森の下草が土砂流出リスクを減らすことは定性的には良く知られています。しかし、どの程度減災する効果があるかについては、定量的にはほとんど知られていませんでした。
そこで、私たちが琵琶湖流域の森林における土砂流出を調査研究したところ、下草に60%以上覆われている場所は、30%未満しか覆われていない場所と比較して、単位面積あたりの年間土砂流出率が97%減少する効果を見い出しました(図1)。さらに、その減少効果は72時間の総雨量が400 mmを超えるような豪雨でも有効である可能性を示しました。
実際の測定結果(Evidence Data)に基づいて具体的な数値を示して、生態系を活用した防災・減災効果(Eco-DRR効果)を知ることは世界的にも大変重要です。そのため、この研究成果はNature Springer社のオンライン総合学術誌であるScientific Reportsに掲載されました。
論文タイトル:The risk reduction effect of sediment production rate by understory coverage rate in granite area mountain forest
著者名:水野敏明(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター・総合地球環境学研究所)、小島永裕(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)、淺野悟史(京都大学大学院地球環境学堂)
掲載誌名:Scientific Reports volume 11, Article number: 14415 (2021)https://www.nature.com/articles/s41598-021-93906-1
doi: 10.1038/s41598-021-93906-1 リンク <https://doi.org/10.1038/s41598-021-93906-1>
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