○滋賀県流域治水の推進に関する条例
平成26年3月31日
滋賀県条例第55号
滋賀県流域治水の推進に関する条例をここに公布する。
滋賀県流域治水の推進に関する条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 想定浸水深の設定等(第7条・第8条)
第3章 河川における氾濫防止対策(第9条)
第4章 集水地域における雨水貯留浸透対策(第10条・第11条)
第5章 氾濫原における建築物の建築の制限等(第12条―第25条)
第6章 浸水に備えるための対策(第26条―第34条)
第7章 滋賀県流域治水推進審議会(第35条・第36条)
第8章 雑則(第37条―第40条)
第9章 罰則(第41条―第43条)
付則
滋賀県の河川は、琵琶湖を取り巻く四方の山々から流れ出て、網の目のように湖国全体を覆い、大地を潤し、多様な生物を育みながら、私たちの暮らしや産業を支えてきた。その一方で、時として大雨による洪水氾濫で県民を苦しめてきた。
先人たちは、水を巧みに利用しながら、水源となる森林を守り、平野部では堤防を築き、河畔林をつくり育て、地域の水防組織を強化し、生命と財産を守り続けてきた。
近年、滋賀県を含む全国各地で大雨や集中豪雨が頻発し、甚大な被害が発生している。また、都市化の進展とともに県民と河川との関わりが希薄になったこと等により、県民の水害への関心や危機意識が低下し、これまで地域社会で育まれてきた水害から生命と財産を守るための仕組みが次第に失われていくことが危惧されている。
こうした状況を踏まえ、水害から県民の生命と財産を守るためには、まず、河川の計画的な整備を着実に進めることが何より重要である。それに加えて、多くの県民が暮らしている氾濫原の潜在的な危険性を明らかにし、県民とその危険性の認識を共有することが必要である。
そのうえで、河川等の流水を流下させる能力を超える洪水にあっても県民の生命を守り、甚大な被害を回避するためには、「川の中」で水を安全に「ながす」基幹的対策に加え、「川の外」での対策、すなわち、雨水を「ためる」対策、被害を最小限に「とどめる」対策、水害に「そなえる」対策を組み合わせた「滋賀の流域治水」を実践することが重要である。
私たちは、全ての者が「滋賀の流域治水」を実践し、将来にわたって安心して暮らすことができるよう、自助・共助・公助を基本として水害に強い地域づくりを目指すことを決意し、ここに滋賀県流域治水の推進に関する条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、流域治水に関し、基本理念を定め、県、県民および事業者の責務を明らかにするとともに、県が行う施策の基本となる事項等を定めることにより、流域治水を総合的に推進し、もって浸水被害から県民の生命、身体および財産を保護し、将来にわたって安心して暮らすことができる安全な地域の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「浸水被害」とは、洪水による浸水または一時的に大量の降雨が生じた場合において下水道、農業用排水路その他の排水施設もしくは河川その他の公共の水域に当該雨水を排水できないことによる浸水により、県民の生命、身体または財産に生ずる被害をいう。
2 この条例において「流域治水」とは、浸水被害を回避し、または軽減するため、次に掲げる対策を組み合わせて実施することをいう。
(1) 洪水による河川等(河川および下水道、農業用排水路その他の排水施設をいう。以下同じ。)の氾濫を防ぐため、河川の整備を行うこと。
(2) 河川等への急激な雨水の流入を緩和するため、河川等に係る集水地域において雨水を貯留し、または地下に浸透させること。
(3) 氾濫原(浸水被害が生じるおそれのある区域をいう。以下同じ。)において浸水被害の発生のおそれを考慮した建築物の建築等の制限、都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する区域区分の決定等を行うこと。
(4) 県、市町、県民その他の関係者が連携して、避難に必要な情報の伝達体制の整備、地域における浸水被害の回避または軽減に関する必要な対策の検討等を行うこと。
3 この条例において「想定浸水深」とは、一定の期間につき1回の割合で発生するものと予想される降雨が生じた場合において、洪水または下水道、農業用排水路その他の排水施設もしくは河川その他の公共の水域に当該雨水を排水できないことにより氾濫原が浸水したときに想定される水深をいう。
(基本理念)
第3条 流域治水は、浸水が発生した場合における県民の生命に対する被害を回避することが特に重要であるとの認識の下に推進されなければならない。
2 流域治水は、河川の整備が洪水による河川等の氾濫を防ぐための基幹的な対策であることに鑑み、河川を管理する者の責務にのっとり、河川の整備を計画的かつ効果的に実施することを旨として推進されなければならない。
3 流域治水は、河川の流水を流下させる能力を超える洪水が発生するおそれがあることに鑑み、河川の整備に加えて、他の対策を実施することにより、浸水被害を回避し、および軽減することを旨として推進されなければならない。
4 流域治水は、その施策が総合的に実施されるとともに、その効果が最大限に発揮されるよう、地域の特性に応じて推進されなければならない。
5 流域治水は、県、市町、県民その他の関係者相互間において情報が共有されることを通じて、これらの者の相互の連携および協働の下に、着実に推進されなければならない。
(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、流域治水に関する施策を総合的に策定し、および実施するものとする。
2 県は、流域治水に関する施策の策定および実施に当たり、市町、県民その他の関係者との連携に努めるとともに、市町、県民その他の関係者に対し、必要な情報の提供、助言または支援を行うものとする。
3 県は、水防に市町が果たす役割の重要性に鑑み、市町が流域治水に関する施策を策定し、および実施しようとするときは、必要な情報の提供、助言、支援または調整を行うものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、基本理念にのっとり、地域の特性および想定浸水深を把握するとともに、これらを勘案して、自らの生命、身体および財産に対する被害を回避し、または軽減するために必要な取組を自主的かつ積極的に行うよう努めなければならない。
2 県民は、県が実施する流域治水に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、地域の特性および想定浸水深を把握するとともに、これらを勘案して、その事業の利用者、従業者等の生命、身体および財産に対する被害を回避し、または軽減するために必要な取組を自主的かつ積極的に行うよう努めなければならない。
2 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、県が実施する流域治水に関する施策に協力しなければならない。
第2章 想定浸水深の設定等
(基礎調査)
第7条 知事は、想定浸水深の設定または変更のために必要な基礎調査として、河川等に係る集水地域および氾濫原に関する地形、土地利用の状況その他の事項に関する調査を行うものとする。
2 知事は、前項の調査を行うに当たり必要があると認めるときは、関係市町の長に対し、その管理する河川等に関する情報の提供その他の協力を求めることができる。
(想定浸水深の設定等)
第8条 知事は、前条第1項の調査の結果を踏まえ、おおむね5年ごとに想定浸水深を設定するものとする。
2 知事は、前項の規定により想定浸水深を設定しようとするときは、あらかじめ、期限を定めて、関係市町の長の意見を聴くものとする。
3 知事は、第1項の規定により想定浸水深を設定したときは、速やかに、規則で定めるところにより、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、想定浸水深の変更について準用する。
第3章 河川における氾濫防止対策
第9条 知事は、洪水による河川の氾濫を防ぐため、次に掲げるところにより、その管理する河川の整備を行うものとする。この場合において、知事は、浸水が発生した場合には建築物が浸水し、県民の生命または身体に著しい被害を生ずるおそれがあると認められる土地の区域に係る河川の整備が早期に実施されるよう特に配慮するものとする。
(1) 県の全域における河川の整備状況の均衡に配慮しつつ、河道の拡幅、堤防の設置、河床の掘削、洪水調節の機能を有する施設(ダム等を含む。)の設置等の対策を、計画的かつ効果的に組み合わせて行うこと。
(2) 河川の流水を流下させる能力を維持するため、治水上の支障の程度に応じ、河川内の樹木の伐採、堆積した土砂のしゅんせつ、護岸の修繕等を行うこと。
(3) 堤防が決壊した場合に甚大な浸水被害が想定され、かつ、当面第1号に規定する対策を実施することが困難な河川の区間にあっては、浸水被害を軽減するため、堤防の性能の向上を図る改良を行うこと。
第4章 集水地域における雨水貯留浸透対策
(森林または農地の雨水貯留浸透機能の確保)
第10条 森林を所有し、または使用収益する権原を有する者は、琵琶湖森林づくり条例(平成16年滋賀県条例第2号)の基本理念にのっとり、県民、事業者等と連携して、森林の適正な保全および整備を行うことにより、森林が有する雨水貯留浸透機能(雨水を一時的に貯留し、または地下に浸透させる機能をいう。以下同じ。)が持続的に発揮されるよう努めなければならない。
2 農地を所有し、または使用収益する権原を有する者は、農業生産活動を行うに当たっては、農地の適正な保全および管理を行うことにより、農地が有する雨水貯留浸透機能が持続的に発揮されるよう努めなければならない。
(公園等の雨水貯留浸透機能の確保)
第11条 おおむね1,000平方メートル以上の面積を有する公園、運動場その他これらに類する施設の所有者または管理者は、その敷地に雨水を貯留する機能を有する施設を設置すること、雨水を浸透させる舗装を施すことその他の雨水を一時的に貯留し、または地下に浸透させる措置を講ずることにより、これらの施設に雨水貯留浸透機能を備えるとともに、これらの施設の雨水貯留浸透機能を維持するよう努めなければならない。
2 建物または工作物の所有者または管理者は、雨水の貯水槽を設置すること等により、これらの建物または工作物の規模に応じた雨水貯留浸透機能を備えるとともに、これらの建物または工作物の雨水貯留浸透機能を維持するよう努めなければならない。
第5章 氾濫原における建築物の建築の制限等
(定義)
第12条 この章および第8章において使用する用語は、建築基準法(昭和25年法律第201号)および建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)において使用する用語の例による。
(浸水警戒区域の指定等)
第13条 知事は、200年につき1回の割合で発生するものと予想される降雨が生じた場合における想定浸水深を踏まえ、浸水が発生した場合には建築物が浸水し、県民の生命または身体に著しい被害を生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の建築物の建築の制限をすべきものを浸水警戒区域として指定することができる。
3 知事は、第1項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、当該指定の案を当該公告の日から起算して2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
6 知事は、第1項の規定による指定をするときは、規則で定めるところにより、その旨ならびに当該指定の区域および想定水位を告示しなければならない。
9 浸水警戒区域は、建築基準法第39条第1項の規定による災害危険区域とする。
(浸水警戒区域における建築物の建築の制限)
第14条 浸水警戒区域内において、住居の用に供する建築物または高齢者、障害者、乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設、学校もしくは医療施設(規則で定めるものに限る。以下「社会福祉施設等」という。)の用途に供する建築物の建築(移転を除く。以下同じ。)をしようとする建築主は、あらかじめ、知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(1) 建築物の増築または改築をしようとする場合において、当該増築または改築に係る部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるとき。
(2) 建築物の増築または改築をしようとする場合において、当該増築または改築に係る部分が居室を有しないとき。
(3) 建築基準法第85条第6項の規定の適用を受ける仮設建築物の建築をしようとする場合
(4) 前各号に定めるもののほか、建築物およびその敷地の状況等を勘案してやむを得ないと知事が特に認めた建築物の建築をしようとする場合
3 第1項の許可を受けようとする建築主は、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に、規則で定める図書を添えて、知事に提出しなければならない。
(1) 建築物の敷地の位置
(2) 建築物の構造
(3) 建築物の用途
(4) 建築物の敷地の想定水位
(6) その他規則で定める事項
(一部改正〔令和4年条例40号〕)
ア 当該建築物の地盤面と想定水位との高低差が3メートル未満であること。
イ 想定水位下の主要構造部(壁、柱およびはりのうち、構造耐力上主要な部分に限る。次項において同じ。)が鉄筋コンクリート造または鉄骨造であること。
(2) 同一の敷地内に前号に該当する建築物があること。
(3) 付近に次のいずれにも該当する避難場所があること。
ア 次のいずれかに該当するものであること。
(ア) 当該避難場所の地盤面の高さが想定水位以上であること。
(イ) 第1号に該当する建築物または一時的な避難場所としての機能を有する堅固な工作物があること。
イ 当該避難場所に避難することが見込まれる者の人数を勘案して十分な広さを有すること。
ウ 申請に係る建築物からの距離および経路、当該避難場所の管理の状況等を勘案して浸水が生じた場合に確実に避難することができると知事が認めるものであること。
(4) 前3号に定めるもののほか、これらと同等以上の安全性を確保することができると知事が認める建築物であること。
ア 当該建築物の地盤面と想定水位との高低差が3メートル未満であること。
イ 想定水位下の主要構造部が鉄筋コンクリート造または鉄骨造であること。
(2) 同一の敷地内に前号に該当する建築物があること。
(3) 前2号に定めるもののほか、これらと同等以上の安全性を確保することができると知事が認める建築物であること。
(許可の条件等)
第16条 知事は、第14条第1項の許可をする場合において、浸水による県民の生命または身体に対する被害を回避するために必要な条件を付することができる。
2 知事は、第14条第1項の許可をしたときは、規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
3 前項の許可証の交付を受けた後でなければ、建築物の建築の工事は、することができない。
(1) この条例の規定またはこれに基づく処分に違反したとき。
(2) この条例の規定による許可に付した条件に違反したとき。
(3) 偽りその他不正の手段によりこの条例の規定による許可を受けたとき。
(報告の徴収)
第21条 知事は、この章の規定の施行に必要な限度において、建築物の所有者、管理者もしくは占有者、建築主、設計者、工事監理者または工事施工者(次条において「建築物の所有者等」という。)に対して、建築物の敷地、構造もしくは用途または建築物に関する工事の計画もしくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
(立入検査)
第22条 知事は、この章の規定の施行に必要な限度において、その職員に、建築物、建築物の敷地もしくは建築工事場に立ち入らせ、建築物、建築物の敷地、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査させ、または建築物の所有者等に対し必要な事項について質問させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
(区域区分に関する都市計画の決定または変更)
第24条 県は、都市計画法第15条第1項第2号に掲げる区域区分に関する都市計画を同法第18条第1項(同法第21条第2項において準用する場合を含む。)の規定により決定し、または変更するときは、10年につき1回の割合で発生するものと予想される降雨が生じた場合における想定浸水深が0.5メートル以上である土地の区域(都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第8条第1項第1号に規定する土地の区域を除く。)を、新たに同法第7条第2項に規定する市街化区域に含めないものとする。ただし、浸水による県民の生命、身体および財産に対する著しい被害の発生を防止するための対策が講じられ、または確実に講じられると見込まれる場合は、この限りでない。
(盛土構造物の設置等に対する配慮等)
第25条 氾濫原において道路、鉄道その他の規則で定める施設と相互に効用を兼ねる大規模な盛土構造物の設置、改変または撤去(以下「設置等」という。)をしようとする者は、当該盛土構造物の設置等によりその周辺の地域において著しい浸水被害が生じないよう配慮しなければならない。
2 知事は、前項の盛土構造物の設置等によりその周辺の地域において著しい浸水被害が生じるおそれがあると認めるときは、当該盛土構造物の設置等をしようとする者に対し、浸水被害を回避し、または軽減するために必要な措置を講ずることを求めることができる。
第6章 浸水に備えるための対策
(避難に必要な情報の伝達体制の整備等)
第26条 県は、浸水被害が発生し、または発生するおそれがある場合における県民の迅速かつ円滑な避難を確保するため、知事が管理する河川について保有する水位、雨量等に関する情報および洪水に関する予報または警報に関する情報(以下「河川の水位等に関する情報」という。)を市町および県民に的確かつ迅速に伝達するために必要な体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。
(市町への必要な支援)
第27条 県は、市町に対し、避難場所および避難の経路その他住民の迅速かつ円滑な避難を図るための事項の検討その他市町が行う浸水被害の回避または軽減に関する対策の検討に資するため、想定浸水深に関する情報その他必要な情報の提供、技術的助言その他の必要な支援を行うものとする。
(浸水時における避難等)
第28条 県民は、浸水被害を回避し、または軽減するため、日常生活において、避難場所および避難の経路、家族等との連絡方法その他浸水が発生した際にとるべき行動を確認するよう努めなければならない。
2 県民は、浸水被害が発生するおそれがある場合において、河川の水位等に関する情報および避難の勧告等に関する情報に留意するとともに、状況に応じて的確に避難するよう努めなければならない。
(宅地または建物の売買等における情報提供)
第29条 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する宅地建物取引業者は、同法第35条第1項に規定する宅地建物取引業者の相手方等に対して、その者が取得し、または借りようとしている同法第2条第1号に規定する宅地または建物に関し、その売買、交換または貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地または建物が所在する地域の想定浸水深および水防法(昭和24年法律第193号)第14条第1項に規定する洪水浸水想定区域に関する情報を提供するよう努めなければならない。
(一部改正〔平成27年条例68号〕)
(調査研究の推進等)
第30条 県は、流域治水に関する最新の知見の把握に努めるとともに、浸水に関する記録(県民の浸水に関する体験の記録を含む。次条において同じ。)の収集その他流域治水に関する施策を効果的に実施するために必要な調査研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。
(教育、訓練等)
第31条 県は、前条の調査研究の成果等を踏まえ、県民が、浸水に関する記録、流域治水に関する最新の知見、地域において想定される浸水被害、浸水が発生した際にとるべき行動等に関する知識の習得を通じ、浸水が発生した際に迅速かつ適切な行動をとることができるようになることを目標として、学校教育その他の多様な機会を通じ、映像等を用いた効果的な手法を活用しつつ、浸水被害を回避し、または軽減するために必要な教育および訓練、意識の向上等に努めるものとする。
(浸水被害の回避または軽減に関する学習等)
第32条 県民は、浸水被害を回避し、または軽減するためには、県民一人ひとりが適切な対策を講ずることが重要であることを認識し、自ら浸水被害およびこれに対する適切な対策について学習するとともに、県、市町その他の団体が実施する訓練に自主的に参加するよう努めなければならない。
(水害に強い地域づくり協議会)
第33条 県、関係行政機関および地域住民は、第13条第1項に規定する浸水警戒区域の指定に関する事項その他の地域における浸水被害の回避または軽減に関し必要な対策に関する事項について協議するため、水害に強い地域づくり協議会を組織することができる。
(県民相互の連携等)
第34条 県民は、相互に連携し、または流域治水に資する活動を行う団体を組織する等の方法により、協働による流域治水の推進に取り組むよう努めなければならない。
2 県は、前項の規定による取組への県民の積極的な参加を促進するとともに、県民または流域治水に資する活動を行う団体に対して、情報の提供、交流の機会の提供その他の必要な支援を行うものとする。
第7章 滋賀県流域治水推進審議会
(滋賀県流域治水推進審議会)
第35条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の附属機関として、滋賀県流域治水推進審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、第13条第5項に規定する事項を調査審議するほか、知事の諮問に応じ、流域治水の推進に関する事項を調査審議するものとする。
3 審議会は、前項の調査審議を行うほか、流域治水の推進に関する事項に関し、知事に意見を述べることができる。
(審議会の組織等)
第36条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、流域治水に関し学識経験を有する者その他知事が適当と認める者のうちから知事が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることを妨げない。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 審議会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。
7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第8章 雑則
(財政上の措置)
第37条 県は、流域治水に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(施策の実施状況の報告)
第38条 知事は、毎年度、流域治水に関する施策の実施状況を議会に報告しなければならない。
(規則への委任)
第40条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第9章 罰則
(罰則)
第41条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(過料)
第43条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。
(2) 第19条第2項の規定による調査を拒み、妨げ、または忌避した者
(3) 第21条の規定による報告をせず、または虚偽の報告をした者
付則
(1) 第29条の規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日
(平成26年規則第47号で平成26年9月1日から施行)
(平成27年規則第13号で平成27年3月30日から施行)
2 第9章の規定は、当分の間、適用しない。
3 滋賀県建築基準条例(昭和47年滋賀県条例第26号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
付則(平成27年条例第68号)
この条例は、公布の日から施行する。
付則(令和4年条例第40号)
この条例は、公布の日から施行する。