近江商人の本宅などの美しい町並みが今も残る五個荘。「東近江市近江商人博物館」学芸員・上平千恵さんの案内で、近江商人として活躍した先人の知恵を探りました。
近江を本拠地に他国で行商をした「近江商人」。特に五個荘・近江八幡・日野は多くの豪商を輩出し、数々の有名企業の基礎となりました。
近江商人は、他国のお客にとっては「よそ者」。それゆえに、地域社会全体のことを考え、周囲から信頼を得てこそ商いが永続できたのです。戒めの言葉が並ぶ家訓や質素な暮らしぶりから見えてくる近江商人の「三方よし」の精神は、現代における持続可能な社会への視点に重なります。往時の人々に思いをはせながら、五個荘を歩いてみませんか。
地域社会全体の幸福を考えることで商いの永続を目指した近江商人の知恵は、外国の方からも注目されています。
古代から主要な街道が通る五個荘は中世には商業活動が活発だった。江戸時代に近江商人として全国各地へ販路を拡大する地の利があったといえる。
近江の地場産業の繊維製品を東北へ、帰りは東北の紅花や生糸を上方へといったように、行商先の需要と供給、価格差を巧みに読み取って販路を拡大。
他国での信頼を得るための振る舞いや、暮らしの中の質素倹約を説いた家訓には、現代にも通じる普遍性がある。