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「移住の一歩は、家族の大きな一歩。移住で手に入れた理想の子育て環境」
子どもたちがのびのびと走り回れる遊び場を求めて、休日によく滋賀を訪れていた小谷さん一家。葛川の豊かな自然に魅かれるものの、移住が本当に家族のためになるのか…、悩んだ末に移住を決断。都会の学校とは180度違う教育環境、自然と共に生きる葛川の生活が、小谷さん一家にはかけがえのない宝物となりました。
__葛川に来られたきっかけは?
宰丈:以前は京都の山科区で暮らしていましたが、周囲に子どもが走り回れるような広い公園がなかったんです。だから、休日には子どもたちを連れてよく滋賀県に遊びに来ていました。
「琵琶湖博物館」も私たち家族のお気に入りで、そこで昔の暮らしを体験するサークルに参加していました。そのサークルの友人が葛川に移住したので遊びに行ったら「気に入ったなら小谷さんも移住しちゃえば?」なんて軽い調子で勧められて。それが移住を考えるきっかけだったかな。
__それですぐに移住を?
宰丈:まさか!そんな簡単に移住は決断できませんよ!妻が移住に積極的だった分、逆に僕は保守的になっていました(笑)。
秋穂:私も不安はありましたよ。ただ、当時小学5年生だった長男が、学校に居場所がなくてしんどそうにしていたのが気がかりでした。うちの子は自由奔放で、枠におさまれないところがあって…。定員いっぱいの学級では先生もはみ出す子にフォローする余裕がなかったんだと思います。
宰丈:移住となれば子どもの人生を変えることになってしまうかもしれない。そこで、最終的には子どもたちの意見を尊重しようと思って聞いてみたら、子どもたちは目を輝かせて「葛川に住みたい!」って。子どもは自分で育つ環境を選べない、より良い環境を与えることができるのは親だけだと思い、移住を決断しました。
__都会と葛川の生活。子どもたちにとってなにが違いましたか?
秋穂:180度違いました!以前子どもたちが通っていた小学校はマンモス校でしたが、ここは同じ敷地内に小学校と中学校があります。小中あわせても全児童数は20人程度。
生徒が少ないから先生の負担や余裕が違う。ひとりひとりの様子を見て、きめ細やかな指導がしてもらえるので、長男ものびのびと楽しそうに学校に通っています。
宰丈:自然と学年を超えて遊ぶのもいいですよね。村の子どもたちは兄弟みたいにいつも一緒。上の子は下の子の面倒をみながら遊び、小さい子への力加減なんかも覚える。
都会の暮らしでは子ども同士の縦のつながりってほとんどなかったけど、ここでは全員がつながっている感じ。それが時として、息苦しくなることもあるかもしれない。でも、その中で友達との付き合い方や折り合いの付け方も学ぶんじゃないかな。
秋穂:中学までは狭い人間関係の中で育つので、高校になると困ることもあるかもしれない。心配になって葛川で育った子どもたちに話を聞いてみると「葛川の経験があればどこでも暮らせる」と笑いとばしてくれて安心しました。
この環境が子どもたちを心身ともにたくましく育ててくれるみたいです。
宰丈:葛川小中学校は平成30年から小規模特認校になったので、大津市内全域から通うことができるようになるんですよ。移住になかなか踏み切れない方も、まずは子どもを通わせてみるってのもありですよね。
__移住して変わったことは?
宰丈:楽しいことも大変なことも含め、生活スタイルは変わりましたね。二人とも京都育ちなので雪に慣れてなかったし、大工道具も使ったことなんてほとんどなかったし(笑)。
でも、近所の人に教えてもらいながら、それなりになんでも自分でできるようになってきました。いまはもらった廃材で、薪を保管する小屋を作っています。
秋穂:薪割りや雪かきなど、子どもたちもいろいろ手伝ってくれます。ここの生活では家族が助け合うことが当たり前。主人の仕事は夜勤もあるので、留守中は長男が頼りになる存在です。
家の中が寒いから、家族みんな薪ストーブのある居間に集まります。都会での暮らしよりも家族のつながりが自然と強くなる気がします。
__移住して仕事はどうされましたか?
宰丈:当初は移住前と同じ職場に通っていました。それができる距離だったのも移住に踏み切れた要因のひとつ。生活も仕事も一変するとなると、ますます移住へのハードルが高いですからね。いまは、生活も落ち着いたので、近くの職場を探し転職しました。
転職前は京都市内まで片道1時間のバイク通勤でした。そう言うと「遠くて大変ですね」なんて言われますが、都会でも満員電車に揺られて通勤に1時間かかることなんてざらにあるでしょ。渋滞するわけでもないし、自然の中を走り抜けて1時間のほうが気分爽快な通勤ですよ(笑)
__移住を考える人へアドバイスをお願いします。
宰丈:移住に魅力を感じていても、実際に行動におこそうとすると解決しなければいけない問題が次々と見えてきて、なかなか一歩を踏み出せない人も多いでしょう。僕自身もそうでした。
でも、思いきって動いてみたら想像以上の素晴らしいものがたくさん手に入りました。
とくに子どもと過ごす時間は長いようで短い。あまり考えこまず動き出してみてはどうでしょうか。
秋穂:葛川には先輩移住者が何組もおられるので、移住者のネットワーク「葛川村づくり協議会」ができています。みなさん親身にいろいろ教えてくださるので、新しい暮らしがスムーズに始められました。
※大津市葛川地域は「葛川村づくり協議会」を立ち上げ、移住に興味をお持ちの方々に必要な情報の提供と、暮らしのサポートを行われています。