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紫式部が詠む近江のうた(広報誌滋賀プラスワン 令和6年(2024年)秋号 vol.209)

タイトルロゴ「紫式部が詠む近江のうた」

 現在NHKで放送中の大河ドラマ「光る君へ」で主人公・まひろ(紫式部)は源氏物語を執筆しています。

 紫式部は石山寺(大津市)で源氏物語の着想を得たとされ、作品中には近江の名勝や人々がたくさん登場することで知られています。滋賀県内には紫式部、源氏物語に多くのゆかりがあり、その一部をご紹介します。

 クライマックスに向けて盛り上がるドラマに合わせ、千年以上前に紫式部が見た湖国の風景に思いを馳せながら、皆さんも滋賀を旅してみませんか?
 

紫式部ゆかりの地の場所が示された滋賀県マップ
県ホームページ「紫式部ゆかりの地めぐり」に移動する二次元コード
「紫式部ゆかりの地めぐり」ページはこちら

 琵琶湖の湖上交通は古くより盛んでした。 紫式部は琵琶湖の西岸を船で北上して、 塩津港から塩津海道や深坂峠を越えて越前に向かったとされています。

 その後、紫式部は1年余りで京に戻りますが、 そのときは琵琶湖の東岸を船で進んだといわれています。

1.石山寺 (大津市)

石山寺と桜の写真
写真:(公社)びわこビジターズビューロー

 中宮彰子から新たな物語の執筆を命じられた紫式部は、執筆祈願のため石山寺に7日間こもったとされています。源氏物語に幾度も登場し、紫式部が『源氏物語』の着想を得たとされる場所で、本堂にある「源氏の間」は、物語を起筆した部屋と言われています。

アクセス

大津市石山寺1-1-1

◆京阪電鉄/石山坂本線「石山寺」下車〜徒歩10分

◆JR琵琶湖線「石山」下車〜バス10分「石山寺山門前」下車

◆名神瀬田東IC・瀬田西ICから10分

2.白鬚神社 (高島市)

「三尾の海に網引く民のてまもなく立居につけて都恋しも」
白鬚神社の写真
紫式部がこの地で読んだ歌碑
写真:(公社)びわこビジターズビューロー

 打出浜を出発した紫式部たち一行は、三尾崎で一旦上陸し、一夜を明かしています。三尾は、白鬚神社の付近と考えられており、神社の境内には紫式部がこの地で読んだ歌碑があります。この和歌は、都での暮らしを恋しく思い出して詠んだとされています。

アクセス

高島市鵜川215

◆JR湖西線「近江高島」下車〜徒歩約40分

3.深坂古道 (長浜市)

深坂古道の写真
「知りぬらむ往来にならす塩津山世に経る道はからきものぞと」

 いにしえの人々が往来した近江と北陸を結ぶ重要な交通路で、紫式部も父の藤原為時に同行して通ったと思われる峠道。この和歌は輿を担ぐ人が、山越えの道の険しさを嘆く様子に、世の中の道の厳しさを重ねて詠んだとされる一首です。

アクセス

長浜市西浅井町沓掛

◆JR北陸本線「近江塩津」下車〜バス10分

◆木之本ICから15分

4.伊吹山 (米原市)

「名に高き越の白山ゆき慣れて 伊吹の嶽をなにとこそ見ね」
雪が積もった伊吹山の様子

 伊吹山は標高約1,377mの滋賀県最高峰の山で、古くから霊峰として広く知られます。この和歌は、紫式部が越前から京への帰り道に、湖上から白い伊吹山を見て、越前の白山と対比して詠んだとされています。

アクセス

米原市上野ほか

◆JR東海道本線「近江長岡」下車〜バス15分

◆関ヶ原IC・長浜ICから20分

5.礒﨑神社 (米原市)

磯から眺める夕日に染まった琵琶湖の様子
礒﨑神社
「磯がくれ同じ心に田鶴ぞ鳴く 汝が思ひ出づる人や誰ぞも」

 礒崎神社は日本武尊が葬られたと伝わる磯山にあります。越前からの帰り道、磯のあたりで詠んだとされる一首は、「磯の浜の陰で、私と同じ思いで鶴が鳴いている。一体誰を思い出しているのだろう」という内容です。このとき紫式部は誰を思い出して、この和歌を詠んだのでしょうか。

アクセス

米原市磯2484

◆JR琵琶湖線「米原」下車〜車10分

◆北陸自動車道「米原IC」から15分

6.あやめ浜 (野洲市)

「おいつ島しまもる神やいさむらん 浪もさわがぬわらわべの浦」
あやめ浜

 沖島と比良山系の眺望が広がる白砂青松の地。湖岸道路沿いに紫式部の歌碑が立っています。「沖島を守る神がいさめたのだろうか、わらわべの浦は波も静か」と琵琶湖の穏やかな情景を描写しています。

アクセス

ビワコマイアミランド(マイアミ浜)野洲市吉川3326-1

◆JR琵琶湖線「野洲」下車〜バス30分「あやめ浜」下車

◆名神栗東ICまたは竜王ICから25分湖岸道路沿い

タイトルロゴ「紫式部と平安を感じる滋賀の伝統工芸」
攀桂堂の雲平筆
様々な大きさの巻筆が並んでいる様子

 高島市安曇川町にある攀桂堂では、創業以来400年「巻筆」という平安時代の高級筆の製法を継承しています。巻筆は今でも皇族をはじめ伝統を守る人々に愛用されており、攀桂堂には伝統的な巻筆を求めて、世界各地から多くの人が訪れています。

扇骨
色鮮やかな扇子

 高島市安曇川町では多くの扇子が作られており、扇子の骨の部分「扇骨」の生産は、全国で90%以上のシェアを誇ります。高島市で扇骨が作られるようになったのは、今から約350年ほど前のこと。安曇川の氾濫を防ぐために堤防へ竹が植えられました。その竹が良質だったことから扇骨が作られるようになり、高島市は扇骨の町として全国に知れ渡るようになりました。

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