滋賀県には約1300の城跡があり、安土城や彦根城といった巨大城郭から、小規模な城館や砦まで、バラエティに富んでいます。また、武士以外にも僧侶や百姓など、様々な人々が城を築いており、城は、滋賀の歴史や文化の特徴を色濃く反映した、滋賀ならではの歴史・文化遺産です。滋賀の城は、滋賀の魅力を伝える地域の宝として全国の人々から関心を寄せられており、多種多様な滋賀の城の魅力を広く発信していくことが求められています。
さて、近江の戦国時代は、江北の京極氏・浅井氏と江南の六角氏を軸に展開し、織田信長と近江の諸勢力との戦いである元亀争乱を経て終息に向かいます。特に北近江では、湖北の国人衆が連合して京極氏を支えており、京極氏内部の抗争が周辺諸国の勢力を巻き込む形で展開します。戦国時代末期になると国人の中から浅井氏が台頭し、江北の支配権を握ります。江南の六角氏との間で勢力圏をめぐる抗争が繰り広げられますが、永禄11年(1568)の織田信長の近江進攻によって大きく状況が動き始めます。
この講座では、北近江の戦国時代の歴史をたどるとともに、ゆかりの城郭を紹介し、近江の戦国時代の特徴について考えます。北近江の戦国時代の舞台となった城郭の魅力を首都圏で広く発信することで、滋賀県への来訪者の拡大を図ります。