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~所在不明古文書の再発見~ 明智光秀の寄進状が、ゆかりの寺にあった!

近江の名刹・聖衆来迎寺(大津市比叡辻二丁目4-17)から、このたび「明智光秀寄進状」が発見されました。滋賀県立琵琶湖文化館が調査鑑定したところ、天正5年(1577)に坂本城主であった明智光秀が聖衆来迎寺に発給した古文書の貴重な原本であることが判明。45年ほど前から所在不明となっていた重要史料の再発見として注目されます。令和7年(2025年)1月7日~2月4日に安土城考古博物館での速報展示を予定しています。

再発見された「明智光秀寄進状」の概要

  • 今回再発見された明智光秀寄進状は、天正5年(1577)に坂本城主であった明智光秀が来迎寺(聖衆来迎寺の略称)にあてて発給したもので、「仏供料」(仏を供養するための料米)として78石9斗2合の米を寄進することを伝えた内容。
  • 戦前期に東京大学史料編纂所によって調査され、明智光秀と地域寺院との関係を知ることができる重要史料として知られてきたが、原本の所在は不明となっていた。
  • 令和6年10月3日、琵琶湖文化館の井上副館長が聖衆来迎寺住職から発見の連絡を受けて同10月5日に現地に赴き実見した。寺と協議のうえ一時的に琵琶湖文化館に預かり、燻蒸や調査を実施してきた。東京大学史料編纂所の影写本や他の明智光秀文書などと比較したところ天正5年(1577)に発給された古文書の原本であることが確認できた。
  • 原本が出てきたことで、古文書の物質的な特徴が明らかとなり、「折紙(おりがみ)」と呼ばれる態様であったこと、「檀紙(だんし)」と呼ばれる上質の和紙に書かれていることなどが明らかとなった。
  • 古文書は古い時代に虫損を被っていたようだが、二重の包紙(ほうし)に包まれて厳重に保護されていた。包紙の上書きには聖衆来迎寺第32世住職であった山中忍海大僧正(1888~1979)の筆跡で「明智光秀寄進状」と書かれており、忍海大僧正がこれ以上の損傷が進まないよう、保存の目的で包紙に包み手許で大事に管理していたものと推測される。
  • 聖衆来迎寺には、光秀が坂本城から移築したといわれる重要文化財の表門があり、天正8年(1580)に光秀が寄進した旨を追刻した梵鐘も所蔵されるなど「明智光秀ゆかりの寺」として著名である。今回、光秀との関係を直接示す一次史料が再発見されたことで、改めて坂本城主としての明智光秀が地域寺院に信仰を寄せていた歴史に光が当たるものと考えられる。

古文書の写真と内容(釈文と意味)

明智光秀寄進状(聖衆来迎寺蔵) 1通

【法量】30.6×44.6cm

明智光秀寄進状
【釈文】
当寺仏供料
七拾八石九斗弐合
令寄進者也 仍
如件
天正五 明智
九月廿七日 光秀(花押)
来迎寺

【意味】
当寺の仏供料(仏を供養するための料米)として、78石9斗2合の米を寄進させるものである。以上、前記記載の通りである。
天正5年(1577)9月27日明智光秀から、来迎寺(聖衆来迎寺の略称)へ

古文書の速報展示にかかる予定

「速報!! 再発見 明智光秀の寄進状!」

【会場】
滋賀県立安土城考古博物館(近江八幡市安土町下豊浦6678)
望楼下展示コーナー

【会期】
令和7年1月7日(火)~2月4日(火)
*休館日:月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は翌日)

【入館料】
大人500円(400円)、大学生320円(260円)
*()内は20人以上の団体

【連絡先】
電話:0748-46-2424、FAX:0748-46-6140
e-mail:[email protected]
URL: www.azuchi-museum.or.jp

お問い合わせ
文化スポーツ部 文化財保護課 美術工芸・民俗係
電話番号:077-528-4672
FAX番号:077-528-4833
メールアドレス:[email protected]