部サイトへリンク)
7月19日に行われた第2回目の活動では、彦根子ども家庭相談センターを訪問し、児童虐待の現状や子ども家庭相談センターの役割などについて話を聞き、その後、施設見学が行われました。質疑応答の時間には「オレンジリボンを知らない人に対しては、どう広めていけばいいか」「(虐待相談件数に対して児童福祉司の人数が足りないと感じている話を受けて)児童福祉司が少ないことで困ることはあるのか」など、次々と質問が挙がりました。
皆さん真剣に話を聞き、熱心にメモを取っていました。 | 素朴な疑問から子ども家庭相談センターの方が考え込んでしまうような質問まで、参加した7名全員が思い思いの疑問をぶつけていました。 |
彦根子ども家庭相談センターにはさまざまな部屋があり、実際に部屋の中に入ったりしながら説明を受けました。 |
◆特派員の活動をしての思い
子どものいない私たちにとっても決して他人事ではないと思いました。
◯ 子どものいない私たちにとって、児童虐待の問題はあまり関係のないこと、実感しにくいことかもしれません。でも特派員として、いろんなお話を聞かせていただいたり、施設を見学させていただくことを通して、私たちなりに虐待の無残さや苦しんでいる子どもがいることをいろんな人に伝えていきたいと思っています。
また、私は将来保育士になりたいのですが、この活動をしている中で、虐待によって心に傷を持った子どもがいたら、保育所も児童相談所などと関わっていかなければならないということが分かったので、そういうことももっと勉強していきたいと思いました。
◯ 特派員になる前は「虐待したらあかん」とか「虐待してる人ありえへん」という目で見ていました。でも、活動していく中で、虐待をしている親もだめだと分かっていながらも、かっとなって手が出てしまったというようなことが多いのでは、と思うようになりました。
なので、今、子どものいない自分たちはありえへんと思っていても、実際自分がそういう立場になったとき、ちゃんと自分を制御することができるのかなと考えると、他人事と捉えずに虐待に対して向き合った方がいいなと感じるようになりました。
◯ 「人を痛めつけてはいけない」といった、今の自分には常識に聞こえることも、まだまだそれで傷ついている人がたくさんいるということをしっかりと理解した上で、他人事だとは思わずに、たくさんの人にキャンペーンなどの活動を通じて伝えていきたいです。
◯ 児童虐待は、私たち高校生には身近に感じられるものではないことを、この活動を通して感じました。そんな中で、特派員である私たちがオレンジリボンの活動を同年代、さらにその上の代の人たちにも広げていくことで、より多くの人に児童虐待の現状について知ってもらうことができるのではないかと考えました。そうすることで、今よりもっとたくさんの子どもたちを救える可能性があるのではないかと感じたので、これからも積極的に活動していきたいと思います。
◆県民の皆さんに伝えたいこと
全ての子どもたちが幸せに暮らせるように、まずは虐待の実態を知ってほしい。
◯ 私は、特派員になるまで虐待が身近な存在だとは全く思っていませんでした。でも1回目の活動で実際に虐待を受けていた方の話を聞いたときに、自分の身の回りでもそういう事が起こっているんだということに気付きました。オレンジリボンのこととかを全く知らない人たちは、虐待のことを他人事だと思っていると思うので、自分たちの身近にあるということや、私たちのように活動している人たちがいるということをもっと知ってもらいたいです。
そして、虐待がなくなって、全ての子どもたちが幸せに暮らせるようになってほしいという思いを伝えていきたいです。
◯ 中には、どれだけ酷いことをされても、親を守ろうとする子もいるそうです。なので、そんな子どもたちの心の奥底からのSOSに気づいてあげることは難しいと思います。ですが、少しでもおかしいと感じたら、すぐに通告してほしいと思います。その1本の通告が子どもの命を救う場合もあります。
『もしや虐待では・・・?』と思ったら、すぐに連絡してください連絡先 … 189(いちはやく)(最寄りの子ども家庭相談センター(児童相談所)へつながります)・虐待が疑われる場合には、児童相談所などへ連絡することが法律で義務づけられています。・間違っていても責められることはありません。・匿名でもかまいません。連絡した人の秘密は守られます。 |
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◯ 児童虐待について、当事者でない私たちはどこか他人事のように感じるのではないかと考えます。しかし実際は、私たち一人ひとりがいつでも加害者にも被害者にもなり得るということを皆さんにもっと知ってほしいです。児童虐待は決して他人事ではなく、一人ひとりが真摯(しんし) に向き合わなければいけない問題だと思います。少しでも多くの子どもたちが幸せに暮らせる社会になるよう、人との関わりを大切にし、周りの人の異変にもいち早く気付くことができる心優しい人に私自身もなりたいし、県民のみなさんにもそうなってほしいなと思います。
★第9回びわ湖一周オレンジリボンたすきリレーが開催されます!『子どもの笑顔がいちばん!』の願いを込めて、10月20日(土曜日)、21日(日曜日)にオレンジリボンたすきリレーが行われます。児童虐待防止の象徴であるオレンジリボンをたすきにして、駅伝方式でたすきをつなぎ、走ってびわ湖を一周します。八幡高等学校 社会福祉部の皆さんも受付業務や手話パフォーマンスでランナーの皆さんを一生懸命応援されます。皆さんも一緒に応援してオレンジリボンの輪を広げていきませんか!CFRびわこのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。 |
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学生や社会人、子どもがいる人、いない人・・・それぞれの立場でできることはさまざまです。
子どもから大人まで一人ひとりが考え、行動することが、将来に渡り児童虐待を防止していくことにつながっていくのではないでしょうか。
児童虐待は重いテーマですが、特派員のレポートは高校生の目線で分かりやすく書かれています。一度読んでみてはいかがですか?