琵琶湖は、滋賀県中のほとんどの水が集まる湖。琵琶湖を考えるときには、水源である森や、そして水を使用する農業等とのつながりを考えることが大切です。
琵琶湖の水は1450万人もの人が使っています。この水が途切れなく、そして良い水質が保たれるようにするには、県土の半分を占める森林を守ることが必要です。
琵琶湖の水源となる森は、天然林が6割、人工林が4割となっています。人工林は、家を建てるための木材を得るなどの目的で人が植えた木の林です。人工林を良い状態に保つには「植える→育てる→使う→植える」というサイクル(循環利用)がうまくまわることが必要です。特に大事なのは「使う」こと。木を育ててもその木が使われないのでは、森林は放置され荒れてしまいます。
滋賀県の子どもたちは「やまのこ」学習を通してこれらの事を学んでいます。
「やまのこ」学習では、小学校4年生が植物の観察や間伐体験などの森林での体験学習を通して、森林への理解と関心を 深め、そして人と豊かに関わる力を育くんでいます。2016年度には、県内ほぼ全ての小学校235校が参加しています。
作物が病気になることや、虫に食べられるのを防ぐために農薬が使用されています。また、作物をよく育てるには肥料も必要です。しかし、これらの使いすぎは琵琶湖の環境や人の体に良くない影響を与える心配があります。そこで滋賀県は農家 の人たちとともに、化学合成農薬や化学肥料の使用量をできるだけ少なくするなどの環境や人に優しい「環境こだわり農業」の取組を進めています。環境こだわり農産物の栽培面積(15,550ha)は、日本一の規模です。
琵琶湖のまわりの田んぼは、琵琶湖の魚にとって大切な産卵場所にもなっています。田んぼは水深が浅いので水が暖まりやすく、えさとなるプランクトンも豊富なので、生まれて間もない魚の成育の場に適しています。さらに、オオクチバスなどの 外敵もいません。そこで、魚たちが田んぼを産卵場所として利用できるよう水路に魚道を設置する「魚のゆりかご水田プロジェクト」が進められています。この取組は体験学習の場ともなっており、たくさんの子ども達が活動に参加しています。また、このような田んぼで、環境こだわり農業を実践するなど魚の赤ちゃんにもやさしい農法で育てたお米を「魚のゆりかご水田米」として滋賀県が認証しています。
こうした取組は、多くの人が環境こだわり農業を知り、そして環境こだわり農産物を食べて応援することで、さらに広がります。滋賀県では「食べることで、びわ湖を守る」を合言葉に環境こだわり農産物の消費拡大を推進しています。
このページは、2018年3月に滋賀県が発行した「びわ湖を学ぼう」(琵琶湖ハンドブック概要版)を一部修正して掲載しています。
原文はこちら(URL:/ippan/kankyoshizen/biwako/11346.html)
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