安全で安心な水を安定して供給するためには、日頃の浄水場の運転や水質管理だけではなく、災害や事故等不測の事態に備える必要があります。企業庁では、危機管理対策を重点課題としてハード面・ソフト面にわたり様々な取り組みを実施しています。以下に主な取り組みを紹介します。
地震等により1つの浄水場が送水停止となった場合でも、他の浄水場から水道水を融通送水できるよう、吉川浄水場と馬渕浄水場、吉川浄水場と水口浄水場を連絡管でつないでいます。
浄水場等の施設は、耐震診断結果に基づいて、耐震化計画を策定し耐震化を進めます。
管路については、吉川浄水場管内の西部幹線、馬渕浄水場管内の八幡・安土バイパスを耐震管により整備し、平成28年度からは老朽化した管路の更新を開始しています。
今後も計画的に更新を進め、耐震化を図っていきます。
災害や事故等により停電となった場合でも、送水を継続するため、自家発電設備を整備しています。他に停電対策として、吉川浄水場や馬渕浄水場では、複数系統・複数回線による受電を行っています。
緊急遮断弁は、予め設定された震度以上の地震を感知し、かつ異常流出流量を計測した場合に作動し、水道水の貯留池(調整池)からの流出を防ぎます。これにより、応急給水用の飲料水の確保や、二次災害を防止する役割を果たしています。現在、吉川浄水場系の山脇調整池および馬渕浄水場系の瓶割山調整池に設置しています。
断水時にスムーズに給水車への補給活動が出来るように各受水市町に2か所を目途に応急給水拠点を設定しています。また、管路整備に合わせて応急給水栓の整備を進めています。
浄水施設に対する毒物等によるテロや犯罪行為を未然に防止するため、施設への立ち入り者のチェックを、インターフォンおよびモニタにより行っています。また、不法侵入を防止するため、監視カメラおよび赤外線センサを設置し、集中監視しています。毒物等の投げ込み防止対策として、高尺フェンスを設置するとともに、凝集沈殿池およびろ過池の一部を覆蓋化しています。
各浄水場では、浄水処理工程を水質計器により24時間連続監視しています。
また、原水の水質異常に対応するため、魚類により24時間連続監視しています。
NaIシンチレーションスペクトロメータ
ヨウ化ナトリウム(NaI)検出器を用いて、放射線(γ線)がNaIの結晶に入った時に生じる発光を検出しガンマ線量を測定します。ただし、簡易測定装置であるため、放射性物質濃度の確定検査は滋賀県衛生科学センターに設置されているゲルマニウム半導体検出器により行います。
水道水や原水のモニタリング結果に異常が認められた場合は、厚生労働省による「水道水における放射性物質対策検討会」を踏まえた事務連絡「水道水中の放射性物質の低減方策について」(平成23年6月21日付厚生労働省)に基づき、水道水中の放射性物質(放射性ヨウ素及び放射性セシウム)について、次のとおり低減対策を行います。
災害や事故等の非常事態に備えて、応急復旧用資材を備蓄するとともに、給水車(3立方メートル)1台・車載用給水タンク(2立方メートル)を6基保有しており、阪神淡路や東日本大震災をはじめ、近隣府県、県内市町村での断水事故等の際には応急給水支援活動を行っています。
様々な災害に備え企業庁災害対策要綱、企業庁事故対策要綱をはじめ各種のマニュアルを整備し災害に備えています。また、大規模地震に対して被害を最小限に留めるとともに早期の復旧を図るため、事前の対策および地震発生後に行うべき業務について時系列で取りまとめた滋賀県企業庁事業継続計画(震災編)を策定しています。
各種のマニュアルに基づき、災害等の非常時に的確な行動が出来るよう、災害対策訓練を定期的に実施し、マニュアル等の検証を行い見直しをはかっています。