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「アーティストとして暮らしていくのに最適な環境です。」
長年ミュージシャンとして活躍し、結婚を機に滋賀に移住してからは陶芸作家としても活動されている中村さん。住み始めた頃は、都会と違って虹が端から端まで見える滋賀の風景に驚かれたそうです。ポストカ ードのような景色を当たり前に見られる環境で活動する中で、“何もない”のが滋賀の魅力であることに気づいたと語ります。
___滋賀に来る前は何をしていましたか?
大阪で暮らしながら音楽をしていました。ジャズロックバンドでボーカルを務め、毎日リハーサルをし、週末はライブという日々を送っていました。夢中になれることでしたし、CDを出したり全国でライブを行ったりと、やった分だけ周りに認められていくのが嬉しかったです。滋賀への移住のきっかけは、とあるチャリティーイベントに参加した際にイベントの手伝いをしていた夫と出会ったことでした。夫が滋賀に住んでいたので、結婚を機に滋賀へ移り住むことになりました。
___今、どんな仕事をしていますか?
ずっと音楽を続けていたのですが、コロナ禍で活動がまったくできなくなりました。元々何かを作っていないと落ち着かない性格だったので、それまで未経験だった陶芸を始めてみたのですが、気づけば電気窯を買って自分で焼くほどはまりました。今は病院で働きながら、東近江市のアトリエで動物をモチーフにした陶芸作品を作っています。陶芸を始めて2年になりますが、昨年は個展も開かせてもらい、作品の販売も行っています。
___創作活動をするのに滋賀の環境はどうですか?
自然がちゃんとある中でスーパーといった施設もあるなど、暮らすうえで不便を感じないですし、大阪や京都へのアクセスも悪くありません。クリエイトに適した場所として、こんな環境はなかなかありませんね。陶芸家の先生に偶然お逢いして陶芸を教えていただき、信楽で開かれていたワークショップに参加できたのがきっかけで腕も上達しました。そういった学べる場を県がバックアップしてくれているイメージがあり、教室の授業料も比較的安く感じます。
___滋賀で挑戦したいことはありますか?
湖岸沿いの風景のいい場所で、音楽イベントを主催させてもらったことがあったんですよ。琵琶湖と山があって、自然に囲まれた中で、年齢関係なく音楽や自然が好きな人が集まって楽しんでいて、夢のような時間に思えました。色んな人が音楽や文化に触れて、素敵な経験につなげていけるような機会を滋賀県で増やしたいと考えていますし、滋賀でコンサートや作品展をやりたいと考えている方のお手伝いをしてみたいですね。
___滋賀での生活はどうですか?
今の家には庭があって、気持ちをリセットしたい時はそこでぼーっとしています。庭で野菜も育てているので、滋賀に来てからは雨が嫌いじゃなくなりました。冬に雪が降った時は、雪に音が吸収されてすごく周りが静かになって心が癒されます。すべての天候がありがたいというか、一年を過ごす中で嫌だなと思う日が減ったのが嬉しいですね。
___移住してから滋賀のイメージは変わりましたか?
大阪にいた頃は、琵琶湖は綺麗だとは思っていませんでした。学校で「琵琶湖に赤潮が大発生し、石けん運動が行われた」と教わったことが影響しているのかもしれません。でも実際に琵琶湖に来ると、こんなに綺麗だということに驚きました。滋賀県では、道の駅に新鮮な野菜がいっぱい売っていますし、お肉もおいしくて安いです。また私には子どもがいるのですが、地域の人の目がちゃんとあって、道路もゴミが少なく衛生状態がいいので、いろんなものに触れたがる子どもが遊びに出かけても安心できます。“何もない”ようにみえるけど、人にとっていい環境が当たり前にあるのが滋賀の魅力で、自慢できる県だと思います。
___滋賀でいいなと思えることはありますか?
都会と違って、虹が端から端まで見られることに驚きました。通勤などで車で走っていると、きつねやトンビといった見たこともない動物と出会ったり、時期によっては気球が飛んでいたりします。有名な花見スポットに行かなくても、菜の花や桜のコラボレーションといった景色があちこちにありますし、コスモス畑や彼岸花などが咲き誇る様子を季節ごとに見られて、運転しているだけで楽しいです。たまにはスマホから目を離して、気軽にポストカードのような景色を眺めながら深呼吸できる場所って滅多にありませんよね。
___滋賀への移住を考えている方にメッセージはありますか?
子どもを育てる、家族で住む、動物を飼う、ということを考えたら滋賀がいいです。無料でキャンプやBBQができる湖岸緑地など、「さぁ今日何しようか」と考えた時に、お金を使わなくても遊べる場所が多い印象です。都会だと、流星群を見たりだとか花見に出かけたりだとか 、時間を割いて出かけないとできないことって多いじゃないですか。でも滋賀ではそういうことが日常の中で手軽に楽しめるんです。そんな環境の中で、星や夕日を見た子どもが「きれいだね」と話しかけてくれるように育ってくれたことが、何よりも嬉しいですね。