2023年度の第2回フィールドレポーター調査で実施した調査により、30年前に実施された同様の調査と比べ、ナレズシの作られ方、食べられ方、知名度などがどのように変化したか、その調査結果が公表されました。
・ナレズシに関して、県民にアンケート調査を実施した
・有効回答のうち、滋賀県在住である2,128件について、ナレズシの知名度、食習慣、好き嫌い、入手方法などをまとめた
・1993年に実施された調査との比較を実施した
・結果をまとめたポスターをびわ博フェスで展示する
2023年に国の登録無形民俗文化財に登録された「近江のなれずし製造技術」について、県内外で、どのくらいの方々がナレズシを食べたり、作ったりしているのかに関する調査結果の一部が公表されました。
魚を塩と米などのデンプンで乳酸発酵させた食品をナレズシといいます。その代表としてフナズシがありますが、このナレズシに関しては、およそ30年前の滋賀県職員有志による「環境と食の研究会」の調査(1992年)以降、製造実態、消費実態の調査は行われてきませんでした。
そこで、琵琶湖博物館のフィールドレポーターがアンケート調査を行い、滋賀県職員や龍谷大学農学部学生のご協力も得て、2,893件の回答を得ることができました。そのうち、滋賀県在住者による2,128件の回答の分析結果がまとまり、『フィールドレポーターだより』58号として公表されました。『フィールドレポーターだより』は、琵琶湖博物館のwebサイトからダウンロードできます。なお、県外在住者の分析結果は次号で紹介する予定です。
<調査結果の要点>
・滋賀県在住者の約75%がフナズシを食べた経験がありました。
*1992年の調査では約85%でした。
*なお、龍谷大学農学部の学生の喫食率は約28%でした。
それを除くと、喫食率は約86%となり、1992年の調査と変化はありませんでした。
・フナズシを家で漬ける方は、フナズシを食べたことのある方の約13%でした。
*1992年の調査では約15%でしたので、それほど差がありませんでした。
・10年前と比べて食べる機会が減った方が約34%もいましたが、増えた・最近食べるようになった方も約21%いました。
*1992年の調査では減った方が約52%、増えた方が約7%でした。
*最近自分で作るようになった方が72人もいました。
・フナズシ以外のナレズシが40種類以上も検出されました。
*主には、サバズシ、ハスズシ、アユズシ、ウグイズシ、ニシンズシ、オイカワズシなどですが、ブルーギルやブラックバスのナレズシもみられました。
本成果をまとめたポスターをびわ博フェス(11月16日、17日)で展示します。
https://www.biwahaku.jp/festival/2024.html
参考
<フィールドレポーターだより58号掲載場所>