新型コロナウイルス感染症は、健康被害だけでなく、感染者、医療従事者やその家族、あるいは集団感染が起こった施設に対する差別や誹謗中傷など、様々な人権侵害を引き起こしています。こうした問題をなくすために大切なことは何か、考えてみましょう。
県では、新型コロナウイルス感染症による差別や誹謗中傷などに対応するため、令和2年9月、県庁内に「新型コロナ人権侵害対応チーム」を設置しました。また、公益財団法人滋賀県人権センターと協力して「新型コロナ人権相談ほっとライン」を開設し、人権侵害を受けた方の相談を受け付けています。その中では、感染による心身のダメージに加え、差別による深刻な二次被害を受けた方も確認されています。
また、現在行われているワクチン接種については、接種は強制ではなく、持病や安全性への不安などから、接種できない人もいます。しかし、そうした人に対しても、差別や誹謗中傷が発生しています。
こうした人権侵害は、どのような事情があっても、けっして許されません。
一方で、コロナ禍によって社会全体が疲弊する状況にあっても、誰かの支えになりたいという思いで活動している人がいます。最前線でコロナと闘う医療従事者への支援や、人権侵害防止の呼びかけ、感染者や施設の応援など、心温まる活動が広がっています。
長引くコロナ禍で、誰もが心身に大きなストレスを受ける状況が続いています。こうした状況では、自分では意識していなくとも、結果的に他の誰かを責めるような行動をしてしまうことがあるかもしれません。
しかし、こうした状況だからこそ、他の誰かを思う気持ちが何よりも大切です。私たち一人ひとりが、「誰かのために」という気持ちを持って行動することが、今まさに求められているのではないでしょうか。
人権侵害対応チーム ※対応チーム設置前に県(人権施策推進課)に相談があった件数を含む | 新型コロナ人権相談ほっとライン ※ほっとライン設置前に(公財)滋賀県人権センターに相談があった件数を含む | 合計 |
---|---|---|
14件 | 30件 | 44件 |
INTERVIEW
コロナ禍でも「誰かのために」との思いで独自の取り組みをされている、長浜市のカネ上株式会社にお話をうかがいました。
弊社では、学校給食などの業務用かまぼこを製造販売しています。昨春、新型コロナの影響で長期休校になった子どもたちを元気づけるため、かまぼこ業者として何かできることはないかと考え、まず疫病を鎮める妖怪「アマビエ」をかたどったオリジナルのかまぼこを作製。長浜市内のすべての小・中学校、私立の保育園、また県立養護学校の給食用に無償提供しました。
新型コロナの感染拡大中にたまたま目にした、コロナによる差別や偏見の防止を呼びかける愛媛発の「シトラスリボンプロジェクト」。感染から回復した人が地域や家庭、学校・職場などに安心して戻れるようにとの理念に共感し、今度はシトラスリボンをデザインしたかまぼこを作製。子どもたちへのメッセージを添えて、昨年10月と今年5月に長浜や米原の小学校などに無償で配りました。
コロナ禍でも、誰もが「おかえり」「ただいま」と言い合える社会にしたい。コロナ差別以外の様々な問題も、ほんの少し違う視点から考えてみることで、困難を乗り越えていくことができるのではないか。「和」という社是の下、これからも自分たちにできることを考え続けていきたいと思います。
カネ上株式会社
〒526-0033
滋賀県長浜市平方町720-15
TEL. 0749-62-0908
FAX. 0749-63-8231
http://www.kanejo-kk.co.jp/
新型コロナに関する人権侵害の防止について学ぶための研修資料です。子ども版の分かりやすい資料もあります。地域や職場、ご家庭などでご活用ください。
新型コロナウイルス感染症により人権侵害を受けた方専用の相談窓口です。ひとりでかかえないでお電話ください(無料)。
TEL.077-523-7700(電話・FAX)
受付日時
月・火・水・金(祝日・年末年始等を除く)10〜12時、13~16時
相談機関
公益財団法人滋賀県人権センター
※インターネットでも相談を受け付けています。
※弁護士相談も毎月第3木曜日に行っています(予約必要)。