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琵琶湖の殻を持つアメーバ、ビワコツボカムリが103年ぶりに再記載され、証拠標本が寄贈されました

<証拠標本の指定・寄贈とその意義>

 ビワコツボカムリ* は、日本の淡水生物学の基礎をつくった川村多実二博士によって1918年に記載された、殻を持つアメーバです。しかし、新種の記載時に作られるその種の基準となる標本『ホロタイプ』が、行方不明になっていました。そこで、ビワコツボカムリの新たな基準となる標本『ネオタイプ』と、記載情報を保証する『証拠標本』が指定され、それぞれ国立科学博物館と琵琶湖博物館に寄贈されました。これらの標本は、今後、ビワコツボカムリに似た種が発見されたときに、それがビワコツボカムリであるかどうかを判定するために世界中の研究者に参照される、学術的にきわめて貴重な標本です。

<ビワコツボカムリが固有種に復活?>

 今回、法政大学の島野智之氏と、琵琶湖環境科学研究センターの一瀬諭氏が中心となって、滋賀県の研究機関が採集し保存してきたビワコツボカムリの形態を詳しく調べ、ビワコツボカムリを再記載し、同時に失われたホロタイプに代わるネオタイプと証拠標本を指定しました。これによって、103年ぶりにビワコツボカムリの種の基準が定められました。

 今世紀に入って、中国の湖沼からも殻を持つアメーバがビワコツボカムリとして報告され、ビワコツボカムリは琵琶湖の固有種ではないと考えられるようになりました。しかし、今回の再記載によって、両者には別種に相当する違いがあることが明らかになり、ビワコツボカムリは琵琶湖の固有種としての地位を回復できることが期待されています。

※ 再記載に関する詳細は滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの資料提供と、法政大学のニュースリリース(論文はこちら)をご覧ください。

  •  「ビワコツボカムリ」の種名が103年ぶりに 国際動物命名規約に基づき再記載されました!

https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/320243.html

  •  法政大学島野教授と滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの一瀬研究員が中心となる研究グループが、琵琶湖の絶滅危惧プランクトン種ビワコツボカムリ(原生生物:有殻アメーバ)が103年を経て再記載

https://www.hosei.ac.jp/info/article-20210806135619/

ビワコツボカムリ

ビワコツボカムリの写真。先端がとがり、口元が広がった特徴的な形態の殻を持っています。

* 現在では、一般に「ビワツボカムリ」と呼ばれるようになっていますが、1918年の記載論文では「ビワコツボカムリ」との和名が与えられていました。再記載者は、和名として「ビワコツボカムリ」を推奨していることから、それに従っています。

お問い合わせ
琵琶湖博物館
電話番号:077-568-4812