安土城は、織田信長が天下人の拠点として琵琶湖岸に築いた大城郭です。しかし、築城から10年で廃城となり、現在では建物は失われ、石垣と石段が残るだけで、その姿は謎に包まれています。
その後、安土城跡は重要な遺跡として大正15年には史蹟に、昭和27年には特別史跡に指定されました。また、安土城跡の実像解明を目指して、発掘調査や城跡の整備事業が実施されています。
安土城跡の最初の発掘調査は昭和15年・16年に天主・本丸跡で実施しました。続いて昭和35年から50年にかけて、主郭部の石垣修理とともに発掘調査も行っています。そして平成元年から始まる特別史跡安土城跡調査整備事業では、20年計画で発掘調査と環境整備を行い、直線の大手道や大手口周辺の複数の虎口など、これまで知られていなかった安土城の構造を明らかにしました。そして令和5年から令和の大調査をスタートさせ、新たな調査整備20年計画に取り組んでいます。
今回のセミナーでは、安土城跡で実施した発掘調査成果を振り返るとともに、令和の大調査についての期待や、安土城跡のこれからをテーマにパネルディスカッションを行い、特別史跡安土城跡調査整備の歴史と将来の展望について考えます。