文字サイズ
文字サイズ
「地元に代々続く“コミュニティ力”が資源そのもの! フル活用してイベントでまちを元気に。」
少年のような明るい笑顔が印象的な清水広行さん。
スノーボーダーとして世界を回っていましたが怪我でその夢を断念。生まれ故郷である西浅井にUターンしてきました。現在は仲間らと一緒に地域団体『ONE SLASH』を立ち上げ、地元を盛り上げるイベントを積極的に開催。
「仕事も遊びも面白く」がモットーの清水さんのまわりには、地元はもとより都会からもいろいろな人が集まってきて、西浅井を盛り上げる原動力となっています。
__清水さんが西浅井に戻られたのはいつですか?
7年前です。スノーボードを仕事にしたいと思って、岐阜県や北海道・カナダと転々としていたのですが、怪我をして続けられなくなって…。それで、実家の建設会社を継ぐつもりで帰ってきました。しばらくは福井県敦賀市内で別の仕事もしていたのですが、今は主に実家の建設会社で土木工事やコンテナハウスの建設などをしています。
__地元に戻って感じたことは?
「大切な資源がここにあった!」ってことですね。僕が出る前から、ずっとあったんですけどね。
__その資源って何でしょうか?
“コミュニティ力”です。最近、“シェアリングエコノミー”っていう言葉をよく耳にしますよね。でも、そんなのここにはずっと昔から当たり前のようにあったんです。
これは、僕が初めて無農薬の米を作ろうとしたときの話なんですけど。普通なら土地もない、農機具もない、ノウハウもなければ諦めるじゃないですか。でも、ここで「無農薬の米を作りたい」って言うと、「この土地を使え」とか「トラクター貸したる」とか…。僕が田んぼに入っていると、地元を知り尽くした大先輩たちが集まってきて「やり方知らんのか?教えたる」と囲まれてたり(笑)。
これが西浅井の“コミュニティ力”。ここで何かをやろうと思ったときには、いつでも力を貸してくれる人たちがいるんです。
__イベントやマルシェを開催されているそうですね。
僕らが子どもだったころに比べて地元の祭りが簡素化されていたのが寂しくて、仲間と一緒に祭りに屋台の出店を計画している中で「このメンバーならもっと大きなイベントもできるんじゃないか」と盛り上がって。2017年4月に西浅井のいいものを発信する「西浅井はるマルシェ」を自分たちで企画して開催しました。たくさんの人に来て喜んでもらえたことが自信となり、「夏祭りも作っちゃえ!」と地元で100m超えの流しそうめん大会をやったりもしました。
今年の2月には、ジビエ料理に触れてもらうイベント「西浅井ジビエ村」も開催。雪が積もっているにも関わらず、先着100名のイノシシの丸焼きに150名以上の行列ができたりして、予想を上回る人出でした。汗をかいたら雪にダイブする、フィンランド式のテントサウナも大好評で。
次は内容や規模をもっとパワーアップさせて2回目の「西浅井はるマルシェ」を海津大崎の桜の時期に合わせて4月15日(日曜日)に開催します!
__楽しそうなイベントばかりですが、準備が大変では?
すべて手作りなので、たくさんの人に関わってもらっています。ポスターのイラスト、ホームページのデザイン、イノシシを焼く台など、僕たちのコミュニティの中でそれぞれが持ってるスキルを活かして作ってくれました。
__なぜイベントをするのですか?
地元を盛り上げるというのもありますが、ここで仕事を作りたいなと思って。例えば、デザインの仕事って東京や大阪の都会にしかないイメージでしょう?でも、それが田舎でも必要になればいいんですよね。イベントを開催することで、ポスターデザインが必要となるし、イベントを成功させればそこにはちゃんとお金も発生しますよね。そう思って、実際にやってみたら、ちゃんとビジネスになりました。それが今はすごく面白い。田舎に仕事がないと言うけれど、なければ作ればいいだけなんです。
__それが「ONE SLASH」というグループに繋がったんですね?
はい。地元の友達6人で地域団体を立ち上げました。いまは法人化に向けて準備中です。「ONE SLASH」というのは「〇分の1」という意味なんですが、それぞれが全体の一部だという思いを込めて命名しました。条件として「面白い」と思うことはするけれど、そうじゃなければしない(笑)。というのも「面白い」と思うことでなければ本気になれないんですよね。だから「西浅井のために」というのもあるけれど、まずは自分たちが楽しいからやっています。仕事だけど遊びで、遊びだけど仕事みたいな活動をしていると、不思議と人も集まってきました。
__みなさんの深いつながりを感じますが、まったく縁のない人でも馴染めそうですか?
即日友達ですよ(笑)。ここ最近、イベントのおかげか、西浅井のファンが増えてきているような気がしています。いざ移住となればハードルが高いじゃないですか。でも、ひとつの“拠点”と考えて何度も足を運んでもらうだけでも、西浅井の良さはわかってもらえるんじゃないかな。今もそういう人が何人かいて、いつの間にか集落のおじいちゃん達とも顔なじみになってたり。都会にはない、ゆったりとした雰囲気、信用で成り立つ関係が居心地いいみたいですね。そうやって、少しずつでも西浅井に関係する人の人口が増えていってくれたらうれしいです。