繊維産業における環境負荷を低減する技術として、水を使わずに染色をする「超臨界流体染色」が注目されています。このたび、東北部工業技術センターおよび(株)フジックスは、経済産業省の成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)として、福井大学の技術協力のもと、超臨界流体染色を実用化すべく取組みを進め、困難とされてきた糸染めの技術を実用レベルで確立し、陸上競技用ユニフォームの染色を実現しました。
従来からの水を使用した染色では、水に染料を溶かし、繊維に浸透させることで染色します。このため、大量の水および染色後乾燥に要するエネルギーが必要となります。本事業で取組んだ超臨界流体染色では、水の代わりに二酸化炭素を使用します。圧力容器のなかで二酸化炭素を高温・高圧(「超臨界流体」といいます)にして染料を溶解し、この流体を繊維に通過させて染色します。圧力を解放すると乾いた状態で生地が取り出せるため、乾燥工程が省略できエネルギーの削減につながります。
当センターでは、環境負荷を低減する技術として、今回の染色をはじめとして、超臨界流体の利用について研究を進めてきました。今後も、超臨界流体の利用に関する研究を進め、環境にやさしいものづくりに貢献していきます。