文字サイズ

ふれあいプラスワン

同和問題強調月間特集

100年前の人々が願ったこと ~全国水平社宣言に込められた思い~ (広報誌滋賀プラスワン 令和3年(2021年)9・10月号 vol.193)

「人の世に熱あれ、人間に光あれ」 ー 皆さんはこの言葉を聞いたことがありますか? 中学校の教科書にも載っているこの言葉は、今から約100年前の大正11年(1922年)に発表された「全国水平社宣言(水平社宣言)」の最後の一節です。この言葉に込められた当時の人々の思いや願いから、今を生きる私たちは何を知り、何を学ぶことができるのでしょうか。

水平社宣言って?

大正11年3月3日、被差別部落の人々の解放を目指して設立された「全国水平社」の創立大会で読み上げられた宣言文が「水平社宣言」です。

宣言の原文は被差別部落出身の一人の若者が考えたもので、長い歴史の中で不当な差別を受けてきた人々の痛切な思いが綴られているだけでなく、すべての人があらゆる差別を受けることなく、人間らしく暮らしていける社会の実現を願う気持ちが込められています。

部落差別の現状

被差別部落に対する差別意識は、基本的人権の尊重を掲げた日本国憲法の施行後も解消されず、劣悪な生活環境も継続していました。

その後、行政による取り組みの結果、住宅や道路などの物的な生活環境は大きく改善されましたが、差別意識は未だに解消されていません。

こうした実態は、平成28年の『人権に関する県民意識調査』(右図参照)の結果にも表れています。

また、誰でも自由に情報を発信できるインターネット上では、今もなお様々な形で部落差別の書き込みなどが行われており、それが平成28年の「部落差別解消推進法」制定のきっかけともなっています。

住宅を選ぶ際の意識

平成28年度人権に関する県民意識調査

あなたは、家を購入したりマンションを借りたりするなど、住宅を選ぶ際に、価格や立地条件などが希望にあっていても、近隣に同和地区がある場合、避けると思いますか?
(1) 避けると思う 13.8%
(2) どちらかといえば避けると思う 32.8%
(3) どちらかといえば避けないと思う 32.2%
(4) 避けないと思う 18.8%
(5) 無回答 2.4%

水平社宣言(一部要約)

「全国に散在する部落の人々よ、団結せよ。ここにわれわれが人間を尊敬することによって、自らを解放しようとする運動を起こしたのは当然である。われわれは、心から人生の熱と光を求めるものである。水平社はこうして生まれた。人の世に熱あれ、人間に光あれ。」

部落差別(同和問題)とは?

滋賀県人権啓発キャラクター ジンケンダー

部落差別(同和問題)とは、被差別部落・同和地区などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活の上で様々な差別を受けるという日本固有の人権問題です。

今、必要なこと

水平社宣言から約100年後の今は、宣言が目指したあらゆる差別を許さず、誰もが一人の人間として尊重される社会になっているでしょうか?

以前は見過ごされていた、様々なハラスメントが人権問題として認識されるようになったことを考えると、社会のあらゆる場面で人権尊重の意識が高まっていることは確かです。

その一方、インターネットやSNS上での誹謗中傷、ヘイトスピーチ、性のあり方についての差別や偏見、新型コロナに関する人権侵害など、新たな人権問題が発生しています。こうした状況を考えると、部落差別に限らず、ある日突然、差別の被害者となる可能性は、誰にとってもあるといえます。

今は100年前とは違い、多くの人が自由に意見を交わせる時代です。こうした時代だからこそ、水平社宣言に込められた当時の人々の願いに思いをはせ、全ての人の人権が尊重される豊かな社会をつくっていくことが必要なのではないでしょうか。

「部落差別解消推進法」を知っていますか?

この法律は、今もなお部落差別が存在し、部落差別は許されないものであるという認識のもと、部落差別のない社会を実現することを目的として、平成28年12月に施行されました。

啓発冊子のご案内

県では、同和問題についての啓発冊子「こころのいずみへ」を作成しています。インターネットでご覧いただけるほか、希望の方にはお送りしますので、下記までお問い合わせください。

人権に関する県民意識調査 ~ご協力のお願い~

県では、県民の皆さんの人権についての考えをお聞かせいただき、今後の参考とするために、5年に1度「人権に関する県民意識調査」を実施しています。

県内在住の18歳以上の方3,000名を無作為に選び、郵送またはインターネットにより回答いただきます。調査は9~10月に実施しますので、お手元に調査票が届いた方は、回答にご協力をお願いします。

9月は同和問題啓発強調月間です。

県および市町では、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」と定め、様々な啓発活動に取り組んでいます。皆さんもこの機会に同和問題についての理解を深め、差別の解消に向けて、できることから始めてみませんか。

じんけんミニフェスタ

身近なところから人権について考えていただくためのイベント「じんけんミニフェスタ」を開催します。子どもから大人まで楽しんでいただけるイベントですので、お気軽にお越しください。(感染症対策に十分配慮して開催いたします。発熱などの体調不良がある場合は、来場をご遠慮ください。)

場所
(1) ブランチ大津京(大津市二本松1-1)
(2) びわこ文化公園(大津市瀬田南大萱町1740-1)

日時
(1) 令和3年9月25日(土)11:00~(荒天中止)
(2) 日時未定

内容
ステージイベント、人権啓発ブースの設置 など

※新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、変更をする場合があります。

お問合せ
県庁人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:[email protected]