下水道は今では電気、ガス、上水道と並んで私たちの生活とは切り離せないインフラ(基幹施設)となっていますが、電気、ガス、上水道に比べると目に触れる機会が少ないため、その重要性があまり気づかれていません。ここでは下水道の役割やその仕組みなどを説明しています。
下水道が整備されると、トイレは水洗化され、家庭からのし尿や雑排水が下水処理場で浄化されるようになります。そうなると、街から汚れたドブが無くなるので、悪臭がしなくなり、ハエやカといった害虫も発生しにくくなります。
街に降った雨水を道路側溝などを通じて下水道雨水管渠へ流入させ、すみやかに市街地から排水することにより、浸水から街を守ります。
家庭や工場から排出される汚水を処理場で充分に浄化したのち放流することにより、河川や湖などの水がきれいになり、様々な魚や生物がすめるようになります。
下水処理により発生する処理水や汚泥などは資源として有効活用されます。処理水の一部は親水用水などに再利用されています。また、汚泥は建設資材やたい肥として再利用されています。
下水道施設についても、下水処理場の上部などに公園が設置されたりしており、本来の目的である下水処理以外でも県民の皆さんに楽しんでいただけるよう有効活用されています。
家庭や工場から出る汚水は下水道管を通って最後に浄化センター(終末処理場)に送られます。浄化センターでは通常の有機物除去を中心とした処理に加えて窒素、りんの除去を行う高度処理方式によって汚水をきれいにして琵琶湖や川に放流しています。(この水を「放流水」といいます。)放流水の一部はトイレ用水やせせらぎ水路を流れる水として再利用されたりしています。平成20年3月31日に供用開始した甲賀市(信楽町)公共下水道を含めて、滋賀県では現在、流域下水道4ヵ所、単独公共下水道5ヵ所、計9ヵ所の浄化センターが稼働しています。(大津市(藤尾)公共下水道については、京都市の石田処理場で処理されるため、ここには含まれません。)
下水道は快適な市民生活を支える公共の財産ですので、正しく使わなければなりません。みんなが快く下水道を使い続けるためにも、以下のものは絶対に下水道管や雨水ますに流さないでください。
流してはいけない主なもの
薬品、アルコール、ガソリンなどを流すと、排水管が溶けたり変形したりするだけでなく、下水道管内で爆発するおそれがあります。また、浄化センターでは、微生物の働きを利用して汚水をきれいにしていますので、それらのものを流されると微生物が死滅したり、その働きが弱まるため汚水をきれいにすることができなくなります。そのようなことを起こさないためにも薬品、アルコール、ガソリンなどは下水道に流さず、廃油処理などに出してください。
薬品、アルコール、ガソリンなどは下水道に絶対に流さないでください!
油を下水道管に流すと、油が冷えて固まるため、詰まりの原因になります。油は使い切るか、廃油回収に出すか、新聞紙などに吸い込ませるか、油を固める製品を使って「燃えるゴミ」に出しましょう。また食器についた油はキッチンペーパーでふきとりましょう。
油は新聞紙などに吸い込ませるなどして、下水道に流さないでください!
下水道管の詰まりの原因になりますので「燃えるゴミ」に出しましょう。なお、野菜くずはたい肥として有効活用することもできます。
トイレットペーパー以外の紙類などは下水道に流さないでください!
下水道がこれからも私たちの生活を支えるインフラ(基幹施設)としてありつづけるために対応すべき課題があります。現在、課題として以下のようなものがあります。
いったん下水道を整備すればそのままいつまでも使用できるわけではありません。長い年月にわたって使用すれば施設が老朽化します。下水道は長い期間をかけて整備されてきたので、滋賀県における下水道管の総延長は平成28年4月1日現在で約7,100km(地球の半径の約1.1倍)にもなります。下水道管の老朽化をそのまま放置すれば下水の処理ができなくなるだけではありません。古くなった下水道管が破損したりしたために道路陥没事故が全国で多発しており、平成27年度は約3,300件発生しています。下水をこれからも正しく処理し、なおかつ道路陥没事故などが生じないようにするためにも下水道施設の更新・改築はたいへん重要となっています。
近年、日本各地で大規模地震が発生しており、被災地ではガス、電気、上水道、下水道といったインフラについても甚大な被害をこうむっています。滋賀県でも近い将来、大地震が発生するのではないかと予測されており、下水道施設の耐震化が課題であり、順次対応しています。