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更新日:2026年2月23日

谷垣専門研究員が先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会にて発表を行いました。

  • 日付
    2026-2
  • 発表日
    2026年2月20日
  • 学会名
    先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会
  • 開催地
    滋賀
  • 演題
    統合失調症患者の病態及び疾患概念解明を目的としたスフィンゴミエリン合成の検討
  • 演者
    谷垣健二
  • 要旨
    多くの精神疾患では生物学的な病態は知られておらず、治療法の開発における課題となっている。DSM-5-TRなどの操作的診断基準は疾患の生物学的な均質性を担保しない。そのため、稀ではあるが明らかな生物学的特徴を持った精神科患者を対象として、その生物学的な特徴が精神疾患の発症と関連する可能性がある。我々はこうした可能性を検討するため、均衡型相互転座t(3;9)(q13.12;q21.2)
    を持つ統合失調症患者を出発点として、この変異がどういった生物学的な現象を引き起こしているのか、その現象が統合失調症と関連があるのか検討を行い、この転座を持つものは血漿中L-セリン濃度が健常人と比較して低下しており、この転座によってL-セリン合成酵素の発現が低下していることを見出した(Ozeki Y et al, Neuroscience Research 2011)。次に我々は、統合失調症患者におけるL-セリン合成について検討を行い、セリン合成酵素の一つPSP活性が統合失調症患者で有意に低下していることを報告した(Ozeki Y et al, Psychiatry Res. 237:344-502016)。以上の知見より、統合失調症患者ではL-セリン合成に異常がある可能性が示唆される。統合失調症患者におけるL-セリン合成異常の原因を明らかにするため、121名の統合失調症患者を対象に3つのL-セリン合成酵素のエクソーム解析を行った。
    その結果、L-セリン合成酵素の一つPHGDHにアミノ酸置換を伴う稀な遺伝子変異を伴いう患者を2名認めた。このうち一名は血漿中スフィンゴミエリンの低下が認められた。これまで統合失調症患者では、L-セリンより合成されるスフィンゴミエリンなどスフィンゴ脂質に何らかの異常がある可能性が報告されており、スフィンゴ脂質が神経機能に果たす役割を考えると興味深い。
    今回、我々は、統合失調症患者で認められたPHGDH遺伝子変異がPHGDHの活性を障害することを見出した。PHGDHの機能低下型変異が生体内でどのような生物学的効果を持つのか検証し、この遺伝子変異が統合失調症発症に寄与する者か検討をお行うため、PHGDH遺伝子変異導入マウスの作成を行っているので、その経過について報告する。