重要文化財に指定されている金剛輪寺二天門は前回修理(昭和63年)から35年が経っており屋根の腐朽が激しいため、今年度から屋根檜皮葺の全面葺き替えおよび木部部分修理が行われています。この度の二天門の保存修理にともない、現場見学会が開催されます。
歴史的建造物は、数十年から数百年の周期で修理を行うことで長い年月にわたり守り伝えられています。文化財建造物に対する理解を広く深めることを目的に保存修理現場の見学会が行われています。
今回の現場見学会では普段の参拝では見ることのできない修理中の様子を工事関係者の解説とともに間近で見学頂き、また見学者による檜皮葺の伝統技法の体験を予定しています。
日 時:令和5年9月9日(土)
10時~ 13時~ 15時~ 計3回
各回、定員20名(事前申込みが必要です)
開催場所:金剛輪寺二天門(愛荘町松尾寺874番地)
内 容:金剛輪寺二天門保存修理工事の見学
応募期間:8月26日(土)~9月2日(土)10時~17時
応募方法:電話にて受付 電話番号:0749(37)4500
愛荘町立歴史文化博物館 ※月・火休館
参 加 費:無料
主 催:金剛輪寺
協 力:愛荘町、滋賀県文化財保護課
(株)松村工務店、(一財)建築研究協会
・修理現場の見学ルートには、階段、傾斜面がありますので、動きやすい服装・履物でご来場ください。
・見学時には現場で用意するヘルメットの着用をお願いします。
・修理現場内では係員の指示に従ってください。
・当日体調の優れない方は参加をご遠慮ください。
・荒天等により中止の場合は、愛荘町立歴史文化博物館から電話にて連絡します。
〇文化財の概要
金剛輪寺は百済寺(東近江市)、西明寺(甲良町)とともに湖東三山の一つとして数えられています。また、紅葉やアジサイの名所としても有名です。現在では本堂が国宝に、三重塔と二天門が重要文化財に指定されています。
今回、修理が行われている二天門の構造形式は、桁行三間、梁間二間、一重、入母屋造、檜皮葺(元楼門一階)です。建立年代は室町時代中期頃とされています。もともと二階建ての楼門でしたが江戸時代の中期に二階部分を取り壊され、現在の一階建ての門になったとされています。
〇保存修理事業の概要
前回の昭和63年(1988年)の修理から35年が経過しており、檜皮葺屋根の全面と西側中央軒付に激しい腐朽がみられ、苔が繁茂している状況でした。そのため、令和4年度に耐震診断を行い、令和5年度から屋根の全面葺き替えおよび木部の補修工事が行われています。
檜皮葺とは、日本に古くから伝わる技法で、樹齢80~100年以上のヒノキの立木から樹皮である檜皮を剥ぎ取ったものを使用します。そして、剥ぎ取った檜皮を屋根に合わせて長さ、幅を整えた後、等間隔に少しずつずらして、小舞と呼ばれる屋根の下地に竹で出来た釘を打ち固定していきます。
重要文化財金剛輪寺二天門では、厚さ約1.5mm、長さ約75cm、幅は約15cmの檜皮を用いて施工します。1.2cmずつずらして重ね、屋根金槌を使って竹釘で5枚おきに止めていく、手間を要する日本の伝統技法です。
また、文化財を守り継承するうえで必要不可欠な当技法は、選定保存技術として選定され伝承者育成が行われているほか、令和2年12月にユネスコ無形文化遺産「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の一つとして登録されました。