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NEXT STAGEへ! 「幻の安土城」復元プロジェクト (広報誌滋賀プラスワン 令和3年(2021年)1・2月号 vol.189)

歴史文化遺産の魅力発信

安土城築城450年に向けてプロジェクト進行中!

織田信長が琵琶湖岸に築き、戦国時代のロマンを秘めた城郭として全国の人々に広く知られている安土城。抜群の知名度を誇る一方で、その実像はいまも謎に包まれています。

滋賀県は、安土城築城450年を迎える令和8年(2026)に向け、城の実像を明らかにして、往時の姿をイメージしやすく提示するべく、平成31年度(2019)から「幻の安土城」復元プロジェクトに取り組んでいます。みなさんも現地を訪ねて、「幻の安土城」に思いをはせてみませんか?

大手道

大手道の復元イメージ ©滋賀県立安土城考古博物館

最先端のデジタル技術を活用して、当時の安土城の姿や過去の調査の様子をタブレットやスマートフォン、VR・MRなどにより復元します!

マニアだけではなく、子どもやファミリーで楽しめるような「見える化」を目指します。

赤色立体地図から見えてくる城の実像

上空からレーザーを照射して計測した赤色立体地図。樹木に覆われた地上の形がはっきり浮かびあがり、今までわからなかった人工的に地面を削った城郭の跡が見つかった。

実態の解明に向けた 「令和の大調査!」

天主跡
未調査のまま眠る天主北側

昭和・平成の調査で、特別史跡指定地の約20%を調査しましたが、残りの80%は、まだ未調査のままです。特に、天主が倒壊したと思われる北側部分も未調査であることから、調査を進めることで、新たな遺構や遺物の発見が期待されます!

発掘調査がかたる安土城の真実

平成に行った大規模な発掘調査によって、安土城の「特殊性」が浮かび上がってきました。例えば、大手門跡から真っすぐにのびる幅の広い大手道は、戦を想定した造りではありません。天下人の居城として、天皇を迎えることを念頭において築城したと考えられるのです。天主は最上階が金箔貼り、その下の層は朱色に塗られ、約30メートルの高さで丘の上にそびえ立ち、信長は天主に居住していました。天主に住んだ武将は、前にも後にも信長ただ一人です。

調べれば調べるほど、他の城から類推することができない城であることがわかってくる安土城。その時点で明らかになったことを、みなさんにわかりやすく見てもらえる方法を現在、検討しています。

滋賀県 文化財保護課
主幹兼安土城・城郭調査係長

松下 浩さん

スケジュールと取り組み

令和3~7年

実像の解明と現地の保全
遺構の発見 など

復元に向けての機運醸成
イベントの開催・情報発信

見える化
安土城調査整備、デジタル(VR・MR)、幻の屏風の情報を求めて

令和8年

安土城築城450年祭

安土城の魅力を未来に継承し、世界に発信!!

歴史文化遺産 幻の安土城

天下統一の夢をかけて築かれた城郭

安土城は、織田信長が天下統一の拠点として、天正4年(1576)から3年の歳月をかけ、当時の技術の粋を集めて築いた居城でした。しかし、完成から3年後の「本能寺の変」で信長は殺され、天主は焼失してしまい、天正13年に廃城。築城からわずか10年足らずのことでした。

日本史上で初めて高層の天主を構え、小高い丘全体を高石垣で囲んだ石の要塞だった安土城。その豪壮華麗な姿が、遠くヨーロッパまで伝わっているものの、どのような建物だったのかは今も謎に包まれています。城跡の堅牢な石垣や石段から、ありし日の城郭を想像してみましょう。

安土城の面影を探してみよう

大手道

麓から幅8メートルの豪壮な石段が続く大手道。城の規模の大きさがうかがえます。

天主・本丸跡

建物の礎石と、周辺にめぐらされた石垣が残っています。石垣や礎石には火を受けた跡が残っており、炎上の激しさを実感できます。

安土城跡出土金箔瓦

安土城の主郭部から出土した瓦は、凹部分に金箔が貼られたものが多数あり、城の中心的な建物が金箔瓦で飾られていたと考えられます(滋賀県立安土城考古博物館で展示)。

安土城の主な出来事

  • 1576築城が始まる

戦国の浪漫

琵琶湖を取り囲む 信長の四つの城

信長は安土城(近江八幡市)の築城に先立って、明智光秀に坂本城(大津市)、羽柴秀吉に長浜城(長浜市)を築かせています。

その後、大溝城(高島市)を加えて琵琶湖岸の四隅に城を構え、都に通じる交通の要衝・琵琶湖をおさえたのです。

信長が眺めた風景を追体験する

安土城の天主跡の石垣の上に立って、琵琶湖を眺めてみましょう。

線路沿いの住宅地は、かつて城下町があったところ。琵琶湖の内湖だった湿地が、今は田畑に。田畑を水面に置き換えて想像すれば、信長が見ていたのとほぼ同じ風景!

お問合せ
県庁文化財保護課
電話番号:077-528-4678
FAX番号:077-528-4956
メールアドレス:[email protected]

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