令和7年7月中旬、長浜市のウメ園において、クビアカツヤカミキリと疑われる成虫の発生が認められました(写真1)。滋賀県病害虫防除所において、形態的特徴から同定したところ、県内では未確認のクビアカツヤカミキリAromia bungiiであることが判明したことから、7月17日付けで令和7年度病害虫発生予察特殊報2)第1号を発表しました。
本虫の発生は平成24年に愛知県で初めて確認され、令和7年7月現在、本県を含めて16都府県で果樹や街路樹で確認されています。
本虫はカミキリムシの仲間で、成虫は6月~8月頃に見られます。成虫の体長は2.5 cm~4cmで、体全体は黒く光沢があり、前胸背板(頭部の下部)は赤色です。
本虫は主にサクラ、ウメ、モモなどバラ科植物に寄生します。成虫は樹皮の隙間に産卵し、産卵数は非常に多いです。幼虫期は基本的に2年間で、木の内部を摂食することで樹木の衰弱や枯死を引き起こします。この時、ひも状につながったフラス(幼虫の糞と木くずが混ざったもの)を樹木の株本に大量に排出します。
県では、農業者に対して、(1)成虫は、見つけしだいその場で捕殺すること、(2)幼虫はフラスを排出口からかき出し、長い針金などを差し込んで刺殺すること、(3)樹内から発生する成虫の拡散を防ぐために、目合い4mm以下のネットなどを地際から高さ2m程度の高さまで樹幹に巻き付けること、(4)成虫の発生時期である6月~8月頃に化学合成殺虫剤を樹幹部に散布し、幼虫に対しては、フラスを排出口からかき出し、食入孔にスプレー剤を注入することを呼びかけています。
※本情報は、令和7年7月17日、自然環境保全課、みらいの農業振興課より提供の「特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の県内初確認について」の内容に関連する情報です。
(参考)
1)特定外来生物:農林水産業に被害を及ぼすおそれがある等として指定された海外起源の外来生物。生きたまま持ち運ぶことは禁止されている。
2)特殊報:県内に今まで発生が確認されていなかった病害虫を発見した場合や、病害虫が今までとは違う特異的な発生をする現象が認められた場合に発表しています。