ブナ・ミズナラ・コナラ等の堅果類はツキノワグマの秋季の重要な栄養源となるため、奥山において堅果類を含む果実が不足すると、クマが人里にまで餌を求めて出没することがあります。
このクマの特性を踏まえて、今年度秋期のツキノワグマの出没の可能性の予測を行うため、ツキノワグマが恒常的に生息している湖北地域および湖西地域の山地において堅果類の結実調査を行いましたので、その結果をお知らせします。
○ブナは県全体では凶作でした。【調査地点:4地点、調査木本数40本】
(湖北地域:凶作、湖西地域:凶作)
○ミズナラは県全体では不作でした。【調査地点:8地点、調査木本数80本】
(湖北地域:並作、湖西地域:凶作)
○コナラは県全体では並作でした。【調査地点:19地点、調査木本数190本】
(湖北地域:豊作、湖西地域:不作)
令和6年度の堅果類の実なりは、湖北地域で昨年より多く、湖西地域で昨年より少ない結果となりました。
湖北地域において比較的低標高域に分布するコナラの実成りが良い状況が確認されましたので、クマが低標高域を利用する可能性が考えられます。
湖西地域では全体的に資源量が少ないため、集落近くへの出没が多くなることが懸念されます。
一般的に、秋季は冬眠前のクマが餌を求めて行動範囲が広くなると言われていますので、十分に警戒をお願いします。
クマの餌になるような生ゴミや農産物の収穫残渣、柿や栗などの不要果樹等を野外に放置しないようにし、収穫の予定のない柿や栗の実は撤去してください。また、クマは人里近くに出てくる場合、夜間から早朝にかけて行動することが多いので、早朝や夕方などには単独での行動を避け、クマに自分の存在を知らせるため、ラジオ、笛、鈴などで音を出して行動するなど、クマに遭遇しないよう十分注意してください。
また道端や人家周辺のやぶや暗い林を刈り開き、見通しをよくすることは、不意の遭遇を避けるうえで効果があると考えられています。上記のような対策を地域ぐるみで進めることにより、クマによる被害の予防に努めましょう。
○過去の豊凶調査とツキノワグマの出没件数
※豊凶の評価基準:「豊作>並作>不作>凶作」
※令和6年度の出没件数は8月31日時点の状況