○ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例第21条第1項の規定による生息・生育地保護区の指定
平成24年3月30日
滋賀県告示第154号
ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例第21条第1項の規定による生息・生育地保護区の指定
ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例(平成18年滋賀県条例第4号)第21条第1項の規定に基づき、生息・生育地保護区を次のとおり指定し、平成24年3月31日から施行する。
1 名称 醒井養鱒場サルオガセ類生育地保護区
2 指定の区域 米原市上丹生 醒井養鱒場内の一部(区域は、区域図表示のとおり)
3 指定に係る希少野生動植物種 アカサルオガセ、ドロガワサルオガセ、コフクレサルオガセ、トゲサルオガセ、トゲワタサルオガセ、ウスベニヒゲゴケ、アカヒゲゴケ、ウツロヒゲゴケ
4 指定の区域の保護に関する指針
(1) 指定の目的 醒井地区にサルオガセ属が豊富に生育することは、滋賀県レッドデータブック“2010年版”(滋賀県,2011)や近年の調査報告(Kashiwadani et al.,2011;柏谷・小林,2011;小林,2011)で詳しく述べられている。その中でも、醒井養鱒場では、場内のソメイヨシノ、スギ、カエデ類などの樹皮上にサルオガセ属地衣類が広く生育しており、絶滅危惧種1種、絶滅危機増大種7種が確認されている。特にアカヒゲゴケ、アカサルオガセの生育が盛んである。また、滋賀県では50年以上も生育が確認されていなかった、絶滅危惧種のウツロヒゲゴケと絶滅危機増大種のドロガワサルオガセの2種が新たに見つかったことは、指定予定区域がサルオガセ属地衣類の生育にとって極めて重要であることを示している。
従って、滋賀県のサルオガセ属地衣類の保護を図る上で、醒井養鱒場内の指定予定区域において、指定に係る地衣類の着生する樹木を保護していく必要がある。
(2) 指定に係る希少野生動植物種個体の生育のために確保すべき条件 当該区域の、指定に係る希少野生動植物である地衣類は、スギなどの樹木に適応したものである。このため、養鱒場内に分布している希少野生動植物の地衣類が着生している10本のスギの現状を維持するとともに、大気中の湿度、気温、日照条件、大気の流れの方向等、極めて微妙な大気微環境の現状もあわせて維持する必要がある。
(3) 生育条件の維持のための環境管理の指針
ア 木竹の伐採、土地の形質の変更、鉱物の採掘または土石の採取 本区域においては、指定に係る希少野生動植物種のうち、ウツロヒゲゴケとドロガワサルオガセ、アカサルオガセの3種が着生しているスギを伐採したり、スギの生育に影響を及ぼす行為を行わないものとする。
イ 環境管理 条例違反行為に対する巡視を行うほか、管理者である水産課と協議しながら、指定に係る希少野生動植物の地衣類の良好な生育環境の維持に努めるものとする。
(区域図は、省略し、滋賀県琵琶湖環境部自然環境保全課ならびに各森林整備事務所および西部・南部森林整備事務所高島支所に備え置いて一般の縦覧に供する。)