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長浜市 平成10年の水害

水害履歴

位置図
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高月町馬上(まけ) 平成10年の水害

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水害写真

体験者の語り  地元の男性3人による 聞き取り日:平成27年11月19日

【この調査は立命館大学歴史都市防災研究室と協働で行いました】

 長浜市高月町にある馬上(まけ)地区は、北国脇往還(ほっこくわきおうかん : 関ヶ原と木之本を結ぶ旧街道)が地区内を通っており、江戸時代には、北陸と京都や江戸を結ぶ交通路として、大名行列や飛脚の往来が盛んな古道の要衝であった。その一方で、馬上地区の周辺は高時川の氾濫原であり、多く浸水被害を受けてきた歴史がある。

 馬上は南北方向に長い地区で、西に高時川、南に山田川が流れ、東には山田山が迫る、三方を川と山に囲まれた地区である。この地形条件により、高時川が地区に近い場所からあふれた場合だけでなく、地区よりかなり上流の石道地区で溢れた場合も、水は馬上まで到達し、地区に被害をもたらす。このため、水防活動においても警戒する範囲が広い。

 地区の中には、かつて馬上地区のみならず下流の旧東浅井郡の村々の水田を潤した、「餅ノ井」(もちのゆ)と呼ばれる農業用の水路がある。浸水被害をもたらすのは高時川だけでなく、この餅ノ井が増水し溢れることで、地区内が浸水することもある。

 住民の方たちの体験から、地域の特性と明治29年・昭和34年伊勢湾台風・昭和40年・平成2年・平成10年の水害をまとめてあります。

 参考 (滋賀県災害誌より各水害の概要)

【明治29年9月琵琶湖洪水】

 この年は、非常に雨の多い年で、1月から8月までに平年の1年分に相当する雨が降り、9月に入ってもよく降ったうえに、9月7日早朝より雷を伴った一大豪雨となった。元彦根測候所長は「ロープのような太さの雨で、その上雷雨を伴い実に凄惨な光景であった。」と回顧している。寒冷前線が停滞したため、滋賀県を中心とする豪雨となった。彦根では、9月13日に135cm浸水し、彦根市内の80%が浸水している。

【昭和34年伊勢湾台風】

 8月台風7号の大雨により大小河川が決壊し、その応急復旧もままならないうちに、9月伊勢湾台風と立て続けに大型台風が通過。

 伊勢湾台風では彦根で台風の目が観測された。この台風によって姉川・天野川をはじめ、県下各河川の本流支流で氾濫、堤防が決壊し、いたるところで浸水・冠水した。冠水時間が異常に長引き、彦根市松原では収穫が皆無になるなど、甚大な水害被害があった。

【昭和40年9月 台風23・24号】

 9月9日以来、秋雨前線による雨が続くなか、10日に台風23号が・17日に24号が立て続けにやってきた。台風24号は、この年の最も大きい台風で、各河川はこれまでの増水した水量に加え、さらに急速に増水し、9月17日23時頃には各地で堤防の決壊が起こった。そのため、家屋の全半壊をはじめ、田畑の流失・冠水などによる水害被害・農作物被害が甚大なものになった。

【平成2年台風19号】

 9月19日から20日にかけて県を直撃した台風19号は、停滞していた秋雨前線を刺激し、大雨を降らしながら県を南北に通過し、湖東地域を中心に多大な被害を与えた。県内各河川は軒並み通報水位・警戒水位をはるかに超え氾濫し、愛知川では、旧能登川町で2か所の堤防決壊が起こり、周辺地帯に浸水被害が集中した。

【平成10年台風10号】

 台風の発生数は平年に比べ少なかった。この年最大の降水量だった台風10号は、10月15日から雨が断続的に降り続き、18日早朝には警戒水位を超えるところが出てきた。徐々に水位は下がり始め、5時間程度で警戒水位を下回り、午後には通報水位も下回った。


伝承・言い伝え