滋賀県立総合病院では1月より最新の心房細動のカテーテルアブレーション方法である 「パルスフィールドアブレーション(PFA)」を滋賀県で初めて導入いたしました。
従来のカテーテルアブレーションは、高周波や冷凍凝固を用いて、“熱”を介して心筋をアブ レーション(焼灼)する方法ですが、新たに導入した「パルスフィールドアブレーション(PFA)」 は、パルス電圧を用いてアブレーションするもので、心房細動の原因となる心臓の筋肉だけをアブレーションすることができます。
そのため、従来の治療に比べて、組織の炎症が軽減され、心臓周囲の臓器への影響が非常に少ないことが特徴であり、より安全な心房細動アブレーションが可能となることが期待されています。
心房細動の原因として最も重要なのは肺静脈であり、従来から行われている高周波やクライオバルーンアブレーションは太ももの付け根の静脈(大腿静脈)からカテーテルを左心房に導入して、肺静脈出口の周囲で、高周波ではカテーテルに電流を流すことで、クライオバルーンでは肺静脈を閉塞して冷却させることで、肺静脈の出口に電気の壁をつくり、肺静脈の電気が左心房に伝わらない様にする治療を行います(肺静脈隔離)。
PFAでも同様に肺静脈出口部にPFAカテーテルを挿入して、そこでパルスを加えることで、心筋組織を選択的に治療する方法です。
1回のパルスを加える時間は数秒程度であり、通常8回のパルスによって1本の肺静脈隔離が完成するため、極めて短時間での肺静脈隔離が可能になります。現時点ではPFAの適応は肺静脈隔離のみであり、肺静脈以外にも心房細動の原因が考えられる場合には、高周波アブレーションによって治療する必要があります。
当院では、今年1月より、高周波、クライオバルーンに加えて、PFAを用いたアブレーションも実施可能になりました。
アブレーションで心房細動を本当に治すことができるのか、アブレーションをするならば、どの治療が良いのか、をしっかりと説明した上で、患者さん一人一人に最適な治療法を提案させていただきます。