滋賀県では、琵琶湖の保全及び再生に関する法律(平成27年法律第75号)に基づき、平成29年3月に琵琶湖保全再生施策に関する計画を策定し、琵琶湖の保全及び再生に向けて施策を推進してきたところですが、令和2年度末で計画期間が終了することから、計画の改定作業を進めてきたところです。
今般、県環境審議会および県議会での議論や、国・関係地方公共団体をはじめ住民や関係団体など多様な主体の皆さま方との幅広い意見交換等を踏まえ、「琵琶湖保全再生施策に関する計画(第2期)」を策定しましたので、お知らせします。
・計画期間は令和3年度から令和7年度の5年間としています。
・「新たな課題への対応」として、琵琶湖の全層循環未完了など気候変動の影響と考えられる事象への対応や、マイクロプラスチックを含むプラスチックごみ対策等を位置付けました。
・「現行の課題が一定程度解消し、次のステップに進むもの」として、様々な取組により減少傾向にある外来魚(ブルーギル・ブラックバス)対策やオオバナミズキンバイ対策に関してさらなる減少に向けて効果的、効率的な対策を進めることなどを位置付けました。
・「関連する法律等の改正状況、その他状況の変化を反映するもの」として、新たに成立した森林経営管理法の反映や、最近捕獲数が増加している外来魚・チャネルキャットフィッシュへの対策など位置付けました。
・平成29年3月に「琵琶湖保全再生施策に関する計画」を策定してから4年が経過しました。
・この間、琵琶湖の水質については、下水道の整備や環境こだわり農業などの一層の推進により、昨年度、琵琶湖北湖の全窒素が初めて環境基準を達成するなど、引き続き一定の改善傾向が見られています。
・一方、生態系については、
1.オオバナミズキンバイやブルーギルなど外来動植物は、駆除や巡回監視の徹底等を行った結果、繁茂面積や生息量が減少傾向にありますが、オオバナミズキンバイについては北湖や下流域へ拡大しており、外来魚についてチャネルキャットフィッシュが増加するなど予断を許さない状況にあること、
2.在来魚介類については、水ヨシ帯の造成や種苗放流などにより、ホンモロコなどに回復の兆しが見られるものの、アユ資源の不安定化など、全体として見ると厳しい状況にあること、
3.森林については、捕獲や被害防除などの獣害対策により、ニホンジカによる林業被害面積は減少傾向にあるものの、下層植生の衰退が続いている状況にあること、
から、依然、多くの課題が残されている状況です。
・これに加え、一昨年、昨年と2年連続で琵琶湖北湖の全層循環が未完了となったことに関連する気候変動や、マイクロプラスチックを含むプラスチックごみの問題など、対応すべき「新たな課題」も顕在化しています。
・これらの琵琶湖の現状や課題について、県内のみならず国や下流府県市の皆様とも共有したうえで、今後の取組の方向性を議論し、具体の施策をしっかりと位置付けた第2期計画を策定することができたことは、大きな成果であると考えています。
・第2期計画の策定を、琵琶湖の保全再生に向けた新たな「一歩」とし、計画の重点事項である「琵琶湖を『守る』ことと『活かす』ことの好循環」をより一層進めることで、ますます複雑化・多様化している琵琶湖の課題に適切に対応していきたいと存じます。
・あわせまして、対策の更なる推進に向け、琵琶湖保全再生推進協議会等により国や県内の市町、下流府県市との連携を進めるとともに、住民や事業者、NPOなど多くの方々の生活や活動と琵琶湖との関わりを見える化できる新たな仕組み、琵琶湖版SDGs「マザーレイクゴールズ」を、7月1日の「びわ湖の日」での策定を目指して検討を進めているところであり、多様な主体の皆さんと協働して、琵琶湖の保全再生を進めてまいりたいと存じます。
・そして、国民的資産であり、将来の世代からの預かりものである琵琶湖とその恵みを将来にわたって享受できるよう、琵琶湖と人とのより良い共生関係の形成を目指すとともに、多くの皆さんとともに健全な循環の姿をつくり上げることを目標として、琵琶湖を全国に、そして世界に発信してまいります。