高齢化が全国的に進むなか、滋賀県の高齢化率も26.7%(65歳以上:令和4年1月1日現在)に達しています。いくつになっても住み慣れた地域で暮らせるように、県内各地で広がっている「お互いさま」の活動をご紹介します。
東桜谷は65歳以上の高齢化率が日野町の中で最も高い44・9%の地域です。平成29年、町の社会福祉協議会から「地域づくり・まちづくり」モデル事業のお話をいただいたのですが、初めは何をするかなかなか決められなくて、まず地域のみんなで話し合いを重ねました。
県内の先進地の取り組みを見学して大きな刺激を受け、自分たちでできることから始めようと決意。18名のボランティアで約2年の準備期間をかけて「東桜谷おしゃべり会」を立ち上げ、「移動支援」と「食事会」をスタートさせました。
高齢者の移動支援「おたすけカゴヤ」はボランティアの自家用車を使って、町内の病院や買い物などの送迎を片道300円で行います。何よりも安全が最優先、無理をしないことが大切です。広い東桜谷全域のカバーや、町外への送迎をするべきかなど、課題も見えてきました。
食事会「おしゃべり食堂」は地域の人が顔を合わせておしゃべりを楽しむ場として始めました。これからは高齢者の社会参加や認知症予防を意識しながら、いろいろな世代の人にも参加してもらえるよう発信していきたいと考えています。
ちょっとした困り事の対応や、周辺地域での同様の取り組みの立ち上げ支援など、少しずつ活動を広げたいと考えています。
移動支援の活動は定年後の限られた時期にしかできないので、後継者づくりも課題です。誰もがいつかは支えてもらう立場になります。私たちの活動を見て、次の世代にも引き継いでいってほしいと願っています。
医療福祉関係者・住民・行政が、県内の医療福祉・在宅看取りについてそれぞれの立場で考え、実践していく「自覚者の自発的な集まり」として活動しています。
TEL 077-528-3529(滋賀県庁医療福祉推進課内)
団塊の世代が75歳以上となる2025年に備えて、国では『地域包括ケアシステム』の体制づくりが進められています。
その人の住まいを中心とした地域の中で、医療や介護、介護予防・生活支援などが必要に応じて提供され、本人が望む暮らしを住み慣れた地域で最期まで続けられる社会の実現を目指しています。
県では、市町や医師会、社会福祉協議会、介護事業者団体などと連携して、それぞれの地域での『地域包括ケアシステム』実現のための様々な施策を行っています。
また、県内各地では、『困ったときはお互いさま』の気持ちで暮らしを支え合う自主的な活動が広がっており、市町や県ではそうした活動をサポートしています。
高齢者のちょっとした困り事の支援や、介護予防のための『通いの場』づくりなど、身近な地域でできることを、あなたも探してみませんか。
地域で「支えあう」活動は、支える人がやりがいを感じられないと続きません。支えられる人も支える人も喜びを得られる活動は、地域みんなのためになる―滋賀の「三方よし」「お互いさま」の精神は、これからのまちづくりにとても大切なものだと感じています。
住み慣れた地域で最期までその人らしく暮らすことを目指す地域包括ケアシステムでは、医療・介護とともに「地域の力」が不可欠です。自分も何かできないかと思われたら、市町や社会福祉協議会に相談してみてください。小さなことでも結構です。その小さな気づきが、誰もが自分らしく、尊厳を持って暮らせる社会につながります。