(教育長)
皆さん、本日もどうぞよろしくお願いします。
本日は、今年度最後の定例記者会見でございます。この1年の報道機関の皆様方には教育委員会の様々な行事にご理解とご支援を賜り、心から感謝申し上げます。
冒頭、令和5年度を振り返っての所感を申し上げたいと存じます。本年度策定された主要な6つの計画に沿い、今後の展望を交えつつ、お話しさせていただきます。
まず、1点目ですが、昨年12月に、「滋賀の教育大綱」、第4期滋賀県教育振興基本計画が策定されたところでございます。その概要につきましては、昨年末の定例会見でも申し上げたところですので、本日は詳細の説明は割愛いたしますが、先日、大綱の周知資料を発行いたしましたので、本日は、記者の皆様にも配布しております。新たな大綱に基づき、「『三方よし』で幸せ育む滋賀の教育」の実現に向けて教育施策を総合的に推進してまいります。
次に2点目ですが、本年2月6日に、子どもたちの「学ぶ力」を高め、「夢と生きる力」を育むため、「第3期学ぶ力向上滋賀プラン」を策定いたしました。本プランに基づき、「子どもたちが主体の授業づくり」、「学びを支え合う集団づくり」および「協働して取り組む学校づくり」に取り組んでまいります。
3点目は、同じく2月6日に策定した「滋賀県立高等学校魅力化に向けた学科改編等実施計画」でございます。これは、令和4年度に策定した「滋賀の県立高等学校魅力化プラン」に基づき、伊香高等学校と守山北高等学校において新学科を設置する内容でございます。具体的な取組を開始する両校はもとより、引き続き全県的な高等学校の魅力づくりに取り組んでまいります。
4点目は、不登校の状態にある子どもを総合的に支援するプランとしまして、3月18日に策定された「しがの学びと居場所の保障プラン」でございます。このプランの特徴は、学校・教育委員会はもとより、福祉・医療等の関係分野、また、いわゆるフリースクール等の民間施設等と、分野横断的・包括的に不登校支援に取り組む姿勢を明らかにしたところと考えておりまして、新年度に設置される「子ども若者部」などとも連携しながら、支援の充実を図ってまいります。
5点目は、3月19日に策定された「滋賀県における学校部活動の地域連携および地域クラブ活動への移行に向けた方針」でございます。これは、少子化の進展などの情勢に鑑み、地域の実情に合わせて、子どもたちのスポーツや文化芸術活動に親しむ機会の確保を図るための基本方針でございまして、今後、地域の方々の御協力をいただきつつ、学校部活動の地域連携や、新たな地域クラブ活動に向けた環境整備に取り組んでまいります。こちらの方は特に文化スポーツ部との連携が重要であると認識をしております。
最後6点目は、3月22日に策定した「第5次滋賀県子ども読書活動推進計画」でございます。先だって打ち出しておりましたコンセプト「こども としょかん」の具現化として、学校、地域、家庭における取組を総合的に取りまとめたものでございまして、“滋賀まるごと”が子どもたちの“としょかん”となるよう、環境づくりに取り組んでまいります。
以上、本年度に策定した主要な計画に沿い、振り返ってまいりましたが、このように、令和5年度は、令和6年度以降、様々な取組を進めるための土台づくりを見据えた1年だったと考えております。新型コロナウイルス感染症の感染症分類が5類へ移行し、学校教育活動も本来の姿を取り戻してまいりました。令和5年度に築いた土台が、子どもたちの学びの一層の充実につながるよう、県教育委員会として令和6年度も全力を挙げてまいります。
それでは、配布資料に基づいて説明いたします。まず、お配りしております資料2ページ目をご覧ください。「令和6年3月から4月の広報事項」としまして、教育委員会としての行事予定を掲載しています。取材等を通じて発信いただければ幸いに存じます。
続いて本日は、話題提供1点を説明させていただきます。
本日は、滋賀県立彦根工業高等学校マイスターハイスクール事業のカンパニー制の取組について話題提供させていただきます。
始めに彦根工業高等学校の簡単な概要になります。1学年で機械科3クラス、電気科2クラス、建設科1クラスの6クラスの展開です。電気科は2年生で電気系、情報系のコース選択、建設科は県内唯一の学科になります。
このマイスターハイスクール事業でございますが、令和3年度より開始させていただきました。本事業につきましては、彦根圏域を中心に、県教育委員会、彦根市、彦根商工会議所に加え、彦根にある滋賀大学、滋賀県立大学、ミシガン州立連合日本センターの産官学一体となった取り組みが行われてきました。
このマイスターハイスクール事業は、ここに掲げてあることを目標としておりますが、これからご紹介するカンパニー制は、このうちの「循環型社会実験の実践により、社会的課題を付加価値に転換できる想像力・創造力を醸成する。」とする目的で実践活動に取り組んでいるものです。
カンパニー制は、主に1年生、2年生を中心に行っています。これは、次にお話しします非認知能力と認知能力との相関関係にかかわることですが、まず、最初に非認知能力を向上させると、比例して認知能力も向上していくことが、教育経済学の世界で実証されているところでございます。
一連の課題解決に向けた協働作業で、非認知能力と言われる学力では測れない勤勉性や忍耐力などの生徒の潜在的な能力を伸ばします。
非認知能力を伸ばすということは、企業における交渉力、調整力、創造力につながる大切な能力と言われ、とりわけAI、IoT技術の発展で学力や知識力はこの技術で置き換えられ、それを操る能力として、非認知能力の向上は、非常に重要視されている能力でございます。
そのため、まず、グループ活動等を通じて協調性、やり抜く力、忍耐力、創造性などを磨き上げながら、工業高校における認知能力にあたる資格試験等に挑戦するスキームを想定しております。
そこで、本題に戻りますが、カンパニー制とは起業体験、いわゆる、アントレプレナーシップのマネージメントの部分を除いた前段階のレベル、つまり社会的課題を解決したい、世の中の人に喜んでもらいたいなどのものづくりのメンタリティーを社会との接点を持った社会実装教育で身に付けようとする試みでございます。これまで、課題研究として、彦根商工会議所青年部企業と協働でSDGsについての発表、またユーグレナ(ミドリムシ)を介した「カーボンニュートラル」の学びなど行ってきました。
これは、カンパニー制をSTEAM教育として位置付けを行ったフロー図です。彦根工業高校では、生徒が協働してこれを実践することから、「TEAMS教育」と呼んでいます。
先ほどご紹介したユーグレナを介した活動を例に、スキームを図示しました。
さて、今回、話題提供させていただく、前段階の取組ですが、昨年の秋、和菓子を製造・販売されるたねや様のバイオプラスティック製のプレートを彦根工業高校で製作している時に、バームクーヘン等の菓子製造過程で排出される卵殻が大量に出ることからものづくりに利用できないかという相談を持ち掛けられました。その際、協力企業さんと協議(協働)し、卵殻のバイオプラスティック素材を開発してラコリーナの風景写真等をUVプリンターで印字したプレートを製作しました。その過程で、卵殻の不要なたんぱく質や有害物質等を取り除く方法等を教えていただいたのが、今回声掛けをいただいた株式会社バイオアパタイトさんでございます。
株式会社バイオアパタイトさんは、廃棄される卵殻を未利用資源として使用し、独自の技術で化粧品や食品の原料等を製造している会社で、2021年には、滋賀銀行主催の「社会的課題の解決に向けたビジネスプラン策定」をしている優れた会社を表彰する「しがぎん野の花大賞」を受賞されたと聞いております。彦根工業では、株式会社バイオアパタイト様および琉球大学様による製品製作に参画し、次年度以降に東京都内で竣工される木造18階建てビルの駐車場に設置予定の卵殻、木質片、フライアッシュ等の廃棄物素材を利用したジオポリマーコンクリート製の車止めの型枠デザインから製作までを担当する予定です。今回、こうした社会的課題と向き合う企業様と接点を持った社会実装教育がSDGsの学びの質を高めると同時に、この取組が生徒の自己肯定感、自己有用性を高め、ものづくり技術者としての人間力を高めて行けると期待しています。
本日は、彦根工業高校の大久保校長先生また、株式会社バイオアパタイトの代表取締役社長の中村様、そして課長で、彦根工業の卒業生の黒川様に同席いただいております。校長先生から順に、ひと言お願いします。
(彦根工業高等学校校長)
彦根工業高等学校長の大久保でございます。
本日はこのような場を設けていただきまして誠にありがとうございます。
先ほど教育長からご説明がありましたマイスターハイスクール事業は文部科学省指定の事業で、今年度が最終年度で3年を終えます。
この間には、様々な取り組みにつきまして、各報道機関の方々に広くご紹介をいただいているところです。どうもありがとうございました。
また、令和6年度以降につきましては、滋賀県の事業として新マイスターハイスクール事業として継続していく予定になっております。今回の取組につきましても、広く県民の方に広報いただきまして、ぜひご協力いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
(株式会社バイオアパタイト)
株式会社バイオアパタイトの黒川です。
先ほど説明がありました彦根工業高校の卵殻を使ったバイオプラスティックの制作に携わらせていただき、その際にマイスターハイスクール事業について知りました。
この母校の取り組みに共感し、何か私にできることはないかと考えていたところ、クライアント様より車止めの制作の依頼をいただき、デザイン等をお願いすることになりました。
今回制作するジオポリマーコンクリートはセメントコンクリート製に比べ、CO2排出量を80%削減できる画期的なコンクリートです。
母校の取組に参加できることが自分自身のモチベーションにもなっております。
後輩たちには、この取組を通じて学んだことを将来に生かしてほしいと願っております。
(教育長)
ありがとうございました。
報道各社の皆様には、ぜひ取材いただき、彦根工業高等学校の取組を県民の方にお伝えいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いします。
(中日新聞)
彦根工業高校さんの取り組みの件で基本的なところの確認ですが、関わった生徒さんは何科の何年生かというところを教えてもらえますでしょうか。
(彦根工業高等学校校長)
以前から取り組んでいます菜の花由来のバイオプラスティックについては、機械科の生徒が中心で取り組んでくれていました。
今回のコンクリートにつきましては、また実際にスタートしていませんけれども、建設科の生徒が取り組む予定になっております。本校にあります機械科、電気科、建設科と3科あるんですけども、機械科についてはカンパニー制の取り組みが進んでいるところですが、もう一つの建設科について、これを機会にカンパニー制を深めていきたいと考えています。
(中日新聞)
実際の取組はこれからということなのですが、具体的にいつまでにこれを完成する予定をされていますか。
(株式会社バイトアパタイト)
駐車場の車止めですが、2026年竣工予定なっておりますので2026年までに制作させていただきます。
(中日新聞)
おそらく実物を持ってきていただいていると思うのですが、実物や車止めがどういうものなかなのか概要をお伺いできたらと思います。
(株式会社バイトアパタイト)
デザインについては基本的にまだ何も決まっていないところではございますが、一般的な車止めになると思います。
(中日新聞)
お持ちいただいた物についても説明いただけると助かります。
(株式会社バイトアパタイト)
ジオポリマーコンクリートがこちらUVプリンターで彦根工業さんに印刷していただいているのですが、ジオポリマーコンクリートというのは古代ローマ時代に使われていたコンクリートでローマコンクリートとも言われています。
製造方法が確立されておらずロストテクノロジーと言われておりました。
近年研究開発がされており、先ほどもご説明させていただきましたセメントコンクリート製造に関わる際には、CO2排出量がとても多く、それに代わるコンクリートとして着目してジオポリマーコンクリートを使わせていただいています。
(中日新聞)
実際に組み込むのはこれからになるということでまた取り組む過程で生徒さんの声を聞かせていただけたらなと思うのでそういったご案内いただければ助かると思います。
(毎日新聞)
冒頭、教育長が今年度を振り返られたのですが、一つ一つについての教育委員会からの提供が「メールで資料を送付しました」「HPにアップしました」で終わっていたと思います。このように振り返る大事なポイントであれば、その度に担当課が出てきてもらって説明をしていただかないと記事として書けません。来年度以降もっと積極的に提供してほしいなと思います。
(教育長)
すみません、わかりました。
まさにその通りだと思います。せっかくいいものを作っているので皆さんにきちっと分かり易く伝えることが大事です。今おっしゃられたことを肝に銘じていろんな取組を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
(NHK)
先日レクと合わせて行われました資料提供で重大事案が二つ確認されてリリースがありましたが、その二つに関しては、叩く等の暴力やジュースをおごらされるなど、また体型をからかわれるといった事案がありました。こういった重大事案が出てきてその内容も確認されていると思うのですが、率直的な受けとめといいますか、どのように感じておられますか。
(教育長)
県立高校においていじめの重大事案が発生しているということを非常に重く受け止めております。今回、令和4年度の分を公表させていただきました。
令和5年度につきましても現在調査を進めているところでございます。
今回の事案は公表させていただいて、その内容については、すでにお伝えをさせていただいておりますが、いじめが発生していじめを受けた生徒が学校に行けなくなって学校を長期で休んでしまうということになると、この生徒の学びが失われてしまう。学校としては、学校に来ていなくても何とか学びが続けられるような支援をしていただいておりますが、学校でしっかりと学びができないというところは成長を阻害するものでありますことから、こういった事態にならないようにできるだけ早い段階でいじめについて把握をして対策を講じれば、学校に来られなくなるということは防げますので、そのような対応をとることが改めて大事だと思っております。4月になりましたら、各県立高校、県立学校の管理職を含め色んな場でしっかりと取り組んでいただけるように注意を促していきたいと考えているところでございます。
(NHK)
各学校にはいじめに関してどのように対応するのかというのは日ごろから周知し、早期に対応できるよう各先生方に理解をしてもらうようにしているのですか。
(教育長)
まずいじめを発見するのは部活の顧問や担任の先生だと思いますが、そういう人だけに任せるのではなくて学校全体としてこういう事態があったら全職員でしっかり対応できるようにすること。
また、いじめに繋がるような行為をなくし、被害者の生徒に対し、どうしたら学びが続けられるか、カウンセリング等をしながらケアしていくことや必要に応じて背景をしっかり調査していくことが大切だと思っております。そのことに関しては兼ねがね、学校現場に対して、管理職や生徒指導の先生方に対して研修を実施しておりますが、こういった事態が起きるということは、十分にできるとは言えないと感じております。
(読売新聞)
令和4年度から実施している副籍制度について2か年やりましたけれども、やってみた成果をお願いします。
(教育長)
副籍制度については特別支援学校の小学部で地元にある小学校に行って、その小学生と交流することを進めています。進めることによって障害のある子が地域で学ぶきっかけになるのと、その子たちと学ぶことによって地域の子にとっても学びになるというのが進んでいるのですが、実際にやるときの様々な準備等かなり労力を要しますのでマンパワーが必要となります。この2年間を振り返ると十分ではないと感じております。
(特別支援教育課)
昨年、今年と、対象となる方で希望する方に実施してきました。
保護者の方や現場の教員からは副籍を利用した子が地元の小学校で交流した子から声を掛けてもらい、地域とのつながりが感じられるようになったといった感想をいただいております。回数や時間はまだ十分ではありませんが、まずはそのきっかけとして取り組んでいくということが何よりも大事だと考えております。
(読売新聞)
今、小学校と小学部だけでの実施ですが、中学校と中学部でなぜできていないのか、今後どうしていくのかお伺いします。
(教育長)
2つございます。一つは特別支援学校小学部から小学校での交流と、小学校の特別支援学級から特別支援学校の専門的な学びを受けていただくことはできないかと考えています。中学校と中学部についても実施してくためには、マンパワーをどうするのかという課題があります。各学校には特別支援教育コーディネーターがおりますが、それは校務としてあるだけというのが現実です。普段の仕事をしながら特別支援コーディネーターの役割を果たすというのは大変です。国に対して特別支援教育コーディネーターの数を増やしてもらえるように人的な充実が図れるように要望を今後も進めていきたいと考えております。
(読売新聞)
先生が兼務でやっておられるので学校間との調整ができない、マンパワーが足りないから実施できないという事なのでしょうか。
(教育長)
一つはその点があると思います。
それとまだ副籍は希望制なので、副籍で交流するとどういったよいことがあるのか実績を積んで広く知ってもらって多くの方に副籍制度を活用していただくようにすることが大切だと思っております。
(読売新聞)
他府県の事例では原則、みんなに副籍があるように把握をしているのですが、滋賀県の場合は今後も希望制でやっていくのでしょうか。
(特別支援教育課)
昨年から実施してまだ2年目でございます。中学校での実施も含めて色んな事例を集めております。現在は希望されない方もおられるので、そういった方に対して無理にやっていただくということは考えてはおりませんが、様々な障害種を対象とするのかも含めて考えていきたいと思っております。
(毎日新聞)
先ほど言ったことにもつながるのですが、先日のいじめ重大事案のレクの時に我々からしたら不十分な説明、対応だったという不満があって、PRしたいことがある一方であまり積極的にPRしづらいことがあってもマスコミへ丁寧に説明していただきたいなと思います。
(教育長)
こういった事態を県が公表するということにどんな意味があるのか、常々考えております。学校現場に対して、こういう事態があれば、気を付ける点を共有し、取組を進めてもらえるようにすること。もう一つは学校現場がこういった点が十分ではなかったということを広報を通じて広く県民の皆様に知っていただいて学校現場の課題についても知っていただく。やはり大切なのはいじめをなくしていく。そして万が一いじめがあった時には重大事態にならないようにしていくことが大切だと考えます。幅広い様々な取組を通じて公表することでどういったいじめがあってどういった対応をしなければならなかったのかを考え続けていくことが大事だと思います。ただ申し訳ないのですが、個人が特定されるような情報につきましては公表することが難しいところであります。どういったいじめがあったのか、それに対して学校はどのような対応をしたのか調査委員会の調査結果はしっかりと伝えていき、どこに問題があったのかを伝えていくことが大切であると認識しております。
(毎日新聞)
「いじめ重大事案をHPに公表しました。以上。」というような対応はどうかなと思いますので、もう少し説明をいただけるようによろしくお願いします。
(教育長)
はい、わかりました。しっかりと考えていきます。
(毎日新聞)
春の人事異動ですが、どういう方針で新年度の人事を考えられたのか。
(教育長)
教育委員会の中には、教育委員会事務局、教育機関、そして県立学校があります。事務局につきましては、いじめ・不登校などの支援体制を充実、強化するところに、やはり生徒指導というのは児童・生徒に関わる体制をとらなければならないので児童生徒室に「不登校・いじめ対策支援係」と「生徒指導係」の2係を設けました。そしてもう一つは事務局に幼児期教育センターを設置しました。何年か取り組んでおります保幼小の連携は中学校教育も含めて幼児期の教育というのは大切ということで幼児期教育センターを設置しました。新しくできます子ども若者部とも連携をしながら私立の保育園も含めた幼児期における教育内容面での質向上を進めていきたいと考えております。
そしてもう一つは教育機関において県立図書館に「こどもとしょかんサポートセンター」を設置いたします。特に次年度は学校図書館の充実に力を入れたいと考えております。学校図書館指導主事という職を配置して対応を進めてまいります。
県立高校につきましては魅力化プランで様々な取り組みを進めております。また併せまして令和8年の新入試制度に向けた取り組みもありますので、県立高校の校長先生につきましてはできる限り引き続き同じ高校でマネジメントしていただけるような体制が取れるように考えたところでございます。
(京都新聞)
重大事態の件で質問します。弊社の方で県立石部高校の野球部で重大事態が認定されたことを把握しました。その件については先日のレクでも特に何も語られてなかったんですけれども、事実関係の部分で教育長の認識をお伺いします。
(教育長)
この件につきましては、現在いじめ重大事態としての手続きを進めて対応している途中でございます。まだ全ての対応が終わったわけではございませんので調査中であるというのが我々の認識でございます。具体的な内容につきましては差し控えさせていただきます。
(京都新聞)
調査中であればあらゆるものが回答できないのでしょうか。
(教育長)
現在調査委員会で外部の視点も入れながら調査をした内容について関係の皆様に対して確認等の手続きをしている途中でございます。確認後、対応を進めていくという認識でございます。
(京都新聞)
先日、県教委に事実確認をしたところ「被害生徒側から取材を受ける許可を得ていないため今の段階では答えられない。県教委いじめ対策支援室」とあるんですけれどもこれは、必ず許可を出しているのでしょうか。
(教育長)
そうですね。今までも公表等させていただいた事案についての関係者の皆さんにご説明をした上で公表等についても事前に確認をさせていただいております。
(京都新聞)
被害生徒側が仮に、公表してほしくない場合は、おのずと非公表になるということでしょうか。
(教育長)
被害側の児童生徒、あるいは保護者の皆様が公表してほしくないという意向であるならば県教育委員会として公表しません。
(京都新聞)
先日、レクを受けたときにも当然、学校名など出ないですし、当人が特定できるような情報というのは出ないと思うのですけれども、それで何かプライバシーとか被害者に不利益があるとは一概には言えないとは思うのですが、県教育委員会の立場としては、被害生徒、被害保護者の意向=非公表ということになるのでしょうか。
(教育長)
当然学校名とか個人名は出しません。一定の内容等は公表する形になりますので、そういった公表されることも望まれない保護者なり、被害生徒もいらっしゃるというのは考慮しなければならないと考えます。
(京都新聞)
考慮と全て非公表というのはかなり差があると思うのですが、それはどちらですか。
(教育長)
基本は被害者の意向に寄り添って判断しますので、そういった意向が強ければ公表しない判断になります。
(京都新聞)
今回の事案を弊社で調べた限りにおいては重大事態に認定された後もいじめが継続していたということで、かなり悪質だと思います。被害者支援や加害者への対応が不十分で調査委員会自体が調査をしたことが問われていると思うのですが、どうでしょうか。
(教育長)
私も報告書を受けておりますが当初のいじめの行為があったその際に、様々な形で関係者が対応している。しかしながらこの後も引き続き、いじめと認定されるような行為が続いたことは学校側の早期の対応が学校全体としての対応が適切であったのか十分であったのかとういう点は、いじめの重大事態の調査の中で第三者、具体的には弁護士や臨床心理士の方にも入っていただいて確認していただいて調査結果をまとめていただくことになると思います。今回の事案でいじめ重大事態として調査を始めたにもかかわらず、その後もいじめと認められるような事案が発生していたことは非常に残念に思います。
(京都新聞)
実際に学校主体ではなく、より専門性の高い弁護士の方等を含めまして第三者委員会を基本的に一本化して調査をするという指摘もあったかと思うのですが、そういった考えについてはいかがですか。
(教育長)
今はいじめの重大事態につきましては設置者である県教育委員会が調査委員会を作る場合と学校主体の調査委員会がございます。学校で調査をする方がよりスムーズに進み早期の対応が図れるという点もあると思います。県教育委員会の調査委員会での調査となりますといろんな調整に時間がかかり機動性という意味においては少しデメリットがございます。どの案件をどの調査委員会で調査することが適切なのか判断する必要があると思います。
(京都新聞)
そういった観点から最初の学校主体の調査に不備があったというご認識でしょうか。
(教育長)
認定後に引き続きいじめが継続していたとお話を聞いておりますので、現時点において学校全体としての対応が十分ではなかったのではないかと考えているところでございます。調査委員会が生徒への対応をするのではなく、学校がどういう対応をして生徒がどういう状況になったのかを第三者的に調べて問題点を浮き彫りにするための調査ですので、学校主体の調査に不備があったというのは少し違うのではないかと思います。
(京都新聞)
教員採用試験の大学3年生。滋賀県教育委員会としても2月29日に導入しますというリリースがありました。ただ1月の教育長会見ですね。前段で京都市教委が採用される中で県教委はするのかという記者の質問に対して教育長は「効果と意味がどれほどあるのか」と強く疑問視、否定されたかと思うんですけれどもこれは今もこの言葉というのは継続しているのでしょうか。
(教育長)
私は大学4年間学び続けていただきたいという思いで大学3回生にはしっかりと大学の教育なり、教員になるために学んでいただきたいと申し上げました。その考えについては今も変わりはありません。ただ一方で他市、他府県が3回生の受験を実施していく方向であるという公表がございました。大学の関係者の皆様からもお話を聞いていく中では、現時点において近畿各府県市で3回生受験を実施されると公表されていますので、本県におきましても滋賀で先生になりたいという学生の思いにお応えするために3回生受験の実施をする必要があると判断したところでございます。
(京都新聞)
1月の会見時点で既にいろいろ検討がされていたと思うんですけれども、そういった中で当然、なかなか言えない部分っていうのはあるのかなとは、それは思うんですけれどもそこまで強く疑問視とか否定をされていらっしゃるんですね。
やっぱりその会見での言葉っていうのが非常にちょっと軽くなってしまうのではないかと、軽率にしか私は聞こえなかったので、そのあたりはこの会見でのご自身の発言というのはどのようにお感じになっておられるのか改めて伺います。
(教育長)
そのように受け止められるというのであれば、私の発言がある意味、熟慮されたことではないということであれば、私自身も反省をしなければならないと思っております。
(京都新聞)
実際に大学3年生受験が他府県の近隣次々に導入されて、横並び状態ということですけれども、そういった中で、特に滋賀で受験していただく中で、何か滋賀ならではのアピールポイントとかがあれば教えていただけますか。
(教育長)
教員採用について滋賀で受けたいと思ってもらうには、滋賀の学びがどんな方向に行っていてどんな学びを滋賀では実現できるのかを学生にお伝えすることが大切だと思っております。これは教育長になった時からずっと思っておりまして様々な媒体を通じた発信についても工夫しております。そして滋賀ならではの学びについて事前に伝えております。コロナの影響で何年も行けておりませんが、各大学を回って学生に話をさせていただいたこともございます。その中で例えばですが、滋賀の学びとしてびわ湖フローティングスクール「うみのこ」や「やまの子」「田んぼの子」などの体験学習など様々な取り組みについてお話をさせていただいております。そして滋賀で先生をしておられる方の生の声をできるだけ伝えることによって、滋賀を選んでもらえるようにすることと滋賀ならではの学びについては引き続きPRしていく必要があると考えております。
(京都新聞)
先日、河瀬中高に行きましてですね、デジタルの取り組みを見させてもらったのですが、そこで採点補助システムについて現場の先生の声を聞くと「非常に良い。素晴らしい。」「これがない学校には行きたくない。」とおっしゃっていて非常によいことだと思うのですが、実際に現場での使用状況、この河瀬については、以前からやっておられたということでしょうか。
(教職員課長)
採点補助システムというのは定期テスト等のデータを読み込んで採点するもので、今の河瀬高校や他の学校でも一部導入をさせていただいております。ただ今手元に資料がございませんので詳細については後程お答えします。
(京都新聞)
教育長としてはデジタルを導入しての働き方改革のアプローチについてはどういうお考えですか。
(教育長)
採点を効果的に行う補助システムとして導入するのは先生方の働き方改革につながります。どのようなスケジュールで行うかはすぐお答えできませんが、どんどん進めていきたいと考えております。