イエズス会の宣教師アレッサンドロ・ヴァリニャーノは、1579年に来日して以来、2度安土を訪れ、織田信長と出会っています。2度目に会った時、信長は安土城と城下町を描かせた「安土山図屏風」をヴァリニャーノに贈りました。
「安土山図屏風」はヴァリニャーノが発案した天正遣欧使節によって、ローマ教皇グレゴリオ13世に献上され、教皇はこの屏風を宮殿内の「地図の廊下」に飾りました。しかしその後屏風は行方知れずとなり、現在もその所在はわからないままです。安土城の姿を描いた唯一の絵画資料である屏風の所在を求めて、これまでも調査が行われましたが、いまだ有力な手掛かりは得られていません。令和元年度にスタートした「幻の安土城」復元プロジェクトの中でも、屏風探索事業に着手し、屏風に関する情報収集を行うとともに、屏風の贈り先であるバチカン市国とも交流の機会を持ちました。
さて、4月から始まる大阪・関西万博には世界各国がパビリオンを建設し、バチカン市国も参加します。この機会に、滋賀県とバチカン・ローマカトリックとの交流の歴史を振り返り、今後のさらなる交流を目指します。万博の理念である国際交流と、16世紀に日本と西洋とが初めて出会った時に、滋賀・安土を舞台として親密な交流が持たれたことを確認し、今後の交流を深めていくため、このセミナーを開催します。