琵琶湖地域では、漁業者に加え、農業者、林業者、消費者やNPO、研究機関、企業等、様々な主体がシステムの保全に参画してきています。
自然に寄り添う暮らしの中で、伝統的に培われてきた水や生きものを大切にする価値観が、現代にも受け継がれています。代表的な取組を紹介します。
琵琶湖において毎年7月1日は特別な日です。この日を中心に、琵琶湖集水域一円において、地域の住民や企業の皆さんが一斉に参加する清掃活動が行われています。
この活動は、1971年に漁業者が琵琶湖の状況を憂い、一斉休漁して、清掃活動を始めたことがきっかけです。その後、1980年の同日、富栄養化の防止に関する条例を、滋賀県が全国に先駆けて施行し、翌年にこの日が「びわ湖の日」と定められました。
また、琵琶湖、特に南湖で増えすぎた水草を刈り取り、堆肥化し、かつてのように農地で利用する取組も進められています。年平均で約500トンの水草堆肥が畑などで利用されています。
1980年代から増加してきたブラックバスやブルーギルによる在来魚に対する食害を低減させるため、漁業者による外来魚の駆除に加え、釣り人による「ノーリリース」など、大人から子どもまで地域の皆さんも参加する取組を行っています。こうして捕獲した外来魚を、堆肥として活用する取組も進めています。
地域の子どもたちが、「琵琶湖システム」を学ぶ場として、漁師さんの協力により漁業体験などが行われています。
また、琵琶湖の学習船で航海しながら水や生きものとその恵みについて学ぶ「うみのこ」プログラムや、水田や森と、琵琶湖との繋がりについて学ぶプログラムも、小学生を対象に展開されています。
最近ではこれらの集大成として、「世界農業遺産」について学び、学習成果を地域で発表する小学校もあり、子どもたちの自主的な学びが高く評価されています。
琵琶湖の水や生きものとその恵みについて学ぶ
「うみのこ」
琵琶湖地域の文化を体験できるエコツーリズムやグリーンツーリズムは、琵琶湖システムの価値や意義を楽しみながら学べる場となっています。
フナズシの漬け込み体験講習はその一例です。受講者数は年々増加しており、琵琶湖でのクルージングと一体化したツアーも人気を博しています。
また、琵琶湖独自の湖魚料理や、魚と共生しながら水質を保つ農村文化について、学び、体験するプログラムも人気です。
さらに、修学旅行生や海外からの旅行客を受け入れる農家民宿も、近年増加しています。