令和6年6月、滋賀県南部の施設メロンほ場において、葉の葉脈間の黄化や白化症状を示す株が認められました(写真1~4)。滋賀県病害虫防除所および神戸植物防疫所において、遺伝子解析を行ったところ、県内では未発生のウイルス(Cucurbit aphid-borne yellows virus :CABYV)が感染していることが明らかとなりました。このことから、9月30日付けで令和6年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表しました。
本ウイルスは1988年にフランスにおいて、メロンやキュウリ等で初めての発生が確認され、それ以降、海外40か国以上で主にウリ科野菜に被害を及ぼしています。国内では、令和6年2月に京都府でキュウリにおける国内初の特殊報が発表されています。一方で、メロンにおける国内での発生報告はなく、現在のところ、病名もありません。
葉脈が緑色のまま葉全体もしくは一部に黄化や白化症状を示します(写真1~4)。症状が進むと、株全体の葉が黄化しますが、新葉や脇芽等の若い葉には症状が見られないか、時間が経ってから黄化します(写真2)。海外の事例では感染すると、落花が多くなり、1株当たりの果実数が減少することで、メロンでは40%、キュウリでは51%減収する事例が報告されています。
本ウイルスは海外ではアブラムシ類が媒介すると報告されています。また、当所の症状再現試験でもワタアブラムシの接種により症状が再現されました。なお、経卵伝染、汁液伝染、種子伝染および土壌伝染はしないと報告されています。
写真を使用される場合、「滋賀県病害虫防除所提供」と記載をお願いします。
予防的な対策として、ウイルスを媒介するアブラムシ類の防除の徹底が重要となります。県では、農業者に対して、1.防虫ネット(目合い0.8mm以下)を活用しアブラムシ類の侵入を抑制すること、2.アブラムシ類を見つけた場合は薬剤防除すること、3.発病株は直ちに抜き取り、適切に処分すること等を呼びかけています。なお、CABYVに対する農薬はなく、アブラムシ類に登録のある薬剤を散布します。
(参考)
1)特殊報:県内に今まで発生が確認されていなかった病害虫を発見した場合や、病害虫が今までとは違う特異的な発生をする現象が認められた場合に発表しています。