節目となる今年、琵琶湖の豊かな恵みを未来に引き継いでいくために、 私たちに何ができるか一緒に考えてみましょう。
今から30年ほど前、琵琶湖では大規模な赤潮が発生するなど水質悪化が問題になりました。赤潮の原因の一つは、当時の合成洗剤に含まれていた「リン」という物質でした。赤潮発生を機に県民が主体となって合成洗剤の代わりに粉石けんを使う取り組み(「石けん運動」)を始めました。
石けん運動が県全体で高まりを見せる中、滋賀県もリンを含む家庭用の合成洗剤の使用の禁止や、工場排水に含まれるリンの規制などを定めた「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)を1980年7月1日に施行しました。そして、翌年、同条例の施行1周年を記念し7月1日を「びわ湖の日」に定めました。
「びわ湖の日」ができて今年で30年、湖岸一斉清掃など琵琶湖の環境を守る取り組みが県内で毎年続けられています。
※赤潮…水中のプランクトンが大量に増えることにより、海や湖沼が赤褐色に変わる現象。琵琶湖で発生するのは淡水赤潮。プランクトンのえさとなる窒素やリンの増加(富栄養化)が赤潮の主な原因といわれ、赤潮が発生すると、魚介類などが死んだり、飲み水に異臭が生じるなど生活にさまざまな影響を与えます。
赤潮が発生したあの日、家中に湖からの悪臭がこもり蛇口をひねったら茶褐色の水が流れてきました。それまで赤潮は海で発生するものだと思っていたので、「まさか琵琶湖で」と、言葉を失うくらい驚きました。
琵琶湖で赤潮が起きる数年前から、私は地元の婦人会を通して、合成洗剤が健康に及ぼす影響を訴え、石けんの使用を勧める運動に取り組んでいました。合成洗剤に含まれるリンが赤潮の一因と報道された後は、他の構成団体などと共に「びわ湖会議(旧:「びわ湖を守る水環境保全県民運動」県連絡会議)が結成され、琵琶湖の水を守るために石けんを使う「石けん運動」を県民へ呼びかけました。
当時は、毎晩のように町内の集会所などで合成洗剤より石けんの方が洗浄力、環境への安全性で上回っていることを説明して回りました。毎回主婦の方を中心にたくさんの方が会場に詰めかけ、まさに「打てば響く」で石けん運動が県全体に浸透し、ついには琵琶湖条例の施行へとつながりました。滋賀県が環境県として一歩を踏み出す一助になれたことは今も誇りに思います。
琵琶湖条例ができて30年余、現在は県内人口も急増し、また、新たな環境問題への対応も求められ、石けんさえ使えばいいという時代ではありません。例えば、洗剤の使用量を減らし家庭廃水をできるだけ少なくするなど、一人ひとりが日々の暮らしを見つめ直し、琵琶湖のために行動することが必要じゃないでしょうか。琵琶湖を大切にする精神をこれからも若い世代に引き継いでもらい、きれいな水を守り続けてほしいですね。
「びわ湖の日」30周年の節目となる今年、滋賀県では琵琶湖の価値や「びわ湖の日」の意義をより多くの県民のみなさんに考えていただくきっかけとするため、これまでも取り組んできた「琵琶湖をきれいにする」活動に加え、「豊かな琵琶湖を取り戻す」「琵琶湖にもっと関わる」という3つの視点で活動を進めていきます。
琵琶湖の環境を守る取り組みは、湖岸清掃やヨシ刈りなど琵琶湖で行うものだけではありません。普段の暮らしの中でもできることがたくさんあります。ここでは琵琶湖の環境保全につながる日常生活のヒントを紹介。
今日からさっそく始めてみましょう。
琵琶湖への関わり方は人によって様々ですが、滋賀県が環境教育の一環として行っている「びわ湖フローティングスクール」もその一つです。毎年4月~翌年2月の間、県内の小学5年生を対象に実施。学習船「うみのこ」に乗り、一泊二日で琵琶湖にいる生き物や水質の調査などを行います。
1983年から始まったこの事業には、これまで約45万人の子どもたちが参加し、環境を守る心を育んできました。
日時:2011年7月10日(日曜日) 13時15分~16時40分 参加無料
滋賀県では琵琶湖の自然環境と滋賀の文化的資産を未来に引き継ぐため、「マザーレイク滋賀応援寄附条例」を制定し、個人、団体から広く寄附金を募っています。お寄せいただいた寄附金は、琵琶湖の環境保全をはじめ子どもたちの体験学習である「びわ湖フローティングスクール」やワタカの放流などさまざまな事業に活用されています。 みなさんの応援の寄附をお待ちしています。
□お問い合わせ
県庁企画調整課
電話:077-528-3310 FAX:077-528-4830
HP:http://www.pref.shiga.lg.jp/a/kikaku/