文字サイズ

滋賀県ホームページ

文字サイズ

滋賀に気づいた人INTERVIEW#36 東山潤さん

「住職をしながら長浜市の魅力発信で新たな挑戦の日々。」

長浜市木之本町にある圓常寺の住職を務める東山さんは、お寺ステイや長浜観光を楽しんでもらおうと 2024 年 5 月から新たにゲストハウスを始めました。お寺の暮らしを体験できるプランや、妻の亜沙美さんの長浜観光ガイドのほか、トゥクトゥクのレンタルといったユニークなサービスも展開しています。そんな家族 4 人での長浜の生活は、新しいことへの挑戦の日々です。

子供たちにとってのふるさとを良い場所にしたい。

___滋賀に移住したきっかけは何ですか?

私は生まれも育ちも大阪で、大学や大学院を経てからは食品を扱う東京の商社に勤めていました。私が今、住職を務める 1340 年創建の圓常寺は元々は母親の実家で、それまでずっと祖母が守っていたお寺を私が継ぐことになったのが、滋賀にやってきたきっかけです。移住してから 4 年くらいは休日は法要などのお勤めをし、平日は福井の食品会社に勤める生活を送っていましたが、通勤に片道一時間半もかかり、なかなか家にいられる時間がありませんでした。さらに、過疎化が進む長浜の現状を知っていくうちに、子供たちにとっての故郷が衰退していくのは嫌だと思い、長浜を良くする仕事をしたいと考えるようになりました。


 

___今、どんな仕事をしていますか?

住職を務めるかたわら、ゲストハウス「去・来・現(こらいげん)」を運営しています。地域の人たちに支えられてやってきたお寺の良さを残していきたい、地域のお寺文化を知ってもらえるきっかけになればと思い、空いていた車庫を改装してゲストハウスを 2024 年 5 月から始めました。あくまで地域の伝統や文化をお寺で体験してもらう場なので、参拝客のための宿坊ではなく、ゲストハウスという形にしています。

 

地域の自然と伝統を体験してもらいたい。

___「去・来・現」について詳しく教えてください

京都を観光した外国人観光客にそのまま長浜に来てもらいたいと当初はインバウンド向けを想定していました。実際に始めてみると、日本の方にも宿泊していただいています。日本でも都市部はマンション住まいなどでお仏壇がない家が増えてきているので、お子様にお寺ステイを体験させられるということで、家族連れで来られる方が多いです。特に本堂での朝のお勤めが人気ですね。ここを拠点に長浜観光をじっくりされる方もおられますし、自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」の宿泊地として利用されることもあります。一日一組限定ということもあり、訪れたお客様は思い思いに過ごされています。


 

___滋賀のどのような魅力を伝えていますか?

英語を話せる妻が長浜市地域通訳案内士の資格を取ってくれたので、観光ガイドも始められるようになりました。宿泊者向けのツアーガイドでは、古い酒屋さんやお醬油屋さんなどが立ち並ぶ木之本宿を訪れたり、琵琶湖や余呉湖を案内したりなど、自然と伝統を感じられる内容となっています。特に眺望がいい賤ヶ岳は人気のスポットですね。また、朝食作り体験では、おにぎりを作る際に、米原にある木彫りの里・上丹生で作られておにぎり型を使います。ヒノキで作られているため、この木型でおにぎりを作ると、おにぎりにほのかにヒノキが香り美味しいんですよ。海外のお客様から、このおにぎり型を欲しがられたことがあり、このヒノキのおにぎり型をインターネットで販売することも始めました。


 

田舎ならではの多くのメリット。

___地域の暮らしはどうですか?

最初は知り合いもいない場所で暮らすのにためらう気持ちもありましたが、移住後にこちらで結婚式を行った際、たくさんの地元の門徒さんに会ったので、逆に知らない人がいない状態からスタートできました。住み始めた頃は、散歩しているとすれ違った子供や近所の方に挨拶してもらえることに驚きましたね。お寺の行事や村のことなど、わからないことは門徒さんや村の方が親切に教えてくれます。また、みなさんが育てているお野菜をいただくこともあります。普段の生活でも意外と近くにスーパーや飲食店もあって便利ですし、通販もすぐに届きます。福井の敦賀辺りには車で 30 分ほどで行けるので、その辺りによく遊びに出かけますね。


 

___子育てについて奥さまの亜沙美さんはどうされていますか?

最初の子供は移住してから 1 年後に生まれました。地域の子育て支援センターでママさんの知り合いができましたし、近所に似た境遇のママさんもいて大きな支えとなってくれたので、子育てで困ったことはほとんどありません。車は通りますが都会ほど多くはないので、子供を連れてぼーっと散歩を楽しめるのが嬉しいですね。脇に入れば「絶対に車が通らない道」がいくつもありますし。自然が近いので、夏は川に泳ぎに連れていったり、BBQ を楽しんだりしています。都市部に比べたら数こそ少ないですが、ダンスなどの習い事もあります。今では、子供達も海外からのお客様との交流を楽しんでいます。

ゆっくり心の休息ができる拠点にしたい。

___今後の夢はありますか?

観光スポットが市内のあちこちに点在していて、中には駅から遠い場所もあるので、それらをつなぐ交通の便があればいいなと考え、新たにトゥクトゥクのレンタルサービスも始めました。珍しい乗り物ですが、車の免許で運転できますので、遠方から来られたお客様にも観光を楽しんでいただけたらいいなと思っています。日帰りの観光地になりやすい長浜にふらっと泊まりに来てもらった後は、観光案内は我々にまかせてもらってトゥクトゥクでのんびり巡ったり、コーヒーを飲みながらベランダで過ごしたりと、なにをするでもなくゆっくり過ごしてもらえる。そんな心の休息ができる拠点にしていきたいですね。


 

___滋賀への移住を検討している方にメッセージはありますか?

最初は不便だと感じたことも慣れてくると普通に思えてきます。都会よりも子供の数は少ないですが、その分、一人ひとりをよく見てもらえるなど利点はありますし、子育て環境もいいです。今の生活を点数づけするなら 80 点くらいですが、将来子供が大きくなった時に「ここでよかった」という思いを持ってくれたなら、それで 100 点になりますね。

ある一日のスケジュール

  • 5時50分起床
先輩移住者インタビュー一覧