○滋賀県薬物の濫用の防止に関する条例
平成27年3月23日
滋賀県条例第4号
滋賀県薬物の濫用の防止に関する条例をここに公布する。
滋賀県薬物の濫用の防止に関する条例
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 薬物の濫用の防止に関する施策等(第5条―第8条)
第3章 薬物の濫用の防止のための規制(第9条―第15条)
第4章 滋賀県指定薬物審査会(第16条・第17条)
第5章 不動産の譲渡等における措置(第18条・第19条)
第6章 雑則(第20条)
第7章 罰則(第21条―第26条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、薬物の濫用の防止について、県および県民等の責務を明らかにするとともに、県が行う施策の基本となる事項を定め、必要な規制を行うこと等により、薬物の濫用による県民の生命、身体等に対する危害の発生を防止し、もって県民が平穏にかつ安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。
(1) 大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻
(2) 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条第1項に規定する覚醒剤および同条第5項に規定する覚醒剤原料
(3) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬、同条第4号に規定する麻薬原料植物および同条第6号に規定する向精神薬
(4) あへん法(昭和29年法律第71号)第3条第1号に規定するけし、同条第2号に規定するあへんおよび同条第3号に規定するけしがら
(5) 毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定するトルエンならびに酢酸エチル、トルエンまたはメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料および閉塞用またはシーリング用の充填料
(6) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第15項に規定する指定薬物
(7) 前各号に掲げるもののほか、中枢神経系の興奮もしくは抑制または幻覚の作用(当該作用の維持または強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物
(一部改正〔令和2年条例7号〕)
(県の責務)
第3条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策(第7条第1項に規定する薬物の依存症等の回復等に関する施策を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、および実施するものとする。
2 県は、薬物の濫用の防止に関する施策の策定および実施に当たり、国、他の地方公共団体、薬物の依存症からの患者の回復を目的として組織された団体(以下「患者団体」という。)その他の関係者との連携に努めるとともに、他の地方公共団体、患者団体その他の関係者に対し、必要な情報の提供、助言または支援を行うものとする。
(県民等の責務)
第4条 県民は、薬物の危険性に関する知識および理解を深め、薬物の濫用を防止するよう努めるとともに、県が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力しなければならない。
2 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、薬物の危険性を把握し、薬物の濫用を防止するために必要な取組を自主的かつ積極的に行うよう努めるとともに、県が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力しなければならない。
第2章 薬物の濫用の防止に関する施策等
(推進体制の整備等)
第5条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制の整備を図るものとする。
2 知事および公安委員会は、相互に連携し、および協力して、薬物の濫用の防止に関し、必要な監視、調査、指導その他の措置を講ずるものとする。
(情報の提供等)
第6条 県は、薬物の濫用による県民の生命、身体等に対する危害の発生を防止するため、県民に必要な情報を提供するものとする。
2 県は、県民が薬物の危険性に関する十分な知識に基づき行動することができるよう、必要な教育、意識の向上等に努めるものとする。
(依存症等からの患者の回復等の措置)
第7条 県は、薬物の依存症および中毒症状(以下「薬物の依存症等」という。)からの患者の回復または薬物の依存症の予防(以下「薬物の依存症等の回復等」という。)に資するため、相談体制ならびに専門的な治療および社会復帰支援に関する体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(滋賀県薬物濫用対策推進協議会)
第8条 県、関係行政機関および患者団体その他の関係団体は、薬物の濫用の防止についての必要な対策(薬物の依存症等の回復等に関する対策を含む。)に関する協議およびその実施に係る連絡調整を行うために、滋賀県薬物濫用対策推進協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
第3章 薬物の濫用の防止のための規制
(知事指定薬物の指定)
第9条 知事は、第2条第7号に掲げる薬物のうち、県の区域内において現に濫用され、または濫用されるおそれがあると認めるものを知事指定薬物として指定することができる。
3 前項ただし書の場合において、知事は、速やかに、その指定に係る事項を滋賀県指定薬物審査会に報告しなければならない。
4 知事は、第1項の規定による指定をするときは、その旨および当該指定に係る知事指定薬物の名称、指定の理由その他規則で定める事項を告示しなければならない。
2 知事は、前項の規定により知事指定薬物の指定が効力を失ったときは、当該知事指定薬物の名称、失効の理由その他規則で定める事項を告示するものとする。
(製造等の禁止)
第11条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、正当な理由により行う場合として規則で定める場合は、この限りでない。
(1) 知事指定薬物(知事指定薬物を含有する物を含む。以下同じ。)を製造し、または栽培すること。
(2) 知事指定薬物を販売し、授与し、または販売もしくは授与の目的で所持すること(県の区域外における販売または授与の目的で所持する場合を含む。)。
(3) 知事指定薬物を販売または授与の目的で広告すること(県の区域外における販売または授与の目的で広告する場合を含む。)。
(4) 知事指定薬物を所持し、購入し、もしくは譲り受け、または使用すること(販売または授与の目的で所持する場合を除く。)。
(5) 医薬品医療機器等法第76条の6の2第1項の規定による禁止に係る物品を、同条第2項の規定により当該禁止が解除されるまでの間、使用すること。
(6) 情を知って、知事指定薬物および前号の物品を使用する場所を提供し、または周旋すること(滋賀県青少年の健全育成に関する条例(昭和52年滋賀県条例第40号)第25条第7号の規定に違反する行為を除く。)。
2 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、知事指定薬物等を業務上取り扱う場所その他必要な場所に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を調査させ、関係者に質問させ、または試験のため必要な最少分量に限り知事指定薬物等を収去させることができる。
3 公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、公安委員会規則で定める警察職員に、知事指定薬物等を業務上取り扱う場所その他必要な場所に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を調査させ、または関係者に質問させることができる。
(警告)
第13条 知事は、第11条各号の規定に違反した者に対し、警告を発することができる。
3 前2項の警告は、規則で定める様式による警告書を交付して行うものとする。
4 公安委員会は、警察職員が第11条第6号に掲げる行為をした者を発見したときは、公安委員会規則で定めるところにより、知事に通知することができる。
(1) 薬物の濫用による危害から県民の生命または身体を守るため緊急を要する場合で、前条第1項の規定による警告を発するいとまがないとき。
(公安委員会の要請)
第15条 公安委員会は、第2条第7号に掲げる薬物に関し、公共の安全の維持のため必要があると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、知事に対し、必要な措置をとるべきことを要請することができる。
第4章 滋賀県指定薬物審査会
(滋賀県指定薬物審査会)
第16条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の附属機関として、滋賀県指定薬物審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
(審査会の組織等)
第17条 審査会は、委員5人以内で組織する。
2 委員は、薬物に関し学識経験を有する者のうちから知事が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることを妨げない。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。
7 前各項に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 不動産の譲渡等における措置
(不動産の譲渡等をする者が講ずる措置)
第18条 何人も、自己が譲渡または貸付け(地上権の設定を含む。)(以下「譲渡等」という。)をしようとする不動産が薬物の製造、栽培、販売、授与または販売もしくは授与の目的での所持(これらの行為が正当な理由により行う場合として規則で定める場合に該当するときを除く。)のための施設またはその敷地(以下「薬物製造施設等」という。)の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約を締結してはならない。
2 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該契約を締結しようとする相手方に対し、当該不動産を薬物製造施設等の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。
3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約を締結するに際しては、当該契約の内容として、次に掲げる事項を書面により定めるよう努めなければならない。
(1) 当該不動産を薬物製造施設等の用に供してはならない旨
(2) 当該不動産が薬物製造施設等の用に供されていることが判明したときは、催告をすることなく当該契約を解除し、または当該不動産の買戻しをすることができる旨
4 不動産の譲渡等をした者は、前項第2号に掲げる事項を当該譲渡等に係る契約に定めた場合において、当該不動産が薬物製造施設等の用に供されていることが判明したときは、速やかに、当該契約を解除し、または当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。
(不動産の譲渡等の代理等をする者が講ずべき措置)
第19条 何人も、他人が譲渡等をしようとする不動産が薬物製造施設等の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約の代理または媒介をしてはならない。
2 不動産の譲渡等の代理または媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、前条の規定の遵守について助言その他の措置を講じなければならない。
第6章 雑則
(規則への委任)
第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第7章 罰則
第22条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
第24条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条第1項の規定による報告もしくは物件の提出をせず、または虚偽の報告もしくは虚偽の物件の提出をした者
付則
付則(令和2年条例第7号)
この条例は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)第4条(覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)第9条第1項第2号の改正規定を除く。)の規定の施行の日から施行する。
(施行の日=令和2年4月1日)