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竜王町の建築大工 巻本幸光さん、 野洲市の和生菓子製造工 苗井滿輝さん、 栗東市の日本料理調理人 増田廣行さん、 滋賀大学のデータサイエンティスト 河本薫さんが現代の名工に選ばれました。

令和3年度の卓越した技能者(通称「現代の名工」)として、滋賀県からは、巻本幸光さん(建築大工)、苗井滿輝さん(和生菓子製造工)、増田廣行さん(日本料理調理人)、河本薫さん(データサイエンティスト)の4名が厚生労働大臣から表彰されることになりました。

1 表彰の概要

卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に技能尊重の気運を浸透させ、もって技能者の地位および技能水準の向上を図るとともに、青少年がその適性に応じ、誇りと希望を持って技能労働者となり、その職業に精進する気運を高めることを目的としている。昭和42年度に第1回の表彰が行われて以来、今回で55回目、通算6,796名が表彰されている。平成8年度以降、毎年1回、概ね150名が受賞。

2 被表彰者の功績の概要

巻本 幸光(まきもと ゆきみつ)61歳・竜王町

(職種名)建築大工(所属名)巻本工務店

(技能功績の概要)

 社寺建築の特徴の一つである反り屋根の建築に優れ、美しさを損なうことなく、軒先へ雨水が流れるよう、施工する技能を有している。社寺建築の威厳と気高さを表現するバランス感覚が高く、神社・仏閣の建築物を幅広く手がけている。認定職業訓練校の校長・指導員として、後継者不足の中、少しでも多くの若い大工従事者に技術を継承するため、熱心に指導を行い、多くを1級技能士へと導き、後継者育成に大きく貢献している。

苗井 滿輝(なえい かずき)71歳・野洲市

(職種名)和生菓子製造工(所属名)株式会社近江三方庵

(技能功績の概要)

 和菓子製造に長年従事し、手作りの伝統技術を残すとともに、早くから機械化を導入し身近に味わえる和菓子製造に取り組んだ。また、安全な県産材を使用した商品開発にも積極的に取り組み、地産地消に貢献している。さらに、若手組合員の指導にも積極的に取組み、ものづくりマイスターとして小・中学校において「和菓子の体験」授業の講師を務めるほか、後進の育成や菓子業界の発展に貢献している。

増田 廣行(ますだ ひろゆき)73歳・栗東市

(職種名)日本料理調理人(所属名)椀向八寸 行楽庵

(技能功績の概要)

 氏の卓越した技術が端的に示されるのが、研鑽を重ねた包丁さばきであり、鱧をお造りに仕上げることを可能とする。また、豊かな感性を駆使した『五味五色五法』を巧みに使いこなした四季折々の料理は、一品が見事に完成するにとどまらず、それぞれが繋がり一つの物語を創り上げる。この確かな技術に裏打ちされた、想像力と構成力が創り出す料理の見事さから料理雑誌への掲載も多数あり、芸術品ともいえる料理こそが氏の真骨頂である。現在も自店にて後進の料理人の育成にも取り組む。

河本 薫(かわもと かおる)55歳

(職種名)データサイエンティスト(所属名)滋賀大学

(技能功績の概要)

 データサイエンスを用いて現場の業務を改革する技能である。企業勤務の時代に、様々な課題を実際に解決してきた。機器の故障予測、緊急車両配置の最適化、卸電力市場の価格予測、販売量低下の原因追求、プラントの異常検知、販売量の予測、配船計画の最適化、金融商品の価格変動リスク評価、顧客ターゲティングなどである。それに加えて、こうした現場への適用のノウハウを体系化し著作として発表、業界の底上げに貢献するとともに、現在はその成果を大学教育に活用し、後進の指導を行っている。